Saltburn

『Saltburn』監督：エメラルド・フェネル

奨学金をもらってオックスフォード大学に入学したものの、周囲から浮いてしまって学生生活にまるで溶け込めずにいたオリヴァー（バリー・コーガン）。そんなオリヴァーが人気者の学生フェリックス（ジェイコブ・エロルディ）を助けたことで、二人は急速に親しくなる。

貴族階級の出であるフェリックスはオリヴァーに同情的であり、一族のカントリーハウスであるソルトバーンで一緒に夏を過ごそうと彼を招待するのだが……

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最初はてっきりロマンス系の話だと思っていて（たとえば『モーリス』のような）、現代の恋愛物にはあまり興味がないのでスルーしてたんですけど、先日たまたま仕事でジェイコブ・エロルディのことを調べる機会があったついでに『Saltburn』に出てるのかーと何気なく観てみたら、とんでもないサスペンス（というか私的にはむしろホラー）でびっくりした。E・M・フォースターかと思っていたら、パトリシア・ハイスミスだったという感じ。

バリー・コーガンが妙なハマり役で、不器用で可哀想な感じのオリヴァーがじわじわと不気味さを増していく。生理的にも気色悪いシーンもあって、声に出して「げっ」と言ってしまったくらいだ。階級社会に対する反発を描いているのかもしれないけど、オリヴァーの圧倒的に異様な存在感が傑出しているせいで、富裕層の人々の感じの悪さや醜悪さなど、まったく大したことのないような感じがしてしまった。