The Hatmakers:ジョージ王朝時代のロンドンを舞台にした児童書ファンタジー
2024年 05月 24日
『The Hatmakers』Tamzin Merchant著
著者のTamzin Merchantは女優で、マシュー・マクファディンがダーシー役だった映画『プライドと偏見』でダーシーの妹役、ドラマ『THE TUDORS〜背徳の王冠』でキャサリン・ハワード役を演じていた。本も書いてたんだとちょっとびっくり。
ジョージ王朝時代のロンドンを舞台にした児童書ファンタジー。この物語の世界では、古くからものを作る際に魔法の材料と錬金術を用いる慣わしになっていたが、いまでは帽子、マント、時計、ブーツ、手袋を作る5つの家系だけが特別な「職人=Maker」として存続していた。帽子メイカーの家系に生まれた主人公のコーデリアは、幼い頃に母親を亡くし、今は父親や叔父と叔母と暮らしながら修行中。
王様の帽子のための特別な材料を集めるべく旅に出ていたコーデリアの父親の乗った船が難破したという知らせが届くところから話が始まる。イングランドがフランスと戦争になるかもしれない情勢で、5つのメイカーは、フランス王と交渉することになった王女が身につける平和の衣服を早急に作らなくてはならない状況に。一方で父が死んだとは信じられないコーデリアは、父を探そうとするのだが…
帽子、マント、時計、ブーツ、手袋という5つのアイテムは、魔法の材料のおかげで身につけた人に影響を及ぼすことができるという世界なので、たとえば、人に自信をもたらす材料を飾りに使った帽子を作れば、それをかぶった人は自信にみなぎる、といったことになる。
とはいえ、しかしこれ、ずいぶん怖いというか、他人を意のままに操作できちゃうという危険な設定じゃない……? 帽子や靴に思考が左右されるだなんて、いかようにも悪用できちゃうじゃん! まさにジョージ王の様子がおかしいのも、やばい何かを身につけているからなのだ。ちなみに昔はさまざまな魔法のかかったアイテムの作り手がいたようだけど、ヘンリー8世の時代に禁止され、現在残るのは5つのメイカーのみ。おまけにこの5つのメイカー同士が互いに大変仲が悪い。
やや物足りない部分もあるけど、子供は楽しめるかも。巻末には魔法アイテムの解説一覧がついている。それにしても、今戦争中の国のえらい人たちに平和のアイテムを着せてやりたいよね……。日本のダメ政治家にも賢くなるアイテムが必要だ。
by rivarisaia
| 2024-05-24 22:34
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