ハーメルンの笛吹き男—伝説とその世界

えーっと。昨日ふと思いついた本が2冊ありまして、どっちを先に紹介しようかなーと思いつつ、まず今日はこちらを紹介したいと思います。

今年の9月4日に亡くなられた阿部謹也先生の著書『ハーメルンの笛吹き男—伝説とその世界』です。筑摩書房から文庫で出版されてます。
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阿部先生はドイツ中世史が専門。日本の中世といえば網野善彦先生が思い浮かびますが、かつて我が家では、阿部+網野両先生ブームが起きたのでした。こんな先生に歴史を習いたかった!

さて、「ハーメルンの笛吹き男」ですが、1284年6月26日に130人の子どもが失踪したことは資料から実証されます。事実です。130人も消えました。なぜいなくなってしまったのか、そもそも笛吹き男とは何者かということを、中世ヨーロッパの差別問題や社会的状況を観察しながら検討していくのが本書です。

仮説はいくつか出ますが、真相は最後まで不明のままなので、真相を期待する人には向かない本です。しかし、大事なのは真相ではなく、伝説を解明しようと試みるプロセスで明らかになる中世庶民の生活がどんな感じだったのかということ。歴史って「起きた事実」よりも事実を取り巻く背景を学ぶことがおもしろい。誰かそのあたりを文科省に伝えてください。

ちなみに、「ハーメルンの笛吹き男」は個人的に思い出深い。小学校の学芸会でお芝居をやったのだったわ。私の役は1人取り残される足の不自由な子どもでした。今思うと、これはアレですか。「協調性がありません」と通信簿にずーっと書かれてきた私に、あえて先生が割り振った適役だったってことですか。そんな事実を取り巻く背景も探ってみたいものですよ。
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Commented by 葉月 at 2006-11-23 00:48 x
同じ本持ってます
昔NHKで阿部先生がハーメルン地方に行って地元の人に
この事件についての言い伝えが残っていないかを聞きに行くという内容の
番組を見てこの本の存在を知り、本屋を駆け巡って手に入れました
NHKだけに出版社が非公開で内容から推察される出版社のコーナーを
片っ端から漁りまくったという懐かしい一冊ですね

歴史は裏話にこそ無限の楽しさがあると思います
事実だけポンと出されても実感なんかわきませんしね
ただ教育の現場でそれを実践すると
裏話に華が咲きすぎて授業が進まないという罠が・・・・(私の場合ですが
Commented by rivarisaia at 2006-11-23 10:36
そのNHKの番組を見たかったー。おもしろそうですね。
しかし、出版社が非公開の中、よく探し出しましたね!

私も裏話が楽しいと思うのですが、歴史の授業を振り返ると、
肝心の表話を覚えてないのに裏ネタは思い出すのはナゼ....。
by rivarisaia | 2006-11-14 21:21 | | Trackback | Comments(2)

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