新作は「薔薇の名前」を再読して待てと

ウンベルト・エーコの小説は読み応えがあって、充実した読書時間が過ごせる上に読み終わった後の妙な達成感が好きなんですが、この達成感は再読時にも味わえるのでした。

難解だ、難解だ、と言われつつも、今にして思えば日本語訳でいちばん読みやすい本はやっぱりこれです。

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薔薇の名前』 ウンベルト・エーコ著 河島英昭訳 東京創元社

『フーコーの振り子』については前にサラリと書きました。すいません、『前日島』は息も絶え絶えになりながら読んだもので、今はスルーさせてください。

ところで、あえて「日本語訳」と書いたのにはわけがあります。

当初は英語版を買おうとしていたところ、アメリカ人の友人が「おもしろいんだけどさー、1ページに知らない単語がいっぱい出てきて....ううう」と言っているのを聞いてやめた。君らが知らない単語は、たぶん私も知らないだろう。

そんなわけで邦訳で読んだ際に、しみじみと「英語だったら読めなかったであろう。ありがとう!」と実感したものでした。

後日、今度はイタリア人の友人に、「ラテン語とか出てくるから読んでない...。ラテン語の部分は日本語でどうなってるわけ?」と聞かれる。ラテン語の部分は邦訳ではカタカナ表記です。読みにくいので、正直に言うと私はナナメ読みでした。

『薔薇の名前』は、知識があればより深く、知識が無くても基本が推理小説なのでちゃんと楽しめる、という点がいいですね。よくわからない部分は「へー」とつぶやいて先に進んで構わないと思うのですが、おかげさまで2度、3度と読み返しても毎回新鮮な発見が(笑)。この本から自分の興味が派生していくのが気持ちいいです。映画も何度観てもすっばらしい。


さて、私はなぜ今頃エーコの話をしてるんでしょう。それは新作(といっても数年前に出た本)の邦訳は一体いつになったら出るのか?という発作がまた起きたからです。

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出る、出る、とウワサだけは聞いている『Baudolino』は、話のうまい嘘つきな騎士バウドリーノが語る奇想天外な冒険物語。中世、十字軍、コンスタンティノープル、聖杯...とキーワード的にはバッチリだ。

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つづいて『La misteriosa fiamma della regina Loana(英訳:Mysterious Flame of Queen Loana)』は、記憶喪失に陥った書籍商の話。イタリアの大衆文化の寄せ集めから人間の記憶を紡ぎ出すそうです。おもしろそう。こちらの邦訳は.....まだ先ですよね....。

翻訳は大変だろうと容易に推察できるので、急かしたくはないんですけど、待ちくたびれてきました。それともこれは、私にエーコを英語またはイタリア語で読め!ということなのか、読み終える前に邦訳出るんじゃないのか、と考え続けて早数年。また、『薔薇の名前』でも読むか。


追記:『Baudolino』の感想はコチラ
『Mysterious Flame of Queen Loana』も読みました。コチラ
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Commented by hana at 2007-04-21 22:09 x
お久しぶりでっす!
やっぱり!エーコ、好きなんじゃないかって思っていました(笑)。私も全く同じ本(これってハードカバーですよね?)を10年前に初めて読みきりました。
購入したのは、まだ高校生の時(!)でしたが、その時は読みこなせず、何年か放置していたのですが、そろそろ読めるかな~っと思って読んだのがこれです。
映画版は観ましたか?私の中では、BEST 3に入るくらい大好きな映画なんです。
Commented by rivarisaia at 2007-04-23 14:59
hanaさん、お久しぶりです!
そうです、エーコ好きです! あははは。わかりやすい自分。

これは映画も好きですよー。映画のおかげで本も読みやすくなったような気がします。特に図書室のイメージが本だと頭の中に出てこなかったし。どんな図書室なのよ...という感じでした。

初めて購入したときは、読み終わるのにやけに時間がかかったのを覚えています。で、解説本も借りてみたんんですけど、解説本は読むのにもっと時間がかかった....。あれれ?
by rivarisaia | 2007-04-20 23:58 | | Trackback | Comments(2)

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