紙葉の家

果たして読み切れるのだろうかとちょっと不安になりつつ、図書館から借りた本。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』としばしば比較されますが、確かに『ブレア〜』のプロモーション一環をぜんぶひっくるめたような感じかも。

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『紙葉の』マーク・Z・ダニエレブスキー著 嶋田洋一訳

身寄りもなく孤独な死を迎えた盲目の老人ザンパノ。彼の遺品を整理することになったジョニーが目にしたのは、ザンパノがあらゆる余白に残した「ネイヴィッドソン記録」についての覚え書き。それはネイヴィッドソンという写真家が撮ったドキュメンタリーフィルムに関するものだった。

ネイヴィッドソンの新居に突如あらわれた真っ暗な廊下。内側のほうが外側よりも長い。なぜ? ジョニーはザンパノの文章に解説をつけながら、ザンパノの資料を1冊の本にまとめるが、だんだんと狂気に陥っていく。


ジョニーがまとめたのが本書、という設定なのですが、とにかく800ページほどある本書は狂ってます。信用できない語り手、膨大な量の注釈と解説、



文字組、
本当に実在するのか不明な引用、無限の闇が広がる不気味な。巻末の「精神病院で死んだ母からの手紙」、文字の 欠 落。

本をナナメにしたりひっくり返したりしながら、読み進めないといけません。そういう文字組なんです。しかもという文字だけが青、という本文2色刷り。この本の編集者+デザイナーには、おつかれさまですとしか言いようがないです。

話としては複雑な入れ子状のメタフィクション。家族や友との別離もテーマのような気がいたしますが、何よりもとにかくザンパノが書いた「ネイヴィッドソン記録」がじわじわと怖かった。闇がどんどん膨張していくが怖い。探索に入った人たちのパニック、ミノタウルスの記述が棒線で消してあったり、文中に「欠落」があるのが怖い。子どもの絵が怖い。怖いといっても、震え上がる怖さじゃなくて、底知れず不気味、という感じ。

それにしても、ジョニーの母からの手紙・暗号バージョンには驚きました.....。
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by rivarisaia | 2007-08-12 23:34 | | Trackback | Comments(0)

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