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魂のゆくえ

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魂のゆくえ(First Reformed)』監督:ポール・シュレイダー

トラー牧師(イーサン・ホーク)はニューヨーク州の歴史ある小さな教会で奉仕している。

ある日、メアリーという若い女性が夫マイケルと話をしてほしいとトラー牧師に頼む。マイケルは極端な環境保護論者で、こんな過酷な世界に子供を産む落とすということを悲観しており、メアリーに中絶を勧めているのだという……

キリスト教会と環境問題という、議論を呼ぶというか、ある意味デリケートな問題を扱ってるのが、大変興味深かったです。いずれにしても答えは出ない問題なので、なるべく考えないようにしている、といったほうがよいのか。

息子の死に対する自責の念があり、持病も抱えているトラー牧師。ある信者の相談にのったことがさらなる苦悩の種となってしまい、教会が所属するメガチャーチのもとで盛大な記念式典が行われるという大事な時期に、ミイラ取りがミイラになるような状態に陥ってしまいます。

人間が環境を汚染することに憤るトラー牧師なのだが、自分の肉体を(酒で)みずから汚染しているのであった。ウイスキーにピンク色のペプトビスモルを入れる毒々しさよ。ペプトビスモルとはどろっとした胃腸薬のシロップで、アメリカにいた頃の私も愛用してました。余談ですが、生ぬるく溶けた歯磨き粉の味がしておえっとなります。

荊の冠を身につけて血を流す人は、救い主を宿したマリアに救われる。死ぬ間際の幻想なのか、鍵のかかった扉が開いて本当に奇跡が起きたのか、あえてどちらにも受け取れるようにしてあるけど、途中の浮遊するシークエンスから考えて、奇跡、起きたんじゃないかな、と思う。

キリスト教は一神教のせいか、ものすごく白黒はっきりとした宗教のように思うかもしれないけど、相反するようなことが曖昧に両立してどちらも真なり、という面もあるので、この映画のラストの、事実のような幻想のようなどちらもありえるという終わり方はとても腑に落ちた。

『タクシー・ドライバー』を思わせるところもあるけど、イングマール・ベルイマンの『冬の光』やロベール・ブレッソンの『田舎司祭の日記』への監督の目配せも感じました。ベルイマンとブレッソンも観たくなっちゃった。

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by rivarisaia | 2019-05-24 23:10 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

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