『台所重宝記』村井弦斎
2026年 01月 26日
お手伝いのミツと妻君の会話形式の文章を通して、台所の知恵を学べるという、まさに台所で重宝しそうな便利本。米問答、漬物問答、牛乳問答……といった章立てになっており、たとえば、米問答では良いお米と悪いお米の見分け方、新米と古米の違い、お米の磨ぎ方などについて、ミツの質問に妻君が答える形でさまざまな知識を教えてくれる。食べ物だけでなく、道具問答やら掃除問答、衛生問答など、ミツと細君のお役立ち会話は多岐にわたる。それにしても細君の知識の豊富さたるや恐るべし。できる奥様!という感じである。
消毒に関する注意喚起も多く、水問答の項目では、見た目がきれいでも、生水の中には目に見えない虫や最近がいるので、飲み水だけでなく、お皿などの洗い物にも一度煮立てた湯を使えと、妻君はミツに指導している。また、水道の鉛管に関しても触れていた。細君いわく、「水道を使う時は、最初に出てくる溜まり水を捨てるのが水道を使う人の第一の心得だよ」だそうで、そういえば、わたしの祖父母の昭和ハウスも水道は一部鉛管だったため、朝は必ずしばらく流してから使うようにと水道のチェックに来た人に言われていたなというのを思い出した。
明治・大正の本なので、当時の(おそらく)進んだ家庭の台所事情がうかがいしれて、読んでいて楽しい。一方で、現代でも使えるレシピやアイデアが出ていたりもする。食材にアテチョー(アーティチョーク)やルバー(たぶんルバーブ)なども登場して、ずいぶんハイカラだ。
ハイカラといえば、本書は最後に料理暦なるものも収録されていて、1月1日から12月31日まで、1日ひとつのお料理と作り方の簡単なコツが記載されているんだけど、和食に紛れて「兎のシチュー(2月22日)」「冷やしコーヒー(8月6日)」「栗のプデング(10月13日)」「子牛の頭のフルカセー(12月7日)」「挽肉のアイルシチュー(12月14日)」などなど、西洋料理のレシピも数多い。眺めているとどれも美味しそう。簡単に作れるものも多々あって、たとえば1月27日は「ホウレン草と玉子」で、「ホウレン草をゆでて細かく切り、バターで炒め、塩味をつけてその上へ半熟玉子を乗せて出すなり」とある。朝ごはんによさそう。
この本がたいそう面白かったので村井弦斎の『食道楽』も読んでみようと思います。
弦斎カレーパン(平塚で売ってます)おいしかったですよ。
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弦斎カレーパン!(検索しました)おいしそう!
そして平塚にお屋敷があったんですね。いつか村井弦斎公園にも行ってみたいです。
そして平塚にお屋敷があったんですね。いつか村井弦斎公園にも行ってみたいです。
by rivarisaia
| 2026-01-26 22:09
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