Time Shelter:過去が未来になるとき
2024年 11月 06日
『Time Shelter』Georgi Gospodinov著、Angela Rodel訳
Weidenfeld & Nicolson
アルツハイマー患者のための治療法として、Gaustineなる人物が「過去のクリニック」を開設。クリニックの各フロアは、60年代や70年代といった過去の時代を細部にいたるまで忠実に再現しており、患者はそこで懐かしく幸せだった時間を過ごすことができる。本書の語り手は、そのクリニックのために過去のさまざまなアイテムを蒐集する。やがてこのクリニックは健康な人々の間でも評判になり、生きづらい現代から逃れたい多くの人が「タイムシェルター」として活用することになるのだが……
ブルガリアの作家によるシュールでカフカ的なメタフィクション。過去と現在の境界だけでなく、Gaustineなる人物と語り手の関係性も、そして語り手の記憶でさえもどんどん曖昧になっていき、何が現実なのかすらもわからなくなる。すべてが混沌として、最後はカオスの中に引きずり込まれるような話だった。イタリア語に翻訳されたものが2021年にストレーガ・エウロペオ賞を受賞していて、英語版は2023年のブッカー国際賞を受賞した。
ノスタルジーに浸っているうちはいいんだけれど、現代社会が過去を理想化した時に起こる危険性について警告する風刺小説でもある。というか、まさしく最近は世界のあちこちで、古き良き時代にかえろうとするスローガンをよく耳にするしね。日本を取り戻す、とかさ。
"The past is not just that which happened to you. Sometimes it is that which you just imagined."
そう、人は過去を理想化してしまう。昔のことは想像の世界でいくらでも美化できるのだ。それに「50年前のことは、50年後よりも確かなこと」なのである。タイムシェルターに逃げ込む人々が増えるにつれ、過去のクリニックは世界各地に広がっていき、人々は未来に過去を見ようとする。未来が不透明で不安? それならすでに知っている過去を未来に再現すればいいじゃないか。自分たちの国が輝いていた時代に戻ろう、国の未来は過去が決定すればいい。かくして各国ではどの時代を選択するのか国民投票が行われ、それぞれの国全体がタイムシェルターと化していく(スイスの投票結果には笑ってしまった)。ブルガリアの歴史をもっと知っていれば、さらに理解が深まったかもしれない。
本書で「September 1, 1939」という日付がたびたび言及されるが、これはナチスドイツによるポーランド侵攻が行われた日、第二次世界大戦が勃発した日。エピローグは1939年と2029年の8月31日だった。
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
お母様、大変ですね。お疲れが出ませんように。
新札、わからない人もいるんじゃないかなあと思ったりします。旧札が使えなくなると言われて信じてしまうという詐欺が発生しているというのもニュースで見ました。
個人的には渋沢栄一の顔が印象薄すぎて、お札に向いてないというか、一万円って感じがしないから慣れないー。むしろ北里柴三郎の方が堂々としていて高そうに見えます。
新札、わからない人もいるんじゃないかなあと思ったりします。旧札が使えなくなると言われて信じてしまうという詐欺が発生しているというのもニュースで見ました。
個人的には渋沢栄一の顔が印象薄すぎて、お札に向いてないというか、一万円って感じがしないから慣れないー。むしろ北里柴三郎の方が堂々としていて高そうに見えます。
0
by rivarisaia
| 2024-11-06 14:47
|
Trackback
|
Comments(2)


