One Day, Everyone Will Have Always Been Against This:後になって「自分は反対してたんだよね」と言わないために
2025年 12月 04日
『One Day, Everyone Will Have Always Been Against This』
Omar El Akkad著 Knopf
タイトルは、「いつか皆、これにはずっと反対していたというだろう」という意味。もともとは、ガザへの爆撃が始まって数週間後に著者オマル・エル=アッカドが投稿した以下のツイートからきている。
“One day, when it’s safe, when there’s no personal downside to calling a thing what it is, when it’s too late to hold anyone accountable, everyone will have always been against this.(いつの日か、安全になったとき、ものごとをありのままに呼んでも個人的にリスクを負うことがなくなったとき、責任ある人たちを追求するにはもはや手遅れとなったとき、誰もが皆、自分はずっとそれには反対していたんだよ、となる)"
エジプトに生まれ、カタールで暮らし、その後、家族で移住したカナダで育ち、新聞社でジャーナリストとして戦場で取材を行い、小説家としてデビューした米国在住の著者による10章からなるエッセイ。ガザで現在進行形で起きている出来事と著者がこれまでの人生で経験してきたことがらを織り交ぜながら、著者のさまざまな想いが綴られる。欧米(the West)に対して感じている欺瞞や怒り、恐れ、リベラルに対する痛烈な批判、私たちに何ができるのかなど、とても納得のいく箇所もあれば、私にとって耳の痛い話もあり、印象に残る箇所が山ほどあった。それほど厚い本ではないのに内容がグサグサと心に突き刺さって、休み休み文章を噛み締めながら読み終えるのに1カ月近くかかってしまった。そしてまだ、ちゃんと内容を自分のなかで消化できていない。
それぞれが立っている場所によって、見えている世界は全然違う。著者がジャーナリストであるためか、本書には「言葉」についての言及も多い。言葉は真に起きていることを映し出すには不十分だと著者は言う。メディアや私たちがある事柄を語るとき、それは何を表現しているのか。正しい言葉が選ばれているというより、その言葉は物事の核心をついているのか。「物事を漠然と、不完全で不誠実に描写する特権と、目を背ける特権は切り離すことはできない」が、「目を背けることが常に可能だったように、いつでも目を背けるのやめることができる」。最悪の世の中でも人々には勇気や連帯する力があると著者は信じているし、私もそう思う。
読み終わってからも、自分には何ができるのか、できることはあまりないとしても、やるべき消極的な小さな抵抗は何だろうと考えている。
この時期に、米国の移民である著者が本書を書いたのはさぞ勇気がいったことだろう。全米図書賞ノンフィクション部門を受賞したことに驚いたし、よかった、と思った。邦訳も出るといいな。
by rivarisaia
| 2025-12-04 10:22
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