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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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張込み


張込み』監督:野村芳太郎

警視庁捜査一課の刑事、ベテランの下岡(宮口精二)と若手の柚木(大木実)は質屋殺しの共犯・石井が犯行に使用された拳銃を持って、昔の女・さだ子(高峰秀子)に会いに行くだろうとあたりをつけ、佐賀県に向かう。さだ子は銀行員の後妻となって暮らしていた。ふたりの刑事は、さだ子の家の前にある旅館でさっそく張込みを開始する……


昭和のこの頃の白黒映画、冷房の存在しない夏の暑さの描写が本当に暑そうで、画面越しに熱気を感じる。本作の冒頭の東京から九州まで向かう列車、途中までは乗客の汗の匂いで空気がもわんとして息がつまりそう。途中からだんだん乗客が少なくなって車内に風が通るような描写が、東京から佐賀までの遠さが伝わってくる感じでなんかよかった。

張込みの拠点となる旅館の建物やその2階から俯瞰する女の家の構造も面白いと思ったけれど、これはどちらもセットだったみたい。さだ子は判で押したように、淡々と毎日決まった生活をしており、彼女のもとに現れるはずの犯人は一向に姿を見せず、ふたりの刑事は九州の暑さにやられて悶々としている。若手刑事のほうは人生に悩みごとを抱えており、張込みをしながらも「貧乏な彼女をとるか、それとも風呂屋の娘との結婚話を承諾するか」という問題に頭を悩ませる。最初は、柚木刑事がぐだぐだ悩んでるのが鬱陶しいけど、思い込みで突っ走る傾向にある彼が後半で内省する方向にいくのもよかったです。

ある日突然外出したさだ子が、日傘をくるくる回しながら歩く。その姿だけで、間違いなく今回の外出はいつもの外出と違うというのがわかる。その演出にもぐっときました。


by rivarisaia | 2023-06-27 23:58 | 映画/日本 | Trackback | Comments(0)