数学者たちの黒板
2024年 10月 18日
『数学者たちの黒板』ジェシカ・ワイン著 徳田功訳 草始社
以前、日本のあるチョークメーカーが後継者不足で廃業を決めたというニュースを見た。羽衣チョークというその製品は、日本の教員だけでなく、世界中の数学者に愛用されており、海外の数学者たちも慌てて在庫確保をしているという話だった。数学は黒板じゃなくてはダメだ、そしてチョークは羽衣でなくてはダメなのに、なくなってしまったらどうすればいいのか、と嘆き悲しむ数学者たちの姿に、「そうなの!?」と半分驚き、半分なんだかわかるような気がした。とにかく私の中ではこのとき、数学者といえば黒板とチョークというイメージが定着した。
しかしデジタルの世の中で、はたして今も黒板なのだろうか、と思っていたところにこの本である。
フィールズ賞受賞者を含む数学者たち109人(素数!)の板書を写した黒板写真集であり、数学者のエッセイ集でもある。黒板に書かれた数式や図形は私には何ひとつ理解できないけど、どの板書もそれぞれ個性があり、芸術的でとても美しい。
「黒板で数学の研究をするのは、触覚的な経験だ」とある数学者は言う。
数学は風景を捉えるようなもの、心の中の箱を探すようなもの、壮大な旅のようなものであり、美的なプロセスだ。そして黒板はそのプロセスを視覚化する空間であり、共同研究をする際のコミュニケーションツールであり、創造的な思考を育む場なのだった。
何人もの数学者が、なぜかホワイトボードではうまくいかないと話している。
数学者フィリップ・ミシェルは「10年前にローザンヌの職場に着いて私が最初にしたのは、悪臭のする赤いペンの置かれた醜いホワイトボードを、本物の黒板と交換するように手配したことだった」と書いていた。思わず笑ってしまったけれど、ホワイトボードが醜悪というのは私も同感で、確かに黒板にチョークで書く感覚は、ホワイトボードやデジタルのペンで書く体験とはまったく異なるものだと思う。
ちなみに羽衣チョークはその後、韓国の会社が製造技術等すべて引き継いで、今も生産されている。数学者もこれで当分ひと安心だ。
これは!面白い本と話題ですね。
数式が思考の風景の様な事。。
私には見えないのですが、そうなのであろうと理解できる事です。
数式が思考の風景の様な事。。
私には見えないのですが、そうなのであろうと理解できる事です。
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面白そうです。チョークが製造されてよかった。
面白かったです。チョーク、無事に製造されてほんとよかった....!
by rivarisaia
| 2024-10-18 13:53
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Comments(4)


