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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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ウルフ・ホール

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ウルフ・ホール

ヒラリー・マンテルの『ウルフ・ホール』と『罪人を召し出せ』を原作にしたBBCのミニシリーズ・ドラマ。全6回のところ日本版は全4回に編集。

身分の低い家柄出身のトマス・クロムウェル(マーク・ライランス)は、ウルジー枢機卿(ジョナサン・プライス)の弁護士となり、ウルジー失脚後もヘンリー8世(ダミアン・ルイス)の寵愛を受け、ヘンリー8世と王妃との離婚を成立させるためにイングランド国教会をローマカトリックから独立させるために活躍する。

ドラマで描かれるのは、王妃との離婚が成立したヘンリー8世がアン・ブーリン(クレア・フォイ)と再婚し、やがてアンに対する気持ちが薄れて、反逆罪を着せてアンを処刑するまで。一連の事柄の背後には、忠実な側近として仕えたクロムウェルの存在があったのだ、ジャジャーン!という筋書きで、原作読んだときにも最初は、クロムウェルが主人公って面白いの?と思ったんですけど、これが面白いんですよね。

これまでヘンリー8世やアン・ブーリンが主役のドラマや映画をいくつか観てきたけど、BBCの『ウルフ・ホール』はキャスティングがとてもよい。マーク・ライランスの一件気弱そうな、常時憂いを帯びている表情のクロムウェルに、したたかで強気のクレア・フォイのアン・ブーリンはふたりともはまり役。クレア・フォイ、『リトル・ドリット』のときはあんなに華奢で可憐な雰囲気だったのにね(彼女は『ザ・クラウン』のエリザベス女王もよかったですね)。

そして意外に上出来だったのが、ダミアン・ルイスのヘンリー8世です。最初はダミアン・ルイスってどうなんだろうと思ったけど、もうヘンリー8世にしか見えない。何考えてるのか裏のありそうな移り気な笑顔が怖い。あ、それから神聖ローマ帝国大使ユースタス・シャプイ役でマチュー・アマルリックが出ています。

このドラマですけど話の筋書きとはまた別に、衣装や小道具、食卓の様子なども凝っていて、じっくり見たいという気にさせます。

Independentにコスチュームデザイナーの記事があり(LINK)、そちらでも写真が見られます。この時代の男性が身につけているポケット代わりのポーチもいろいろな形があって、ひとつひとつデザインをじっくり見比べたい。

ドラマはクロムウェルのその後を暗示するかのような不穏な雰囲気をうっすら漂わせて終わります。3作目もできればドラマ化してほしいけど、どうでしょう。

by rivarisaia | 2021-02-09 23:59 | ドラマ | Trackback | Comments(0)