Never Whistle at Night:アメリカ先住民の著者によるホラー短編アンソロジー
2024年 05月 21日
『Never Whistle at Night』
edited by Shane Hawk & Theodore C. Van Alst Jr.
Shane HawkとTheodore C. Van Alst Jr.が編集した、アメリカ先住民の著者らによるホラー短編アンソロジー。スプラッター系の話からフォークロアや幽霊、呪いの話から、ダークストーリーまでバリエーションに富んでいる。編者のふたりの作品も含めて、全部で26作品を収録。イントロダクションはStephen Graham Jones。
寝る前に一篇ずつ読んでいたんだけど非常に読み応えがあり、植民地主義や差別が根底にある話も含めて先住民の作家だからこそ書けるものばかりで興味深くもあったし、考えさせられることも多く、充実した読書体験だった。
しかし、よく考えてみると寝る前にホラーというのも悪夢にうなされそうな行為ではある。特に最後から二番目のAmber Blaeser-Wardzalaの「Collections」は強烈なイメージを放つ作品で、思い出すだけでも夢に出そう。この話の主人公は大学生で、白人ばかりのクラスメイトの中でBIPOCの生徒は自分を入れてふたりしかいない。ある晩、教授の家のパーティに招かれた主人公は、そこで目にしたものに驚愕する(読者の私もある意味驚愕した)。
Nick Medinaの「Quantum」もなんともいえない余韻を残す話。父親の違う幼子の母親が主人公。子供のひとりはインディアンの血が1/8で、もうひとりは5/16であることがわかる。血が薄いと部族からのベネフィットが得られないと悩む母親が、だんだん「血統」という考えに取り憑かれていくのが怖くもあるし、哀しくもある。
また、David Heska Wanbli Weidenの「Sundays」は子供の頃、教会のインディアン寄宿学校で起きた虐待にまつわるつらい話だけど、ラストがよかった。アンソロジーの内容的に基本的にすべてなんらかのトリガー警告があり、Shane Hawkのサイトに各話の警告リストがあるんだけど(LINK)、これをみると圧倒的に共通してアルコールの問題が多いのがわかる。
各話の最後には簡単な作者プロフィールが付いている。知らない作家もたくさんいたので、今後読む本の参考にもしたい。
収録作家一覧(アルファベット順)は以下の通り:
Norris Black / Amber Blaeser-Wardzala / Phoenix Boudreau / Cherie Dimaline / Carson Faust / Kelli Jo Ford / Kate Hart / Shane Hawk / Brandon Hobson / Darcie Little Badger / Conley Lyons / Nick Medina / Tiffany Morris / Tommy Orange / Mona Susan Power / Marcie R. Rendon / Waubgeshig Rice / Rebecca Roanhorse / Andrea L. Rogers / Morgan Talty / D.H. Trujillo / Theodore C. Van Alst Jr. / Richard Van Camp / David Heska Wanbli Weiden / Royce Young Wolf / Mathilda Zeller
最近洋書・和書問わずホラーを読む機会が多く、今回紹介されていた本もとても興味があります。
ホラーに関しては何故か長編モノよりも短編を好む傾向があり(ビビりだからかも)、それも様々な作者の話が読めるアンソロジーは美味しいとこどりみたいでいいですね!
ホラーに関しては何故か長編モノよりも短編を好む傾向があり(ビビりだからかも)、それも様々な作者の話が読めるアンソロジーは美味しいとこどりみたいでいいですね!
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短編のアンソロジーは、まさに作者ごとに話の雰囲気がガラッと変わるので、読み応えがあってよかったです! 26話もあるので、ちびちびと読んで長く楽しめましたー。これだけ先住民の著者を集めて1冊にまとまってることにも意義があると思うので感慨深いです。
by rivarisaia
| 2024-05-21 21:30
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