吸血鬼ノスフェラトゥ

高校生の頃、私は地下鉄で吸血鬼を見ました。いや、もとい、吸血鬼のソックリさんを見ました。今でも顔を思い出せるほど激似で、電車に乗った瞬間に「あッ、ドラキュラ伯爵!」という言葉が頭に浮かび、これは間違いなくドラキュラ伯爵で、日本人のサラリーマンのフリをしているがトランシルヴァニアから来日中なんだ、と妄想したものです。ドラキュラ伯爵(仮)は、毎朝、同じ車両に乗ってたのですが、ある日を境にプッツリと姿を見せなくなり、「帰ってしまった...」とガックリしたものです。

吸血鬼といえばベラ・ルゴシなのでしょうが、ルゴシはややハイカラな感じがするので、私はマックス・シュレックが演じたノスフェラトゥことオルロック伯爵のほうがイメージに合っている気がします。

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ムルナウ監督の『吸血鬼ノスフェラトゥ(Nosferatu, eine Symphonie des Grauens)』は、1922年のサイレント映画。ブラム・ストーカーの許可が取れなかったので「ドラキュラ」という言葉が使えなかったそうですが、あらすじは似たようなものです。特筆すべきは、ノスフェラトゥとともにブレーメンの町にペストがもたらされるという筋書きでしょうか。

サイレントとはいえ、これは劇場で観た時に恐かった。だって、異様な感じなんですよ、ノスフェラトゥが。棺から湧いて出るネズミが。お屋敷が。トランシルヴァニアの村が。1922年に観た人はトラウマになったんじゃなかろうかと想像します。オルロック伯爵(ノスフェラトゥ)が一度もまばたきしないのがいちばん不気味。

恐かったけど、オルロック伯爵にはお茶目なところもありまして、主人公ハーカーの奥さんミーナの写真を見て「君の奥さんは美しい喉をしているね」と言ったり、ハーカーが指をケガした時にじーっと凝視したりするシーンは、不気味ですが愛嬌もあります。

またトランシルヴァニアからブレーメンに向かう際の棺桶の輸送手続きをみずから行っていただけでなく、船で町に到着した際にもお屋敷まで自分で棺桶を運んでいました。伯爵なのに僕はいないのかしら...と心配になる一面も。意外とマメな人なのかもしれない。まあ、余計なお世話ですね。


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元の顔が驚くほど不気味なので、とがった耳と吸血鬼の牙をつけるだけでメイクはOKだった、と言われているマックス・シュレックさんの素顔はこんな感じ。

そんなに不気味かしらね。少なくとも素顔のままでじゅうぶん吸血鬼っぽいということと、その昔、地下鉄に乗っていたあの人はやっぱり吸血鬼だったのかもしれない...ということを確認しました。
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by rivarisaia | 2007-01-16 23:30 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

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