ブラインドスポッティング
2021年 05月 27日
『ブラインドスポッティング(Blindspotting)』
監督:カルロス・ロペス・エストラーダ
カリフォルニア州オークランドが舞台。黒人のコリン(ダヴィード・ディグス)と白人のマイルズ(ラファエル・カザル)は幼馴染みの親友で、引越し会社で働いている。コリンは過去に事件を起こして現在保護観察期間中であり、あと3日の辛抱で自由の身になれるため、問題を起こさないように、あるいは友人たちが引き起こしかねない問題には近づかないよう慎重に行動していた。ある夜、コリンは仕事帰りに車を運転中、白人の警官が黒人男性の後を追いかけ、背後から射殺する現場を目撃してしまう……
これはとてもよい映画だった。
カリフォルニア州オークランドはバークリーの南に位置している町。サンフランシスコからベイブリッジを渡ったところにあって、治安が悪くて犯罪率の高さで有名な場所。人種はけっこう多様でアフリカ系やアジア系が多くて、もともと白人の比率のほうが少ないんじゃないかと思う。ただ最近はそこそこ裕福な層が流入してきて、いわゆるジェントリフィケーションが起きているというのが、この映画で重要な背景となっている。オークランドに生まれ育ったマイルズが、黒人よりも黒人っぽく振る舞っているのは、自分は後からやってきた新参者とは違うという態度の表明だから。
いつまでもやんちゃな悪ガキのようにイキがっているマイルズと行動をともにしている限り、明らかに何かよくないことが起こりそうなので、見ているこちらとしてはコリンが無事に保護観察期間を終了できるのかどうかヒヤヒヤものである。実際にコリンも「マイルズと付き合わないほうがいい」と忠告もされるし、そもそもコリンが起こした事件の真相がのちに明かされると、正直言って確かにマイルズと距離をおいたほうがいいのでは?という気持ちにもなった。
しかしふたりは、小さい頃からの親友なんですよね。ただ相手のことをお互いによく見えてない部分があるだけで。白人のマイルズには、黒人であるというだけでコリンがどれだけのリスクを背負っているかわからないし、逆にコリンには、マイルズが脅威に感じていることが何かがよくわかっていない。そうしたふたりのすれ違いが、一丁の銃を中心に展開していきます。
終盤コリンがラップの口調で吐き出したことは、マイルズにも聞かせたかったことだったんじゃないかな。あれでマイルズもコリンの立場について少し理解できたんじゃないだろうか。そもそもふたりは互いに相手のことを思いやる気持ちが強いし、きっと彼らの友情はずっと続くはず。そうあってほしいし、たぶんそうなると思う。
by rivarisaia
| 2021-05-27 21:39
| 映画/洋画
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