チェーザレ—破壊の創造者

メディチ家が好きということは以前も書きました。そんな私はスフォルツァ家もボルジア家も好きです。しかしどの一族も悪徳、陰謀、毒薬、残虐といったコンテクストで語られることが多く、それはそれでおもしろいんですけど、異常だよ異常!と切り捨てる本ばかりというのも困りもの。私は勝手に澁澤龍彦と桐生操のせいにしています。澁澤と操を一緒にするな!と怒られるのは承知の上ですが、根本的なノリは同じだと思うのよ。

チェーザレ・ボルジアも残忍な面ばかり強調されると、マキャヴェッリの『君主論』との間に微妙なズレが生まれて(マキャヴェッリが支配者は残酷を恐れてはならぬと主張しているにしても)、モヤモヤした気分にさせられます。

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冷酷非道なイメージがつきまとうチェーザレさん。でも頭脳明晰でイタリア統一を目指した知的行動派。


さて、モヤモヤ解消には、塩野七生さんの『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』(新潮文庫)しかなかった、今までは。しかし、新たなモヤモヤ解消剤が!


       『チェーザレ—破壊の創造者』惣領 冬実 講談社
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モーニングに不定期連載のマンガです。単行本は2巻までしか出ていませんが、以下続刊。アマゾンから内容を引用します。

歴史の闇に葬られた人類史上、最も美しき英雄、チェーザレ・ボルジアの真実が甦る。新鋭ダンテ学者・原基晶が監修。世界的に最も定評のあるサチェルドーテ版チェーザレ・ボルジア伝のイタリア語原書を翻訳し、精査を重ね生まれた全く新しい物語。


待ってたよー(泣) 美しき英雄像のチェーザレを! そして謎に包まれた側近のミケロットもいい感じに描かれていてうれしい。

濃い内容ですが人物相関や地理に詳しくなくても、アンジェロという登場人物が解説要員の働きをしてくれるので、難なく理解できるはず。ダ・ヴィンチやコロンブスが登場する2巻では、ダンテの『神曲』についての短くてわかりやすい解説が付いているところにグッときました。

今のところ、チェーザレもジョバンニ(メディチ)もピサにて学生生活中で、ルクレツィアはまだ登場しません。これからの展開が楽しみです。かなり大変だと思いますが、ナヴァーラでの非業の最期まで描ききってほしいと、惣領さんはじめ制作チームを応援したい。

そしてサチェルドーテ版のボルジア伝(1950年刊行)も読みたいなあと思うのでした。イタリア語で読むのは私にはちょっと無理...。邦訳出してくれないでしょうか。
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Commented by まるま at 2007-02-01 21:27 x
これはまた、すばらしいマンガのご紹介、ありがとうございます。
さっそく読まねば!
ボルジア伝の邦訳、ほんと、出していただきたいです。チェーザレさんというと、なぜかヴィスコンティ監督を連想する支離滅裂な私は、『地獄に堕ちた勇者ども』を大画面で観たくなってきました(小さい画面でしか観たことがないので)。
Commented by rivarisaia at 2007-02-02 01:29
2巻までは序章、これから物語が動き始める感じですが、期待大です。
相当な量の資料に当たっているらしく、衣装や町並みなどもいいんですよ。

ヴィスコンティ監督を連想する気持ちがわかるような気がいたします。
映画化するならヴィスコンティ監督がよかったなあ。

マリオ・プーヅォが書いたボルジア小説『ザ・ファミリー』もなかなか面白いです。『ゴッドファーザー』とかぶる部分もあって、なるほど....と。
by rivarisaia | 2007-02-01 20:48 | | Trackback | Comments(2)

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