Nightbitch:子育て中の専業主婦がある日犬になる、母性と女性性の物語
2022年 02月 28日
『Nightbitch』
Rachel Yoder著、Doubleday Books
主人公は2歳の息子を育てている専業主婦。大学ではアートを学び、卒業後はギャラリーで働いていたのだが、出産を機に仕事を辞めた。子育てと仕事を両立させる自信もなかったし、夫のほうが稼ぎがいいからだ。夫はとてもいい人なのだが、仕事を家を空けることが多く、子育ては主に彼女の仕事である。子供とふたりきりの時間があまりに長く、主人公は時折気が変になりそうになる。
ある日、主人公は首の後ろに毛が生えてきたことに気づく。犬歯も鋭くなったようだ。おまけに尻尾も生えてきそうな気配があって……
突然専業主婦が犬になってしまうというシュールな話らしいと聞いて、出るのを楽しみにしていた本なのですが、期待していたのとはちょっと違った。犬になってしまうというよりは、犬になってしまったと思い込むといったほうが近いかも(実際に犬になったりもするんですが)。子育てでストレスが溜まりに溜まっており、まわりにいるママたちはキラキラしていて到底仲良くなれそうにない(ねずみ講にはまっていて、ハーブを売りつけてきたりする)、夫もそして学生時代の友人たちもバリバリ仕事をしてして、自分だけが社会から取り残されている……という焦りや孤独感はとても伝わってくるし、主人公のやり場のない鬱屈とした気持ちはよくわかるんですけど、そのあたりの展開はありがちといえばありがちかも。
自分は犬になってしまう、いやもう自分は犬である、と葛藤する主人公は図書館で『A Field Guide to Magical Women』という本を発見します。世界各地を訪れ、動物に変身する女性たちについて調査したというその謎の学術書は主人公のバイブルとなり、主人公はますます犬としての衝動が抑えきれなくなっていくのでした。
日本の海外文学好きの人にウケそうな話だよなーと思いながら読んでいたのですが、私自身はいまひとつ入り込めなかったのが正直なところです。シュールな話は好きなんだけど、途中で(読んでる私の気持ちが)だれてしまうところも多く、短編で短くまとめたほうがよかった気がする。また、頭の中で映像化して読んでたんですけど、最後の現代美術的な展開がかなりトンチキなイメージになってしまい、オチのつけかたもしっくりこなかった。このあたりは好みの問題かもしれません。
最後にネタバレになってしまうのですが、これは重要なことなので書いてしまいます。主人公が「犬」化するため小動物がちょくちょく殺されるのですが、後半ショッキングな形でペットが死にます。物語のターニングポイントになる大切な部分とはいえ、私はかなりいやーな気分になったので、そこだけ要注意。
by rivarisaia
| 2022-02-28 21:30
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