ラテン語の世界

来週から勉強関連は夏休みモードに入るので、なんだか勢いあまっていろいろ書き連ねちゃったので、またもやラテン語ネタでいいですか。すでに食傷気味の人もいるかもしれないけどさ。

そんなわけで、ラテン語ですが、じつは発音が重要で、「アー」と音を伸ばすか伸ばさないかで意味が変わったりします。私は古典の発音で学んでいますが、なぜ大昔の人の発音がわかるのか?

そんな悩めるビギナーにおすすめの本がこれ。

ラテン語の世界—ローマが残した無限の遺産』 小林標著 中公新書

ラテン語を習ってない人でも、言語学や言葉に興味があれば楽しめる本。ラテン語の歴史や発展のしかた、ほかの言語に及ぼした影響などがわかりやすく書いてあるし、何より著者の知識の豊富さとラテン語への愛情が感じられる点がいい。本書によると、研究や資料などから、紀元前1世紀の発音はかなり正確に復元できているらしい。なるほど。

ところで、塩野七生さんが『ローマ人の物語:勝者の混迷』の巻末で「日本ではラテン語の発音がドイツ式」と記しているのですが、ドイツ式って何? 要はドイツ式=古典式ということ?

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たとえば、キケロはドイツ式(古典式)だと「キケロ」だが、イタリア式だと「チチェロ」である、と塩野さんは書いているのですが、私の知り合いのイタリア人数名に聞いてみると、「古典ラテン語の発音なら、イタリアでもキケロって発音するよ」と当然のように言うんだけど......。

さらに「ドイツ式で妥当なのか」と問う塩野さんは、その理由も3つほど挙げていて、

 1. 当時の落書きから発音を推測するとイタリア式が妥当
 2. 教会式がイタリア式を採用している
 3. ラテン語で書かれた当時の文章を声を出して読むと、ドイツ式ではリズムが崩れる

ううむ.....。しかし、1番に関しては、日本の昔もそうだけど、庶民と貴族の発音は違っていたのではないかという気がするし、2番はキリスト教以前のローマとはあまり関係ないような気も。

3番に関しては、おそらく塩野さんはイタリア語の発音のほうが耳になじんでいるから、そう感じるんだろうなあと思う。フランス人に聞いてみたら、フランス式のほうがリズムがよい!と言いそうだ。

『ラテン語の世界』には、初期のキリスト教には社会の下層部の信者が多かったので、ラテン語も彼らに合わせてあり、古典ラテン語の知識を身につけた人からは嘲笑されるような種類のものだったようだ、なんて話も書いてあった。長い歴史のなかで、ラテン語にもイタリア式、フランス式、ドイツ式......という訛りが生まれていくのでした。学習者は、発音のバリエーションに臨機応変に対応できればいいのではないかと思う(私の場合、まずは古典式だ)。

よく考えてみると、ラテン語で歌を歌う人たちは大変だよね。ドイツの作曲家だからやはりドイツ式で......いやいやこれは教会式で.....この曲はやはり14世紀フランス式で....とやっているのだろうか。たぶん、そうなんだろうと思う。
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Commented by hana at 2007-07-17 21:10 x
ラテン語の発音って、これまたやっかいそうな感じですね。旦那が中国語を習っているのですが、いわゆる「四声」ってので苦労しているみたいです。
同じ「アー」でも、4つ種類があって…みたいなやつです。
ラテン語も細かい違いがあるんですね。
フムフム、勉強になります。

実は、私も春巻さんに影響受けたのか、新たな言語にチャレンジしようとしています(笑)。
お互い、バテナイ程度に頑張りましょうね。
あっ、私の場合はラテン語ではなくフランス語ですが…。
Commented by rivarisaia at 2007-07-18 23:32
「四声」は大変そう〜。ラテン語は、音を伸ばすのか伸ばさないのか、という点とアクセントの場所が重要みたい。基本的にはローマ字読みなんですけどね。

フランス語を始めるんですね! すごい! ラテン語なんかより発音がいちだんと難しそうじゃないですか〜。でもいいですねえ、フランス語にはちょっと憧れます。本や映画、音楽などでフランス関連のものはやっぱり洗練されてるものが多いので、多少できるようになったら、きっと楽しいだろうなあと思います。

お互い、ゆっくりのんびり頑張りましょうね〜!
Commented by cazorla at 2007-08-02 06:00
モーツァルトの歌曲を夫が聴いて なんとなくわかるというのはきっとスペインで習うラテン語と同じだからではないか・・と 思います。
ということは 正統派があって 方言があると言うことでしょうか。
ニュートンの論文もラテン語だから ごく最近まで 普通に使われていたんですね。 (最近 と言えるか と自分でつっこむ)
Commented by rivarisaia at 2007-08-02 22:18
おそらく、正統派があって、各国ごとに方言のようなお国柄があるんじゃないかと思います。そうそう、ごく最近まで論文ってラテン語だったようですよね。(だから最近って、いつ.....)

あ! ヴァチカンは、いまでも公式文書はラテン語らしいです。
それを各国の支部が自国語に訳すという.....。
by rivarisaia | 2007-07-17 20:29 | ラテン語・イタリア語 | Trackback | Comments(4)

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