『Haven』7世紀アイルランド、孤島へ渡った3人の修道士たちの信仰と生存の物語
2025年 08月 28日
7世紀、アイルランド。無人島に隠遁所を築くという夢を見た修道士Arttが、その啓示を実現するために、若いTrianと初老のCormacというふたりの修道士を連れてクロンマクノイズ修道院を出発。到着したのは渡り鳥しかいない岩だらけの島スケリッグ・マイケルだった。
やがて3人は、食料も水も足りないその島で、生存すらも危うい状況に陥ってしまう……。
エマ・ドナヒューの宗教をモチーフにした歴史小説。信仰の本質とは何かを問いかけているように感じた。
音楽を愛する若い修道士Trianは純粋な心の持ち主で、神が創り出した自然をつぶさに観察し、その驚異に感嘆する。疫病で家族を失った過去をもつ老修道士のCormacは、人生経験が豊富であり、仲間に対する深い思いやりの心をもつ。
一方で、信仰心が篤く、規律に厳格なArttは、信仰の「場を築くこと」に固執して、もはや手段が目的化してしまっている。たぶん誰よりも我が主のために働いていると考えているであろうArttよりも、TrianやCormacの物事に対する姿勢のほうが、本来の信仰のあり方なのではないか。
3人は極限状態に追い込まれ、やがて予想外の事態が明らかになるのだが、もっとも信心深いはずのArttが一番、神から遠ざかってしまっている行動を取る。そして残念なことに、Arttはそのことに最後まで気づかない。このとき、御心にかなう人であるのがCormacであり、おそらく神にもっとも近い人なのがTrianなのだと思う。
by rivarisaia
| 2025-08-28 22:37
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