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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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こちらあみ子

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こちらあみ子』監督:森井勇佑

今村夏子の原作は大好きな1冊なので、それがどのような映画になっているのか少し緊張しながら観た。映像になると文章では触れていないことが雄弁に語られたり、またその逆もあったりするから。原作を読んだ人たちの中にきっといろんな「あみ子」がいて、映画のあみ子もそんなたくさんのあみ子のうちのひとり。

映画が公開された時にあみ子は発達障害だとあちこちで言われていたけれど、原作でも映画でもそうだとは言及されていない。だからこそあみ子に寄り添った物語になっているのであって、受け手が勝手にレッテルを貼るのはどうなんだろう。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない、それはまったくわからないという前提で観客もあみ子と向き合うべきじゃないのかなあ。あみ子だけを見るとちょっと変わった子供だという印象を受けるかもしれないが、お父さんやお母さんも相当変だ。これまでの事情はわからないとはいえ、もう少し違う接し方ができていたらよかったのに。家族であみ子のことを理解してくれていたのは兄だけで、その兄も10円ハゲができるくらいストレスが溜まってしまう家庭だったわけで、不良になっていなくなってしまう(でも、あみ子のSOSに突然現れて長らく悩ませてきた事象を一瞬で解決してくれるお兄ちゃんは、まさにヒーロー的存在ではあった)。まともそうなのりくんでさえ、キレ散らかした時の行動がいくらなんでも一線を超えている。

あみ子はきちんと説明されたらきっと理解できるはずなのに、兄と保健室の先生と坊主頭の同級生以外、誰もあみ子とまともに向き合おうとしていない。「あみ子にはわからんよ」と最初から決めつけて、秘密にされてしまう。あみ子が投げたオレンジが手元に戻ってこないように、トランシーバーに誰も応答してくれないように、あみ子のコミュニケーションはいつも一方通行だ。応答してくれる人が現れるといいんだけどな。

あみ子には元気で楽しく暮らしてほしいけど、祖母がいなくなったらどうなってしまうんだろうと不安になってしまった。原作で私が好きだった、さきちゃんとすみれのエピソードが映画にはないので、そこを頭の中で想像して補完して、きっと大丈夫と思っている。

by rivarisaia | 2024-02-22 23:42 | 映画/日本 | Trackback | Comments(0)