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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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オペラ:パヴァロッティとわたくし

昨日の続きで、「お前が語るな!オペラ・シリーズ」後編です。

オペラの洗礼を受けた私は、その後、機会があればオペラに行こうと画策しておりました。日本では目玉が飛び出るほど高いオペラのチケットですが、アメリカの郊外都市では低価格だったりしますし、ヨーロッパでも安い席はあります。


そんなある日、なぜかピッツバーグにてオペラに行くことになった。世界三大テノールのパヴァロッティが出演するという。しかも席は前の方だ。

生身のパヴァロッティが登場し、動き、朗々と歌っているだけで迫力満点。ストーリーはどうでもよくなり、何だか神々しいものを観ている気分になって脳内に霞がかかる。まさにパヴァロッティ・マジック。2幕目が終わった時点で、場内では同じくマジックにかけられた観客たちが、キング・オブ・オペラのすばらしさを賛美していた。

そして、それは3幕目に起きた。

アリアが徐々に盛り上がり、さあこれから聞かせどころか!というまさにその時、キング・パヴァロッティがぱたりと歌うのをやめた。「すいません、もう1度最初から」とオーケストラ・ボックスに小声で指示するキング。前奏から演奏しなおすオーケストラ。そして、さあ聞かせどころに突入か!という同じ箇所で、パヴァロッティは再び歌うのをやめ、


「申し訳ありません。今晩はこれ以上歌うことはできません」


と言って、さささっと舞台袖に引っ込んでしまったのであった。

なんと!まあ!

予想外の出来事に動揺しつつも、スタンディングオベーションを贈る私たち。やがて支配人が出てきて、今日はここでおしまいにしたい、しかし3幕まで演じたことに免じて、払い戻しは勘弁願いたい、不満があれば明日連絡してほしい、といったことを説明し、オペラは唐突に終了した。


私が自分にがっくり来たのは、翌朝の新聞を目にした時。調子が悪かったのかもしれないが、パヴァロッティの歌声は抜群にすばらしかった、ハズなのに、地元新聞のレビュー欄では、

「昨晩のパヴァロッティは鼻声で、いつものような輝かしさは感じられず....」

えー? 鼻声でしたか? あれで輝いてない!? .....。オペラってわからないものですね。


「パヴァロッティが途中で引っ込んじゃった」という衝撃で、演目が何だったのか、スコーンと忘却のかなたへと飛んで行ってしまいました。パンフレットが家のどこかにあるはずなのに見つからない。一体、あれは何だったのか、ネットで検索してみると、おそらく、1989年の『トスカ』。トスカだったけ?忘れるにしても...思いっきり有名じゃないか〜。

そんな私は今でもオペラは好きですよ。高くて観に行けないけど。『魔笛』が観たいです。


●参考資料
この記事(Pittsburgh Post-Gazetteより)は直接関係ないですが、最後のほうに、「just like the adults in 1989 who called it the most exciting opera they'd seen when Pavarotti's voice gave out and he couldn't complete a Pittsburgh Opera "Tosca."」とあります。ええ、たしかにモースト・エキサイティングでしたとも! 私にとっては、生涯心に残る名舞台でしたよ。
by rivarisaia | 2006-10-14 15:55 | 音楽 | Trackback | Comments(0)