Sleeping Giants:20年前の事件の真相を探る、心を打つミステリー
2024年 12月 20日
『Sleeping Giants』Rene Denfeld著
20年前、オレゴン州の小さな町の浜辺で9歳の少年デニス・オーウェンが波にさらわれて海に消えた。海を臨む場所に、その死を悼む慰霊碑が建てられた。
引退した警察官のラリーは、ある日アマンダという若い女性に出会う。赤ん坊の時に養子に出された彼女は、亡くなった実母のことを調べるうちに自分には兄がいたことを知る。その兄の名前はデニス・オーウェンだった。
妻を亡くして目的もなく漠然とした日々を過ごしていたラリーは、兄のことをもっと知りたいと思うアマンダに手助けを申し出る。ふたりはデニスについて調査を開始するのだが、それはやがて隠された犯罪を暴くことに繋がっていく……
読み終わった後にじんわりとした余韻が残るミステリ。『The Child Finder』のRene Denfeldの新作。20年前の事件の真相を探るというミステリーでありながら、孤独からの再生を描いた文芸小説でもあり、里親制度の子供達の境遇に関する社会的な問題を指摘した小説でもある。
アマンダは養父母に愛されて問題なく暮らしていたけれども、人とは少し違うところがあり、普通の人にできることができないという一面がある。そのため周囲とうまくやっていくことが難しく、唯一心が通じる相手は、動物園で飼育員として働く彼女が世話をしている孤児のホッキョクグマのモリーなのだった。アマンダは本当の家族のことを知れば、自分自身をもっと理解できるのではないかと切実な思いを抱えている。
ラリーもアマンダも、9歳のデニスも、そしてホッキョクグマのモリーでさえも、みな孤独な存在だ。一見、本筋とは関係なさそうなホッキョクグマのモリーのエピソードは、途中まではなんでこの話を挿入してるんだろうなと思っていたけれど、最後にアマンダやデニスの物語と重なり合った時、不覚にも涙が出てしまった。
ちなみに、小説内に出てくる「セラピー」の手法については、実際に行われていたもので(というか現在も行われているらしい)、著者があとがきで詳しく説明しています。
by rivarisaia
| 2024-12-20 21:24
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