『A Little Trickerie』16世紀イングランドを舞台にした孤児の少女の波乱万丈の物語
2025年 07月 26日
『A Little Trickerie』Rosanna Pike著、Fig Tree
16世紀、テューダー朝イングランドを舞台に、浮浪児の少女Tibb Inglebyが、さまざまな人々と出会い、人生を切り開いていく冒険譚。最初に書いちゃうけどハッピーエンドです。
物語は、主人公Tibbの母親が、納屋で出産するシーンから始まる。
母親は屋根のある家を手に入れようと画策して妊娠したんだけれど、出産が元であっけなく死んでしまい、幼くして孤児となったTibbは新生児を抱えて一人で生きていかなくてはならなくなる。海辺に辿りついたTibbは、そこでIvoという少年と出会い、ふたりで暮らし始めるものの、幸せはそうそう長く続かない。
ひとりぼっちのTibbがイングランドの森や町を旅しながら、「屋根」を手に入れようとする話。この場合の「屋根」は安心して暮らせる物理的な家のことであり、家族や信頼できる仲間と幸せに暮らすための精神的な居場所のことでもある。
Tibbは、幾度となくピンチを切り抜けながら過酷な人生を生き延びていく。とにかく心がまっすぐで元気で愛すべきキャラクターであり、偏見や迷信に満ちた世界でTibbの存在はまさに天使のように光り輝いていて、いろんな人を明るく照らし出す。
で、実際に物語の後半でTibbは天使のような存在になる。これは「The Holy Maid of Leominster(レオミンスターの聖なる乙女」という史実がモデルになっている。ちょっとした企みがどんどん大ごとになって引っ込みがつかなくなり、挙げ句の果てにマーガレット・ボーフォートまで登場するピンチが訪れる。
歴史フィクションとしては、現代的な語り口調や大団円を迎えるラストが現実味に欠けると思う人もいるかもしれない。そんなにとんとん拍子にうまくいくかな?と思う部分もあるんだけど、私としては現実の世の中であまりにもどんよりすることばかり起こっているので、元気で前向きなキャラクターがまっすぐに正しく生きて、最終的にこれ以上ないハッピーエンドを迎えるという話は、読んでいてとても楽しかった。Tibbと仲間たち、その後も全員幸せに暮らしていてほしい。
by rivarisaia
| 2025-07-26 23:32
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