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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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パラダイス・ナウ

GWの浮かれ気分なんて吹き飛ばす映画。と言っても、私が観たのは1ヵ月も前なんですが、何をどう書けばいいのかしらねと逡巡してました。いろいろと考え込んでしまった。でもね、これは多くの人に観てほしい映画。

パラダイス・ナウ(Paradise Now)』監督:ハニ・アブ・アサド 公式サイト

イスラエル占領地のパレスチナ、ナブルスで暮らす幼なじみのサイードとハーレド。閉塞感の漂う、夢も希望もない生活を送っている2人は、ある日、パレスチナ人組織の交渉代表者から「明日、君たちはテルアビブで自爆攻撃を遂行することになる」と告げられる。


2006年のアカデミー賞外国語映画部門にノミネートされた映画ですが、直前にノミネートから外すよう署名運動が起きてもいます。自爆攻撃を行なう者に共感し、その行為を正当化するものである、というのがその理由。

事前に知っていたのがそんな情報だったので、テロリストの立場に深く同情するような物語なのだろうと思っていましたが、そんな安易な共感を求めるような映画ではなかった。

2人はどこにでもいるような、ごくごく普通の若者で、信仰は厚いけど狂信的ではない。じゃあなんで自爆なんてしちゃうのか、それともやっぱり自爆はやめるのか。その決断にいたるまでの葛藤が淡々と描かれていますが、同時に多くのことを問いかけており、それに対する解答は提示されていません。

未来もなく汚名を着せられて生きているような状況で自爆攻撃を選ぶ気持ちは理解できます。でも私と彼らの境遇はあまりにも違いすぎていて、理解はできても共感はできない。同じ境遇に生まれていて、組織の人間からあんなふうに説得されたら、私も自爆攻撃を志願するのだろうか。

ここでも同じようなことを書きましたが、現実はとても複雑で、白か黒かで決定できるものではありません。ただね、絶対的な解決策なんて存在しないとしても、状況を変えようとする努力はしていかなければならないし、何よりも人間誰もがもっている弱い面を利用されるのはもうたくさん。

張りつめたラストシーンからエンドクレジットが終了するまでの静寂の中で、この現実をもっともっと考えてほしい、と言われているような気がしてなりませんでした。

「パラダイス・ナウ」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
Tracked from 【映画がはねたら、都バス.. at 2007-05-09 23:18
タイトル : 「パラダイス・ナウ」:東京駅丸の内北口バス停付近の会話
{/hiyo_en2/}なに、この異様な模様は? {/kaeru_en4/}東京駅丸の内北口に立って、頭の上を見上げてみる。すると、こういう光景が広がるんだ。 {/hiyo_en2/}さすが、東京駅。すいぶん凝った模様の天井ね。まるで、中近東かどこかにあるモスクの内部みたい。 {/kaeru_en4/}中近東?イスラエルとかパレスチナとかか? {/hiyo_en2/}それはまた、ずいぶん物騒なところを例えに出したものね。イスラエルとパレスチナって、昔から紛争が絶えない仲なのよ。 {/kaeru_en...... more
Tracked from もっきぃの映画館でみよう.. at 2007-09-02 21:59
タイトル : 福知山シネマ鑑賞第一弾「パラダイス・ナウ」 想像と180..
タイトル:パラダイス・ナウ 、製作国:仏独蘭パレスチナ ジャンル:問題作と呼ばれる/2005年/90分 映画館:福知山シネマ2(135席) 鑑賞日時:2007年8月26日(日),19:20〜 4人 私の満足度:75%  オススメ度:75%   福知山に映画館復活後最初の鑑賞。自宅から自転車で3分、一階の スーパーで飲み物を買って2階の映画館へ。この作品は、大阪か京都市内 まで見に行こうと思いながら見逃していたこともありとても得した気分。 しかも会員料金1000円で鑑賞できるとは、まさにパラダイス・ナ...... more
Commented by sei at 2007-05-10 00:55 x
さすが、春巻さま、やはりご覧になられてましたかー。私は観るべきか悩み抜いたあげく、臨月前の重い身体で受け止めきれないような気がして、今回はパスしたのです。独り身になってからちゃんと観ようと思ってます。それにしても、良きにしろ悪きにしろ、さまざまなテーマをさまざまな価値観をもって映像として力をもった媒介にしていく“映画”ってやっぱりすごいですよね。。
Commented by rivarisaia at 2007-05-10 22:01
そうね、胎教にはよくないかも......。

あ、でも残虐ではないし、感情的だったり説明的だったりといった、説教臭い演出もなく、けっこう淡々としております。淡々としているだけに、観てる最中はスルーしていて、後になって考えてみると「あーひょっとして、アレはこういう事か」と思う箇所もありました。

考えさせられるという意味ですごくよく出来てる映画でした。出産後の映画リストにぜひ〜。
by rivarisaia | 2007-05-09 02:46 | 映画/洋画 | Trackback(2) | Comments(2)