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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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地獄門

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地獄門』監督:衣笠貞之助

『源平盛衰記』のエピソード、袈裟御前に横恋慕する遠藤盛遠の話。第7回カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞。Amazon Primeにもあるんだけど、大映初の総天然色映画なのに、なぜかモノクロなので要注意です。

本作のポイントのひとつが平安時代の色彩の再現に努めたという点なのですが、本当にこんな調子でカラフルだったのかなというくらい絢爛としています。映像は煌びやかでよいのだが、ストーリーが今となっては本当に気分が悪い。

以下、知られている話なので結末に触れます。ちなみに芥川龍之介の小説にも『袈裟と盛遠』というのがあり、そっちもドロドロしているんだけど全然不快ではなくむしろ凄みがあってよいです。

映画の方は、袈裟御前(京マチ子)の美しさに心を奪われた武士・盛遠(長谷川一夫)が、袈裟を我が物にしたいと願うも、袈裟はすでに渡辺渡(山形勲)の妻であり、夫婦仲は円満。つけいる隙はまったくないので、武士ならスパッと諦めろよ、盛遠!と言いたいところなのだが、いかんせん性格が根暗でねちっこいこの男はいつまでも諦めない。渡に勝負を挑んで、周囲どころか偉い人(清盛)からもドン引きされた挙句、袈裟と叔母さんを恐喝するというどこまでもサイテーなのだった。

結果的に、夫を守るために自ら身代わりとなって袈裟は盛遠に殺されてしまう。

自分の行為にハッ!と我に返った盛遠は「許してくれー!」と大泣きするんだけど、私としては今さらどの口が言うかという気分だよ。

悲劇的な話ではあるんだけど、とにかく盛遠のしつこさに不快を通り越して怒りすら湧いてきた。演じる長谷川一夫の顔も見たくなくなるほどイライラする。袈裟も渡に相談すればよかったのにと思うけど、一番悪いのは盛遠だ。

この盛遠がのちの文覚である。NHK大河の「鎌倉殿の13人」では文覚は市川猿之助が演じていましたね……。

Commented by fontanka at 2024-09-16 19:10 x
わたしこの話で、夫の髪を洗わせる→男の髪と女の髪の長さとかでわからないか?(袈裟御前は髪を切ったわけではないようだし)というのが昔からの疑問でした。(この映画ではなくです)

で、この映画を数年前に見て、盛遠が「キャラが濃い」なんかなぁと思ったのでした。



Commented by rivarisaia at 2024-09-17 21:51
そうなんですよ。盛遠、キャラが濃すぎです。そのせいなのか袈裟に迫る時に異様なねちっこさと圧があって、余計に怖いです。

袈裟御前、意外と髪が短かったんですかね。それとも夫のほうがそこそこ長髪だったのかしら…(多分違う)
by rivarisaia | 2024-09-09 23:49 | 映画/日本 | Trackback | Comments(2)