明治日本散策 東京・日光:エミール・ギメの見た日本
2023年 10月 10日
『明治日本散策 東京・日光』
エミール・ギメ著、岡村嘉子 訳、尾本圭子 解説
角川ソフィア文庫
明治9年にフランスから日本にやってきた実業家エミール・ギメによる日本紀行。記録画家として画家のフェリックス・レガメが同行しており、本書の挿画はそのレガメによるもの。記録画家だけあって、すごくうまい。どのくらい時間でスケッチ1点を描いたんだろう。
イザベラ・バードの旅行記もそうだったけど、明治時代に来日した外国人による日本の描写は読んでいて本当に興味深い。見慣れているはずの物体をまったく違う角度から見て、あれ、そんな形をしてたのか!と驚くのに似ている。
エミール・ギメには生き生きとした純粋な好奇心と美的センスの備割った観察眼があり、知的で歴史にも詳しい。文章もところどころにユーモアがあって、それこそギメと一緒に品川や上野、芝を散策し、日光に旅行しているような心持ちで読んだ。日光までは人力車で行っていて、車夫はずいぶん大変だったろうなと思うが、乗ってる方も決して楽ではなかっただろう。美術と宗教に造詣が深いフランス人の目から見た日光の描写も新鮮で、私は日光に行った時に何を見てたんだろうと、自分の観察力のなさをちょっと反省した。
レガメと一緒に河鍋暁斎の家に本人を訪れているエピソードも面白い。いきなり役人のような洋装の異国人が来て困惑する暁斎なのだが、早々に打ち解けてレガメとお互いにデッサン対決を始めてしまう。その光景を想像するだけで愉快な気分になる。
ところでイザベラ・バードの旅行記では宿泊する場所での虫の描写が印象的だったのに対し、エミール・ギメは暑い季節に旅行しているようなのに、虫の話は書いていない。蚊や蚤に刺されたりはしなかったのだろうか。
この調子で旅行後半の東海道と京都編も読んでみたかったのに、出版されなかったというのがつくづくざんねん。
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fontanka
at 2023-10-11 21:13
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ギメ美術館の人ですよね→という認識しかありませんでした。
旅行記は知らず
私はイザベラ・バードも知らず。
以前、相馬野馬追のバスツアーで大内宿に行き、そこで名前を知りました。
虫→私、昔の「探検家」が半袖、半ズボンという姿でいるのをみて、虫がいるから「長袖・長ズボンだろう」と常日頃から思っているのですが、西洋人は気にしないのでしょうかね?
旅行記は知らず
私はイザベラ・バードも知らず。
以前、相馬野馬追のバスツアーで大内宿に行き、そこで名前を知りました。
虫→私、昔の「探検家」が半袖、半ズボンという姿でいるのをみて、虫がいるから「長袖・長ズボンだろう」と常日頃から思っているのですが、西洋人は気にしないのでしょうかね?
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rivarisaia at 2023-10-12 00:03
そうです、そうです>ギメ美術館の人。
明治期の東京の様子を文章で読むと、実際には見たことないけど想像上で懐かしい気分になってなかなか楽しいです。
探検家が半袖・半ズボンなのはどうも納得いきません。虫に食われたり、必要以上に日焼けしたり、草にかぶれたりケガしたりとか色々ありますよね。昔の人は気にしなかったんですかね。。。
明治期の東京の様子を文章で読むと、実際には見たことないけど想像上で懐かしい気分になってなかなか楽しいです。
探検家が半袖・半ズボンなのはどうも納得いきません。虫に食われたり、必要以上に日焼けしたり、草にかぶれたりケガしたりとか色々ありますよね。昔の人は気にしなかったんですかね。。。
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古島
at 2023-10-14 20:34
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おもしろそう。昭和時代に日本を訪れたアメリカ人が、日本の絵画(墨絵など)の魅力を熱く語り
「欧米の絵でも、スケッチだと墨絵と同じ魅力があるんです。でも絵具を厚く塗って台無しにしちゃうの」
というように嘆いていました。
"線"と"色"のどちらを重んじるか・・・・・・・・・・
「欧米の絵でも、スケッチだと墨絵と同じ魅力があるんです。でも絵具を厚く塗って台無しにしちゃうの」
というように嘆いていました。
"線"と"色"のどちらを重んじるか・・・・・・・・・・
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rivarisaia at 2023-10-17 21:24
本書では、日本に到着して早々に、ギメとレガメはあるフランス人から、日本は輪郭線も色もないパッとしない国でデッサンや絵画のために来てもダメと言われたらしいのですが、その直後に街中を散歩してみたらあちこちに、描かれるべき風景があるじゃないか!とやたら興奮していて、そんな二人の様子も面白いです。
by rivarisaia
| 2023-10-10 23:36
| 書籍
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Comments(4)