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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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帰郷

友の死体をかついで故郷に帰る.....ときたら『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』を思い出しますが、それとはまた全然違うテイストの、中国版・泣き笑い死体運びロードムービー。監督がティーチ・インでもおっしゃっていたように、コメディタッチで笑わせつつも、現在の中国が抱える問題もさりげなく描いている作品。

帰郷(落葉帰根/Getting Home)』監督:張楊(チャン・ヤン)

死んだ同僚を故郷に連れ帰るため、深センから重慶を目指す中年男(趙本山・チャオ・ベンシャン)。しかし途中、バスに乗車拒否されてしまい、遺体を背負って歩いていくはめに......

実話を元にしてるっていうのがすごいです。事前に「どうやら実話らしい」と聞いて、思わずチケットを取ってしまった私(実話では福建省から湖南に向かったらしい)。あとから監督がチャン・ヤンだと知る(『スパイシー・ラブスープ』『こころの湯』『胡同のひまわり』)。

悪いやつが意外と義侠心に富んでいるかと思えば、普通の人がけっこう冷たかったりもする。連れが死体なだけに、仕方がないけどね。主人公が散々な目にあうたびに「ああ大丈夫だろうか」とハラハラし、手をさしのべてくれる人が登場するたび、「あんた、いい人だよ.....(涙)」とエプロン握りしめるような気分になりました。そんな私は、まるで下町のおばさん状態であった。

短いエピソードが連続しながら、山あり谷ありで重慶を目指すわけですが、途中で遭遇する脇役が充実しています。

失恋トラック運転手に胡軍、ガッツのある自転車野郎に夏雨、そして「ええ人や〜」の度合いがかなり高かった養蜂家に『瘋狂的石頭/クレージー・ストーン』のグオ・タオ。やはりしみじみといい人だった警官役に孫海英(スン・ハイイン)。彼は『胡同のひまわり』のお父さん役、というかヤーポン版『射チョウ英雄伝』の七公だ。七公がいれば、主人公の行く末も安心だわ!

監督によれば、脇役陣は、中国で国民的なコメディ俳優である主演の趙本山とバランスがとれ、なおかつ、各エピソードを短期間で撮る必要があったのでベテランの人を、という理由でのキャスティングだそうです。

それにしても驚きなのは死体役。本業は運転手さんなんですって。肌が浅黒く、見た目も労働者風、しかも体重が50キロ(主人公が背負うから、重い人はダメ)ということで抜擢されたそうですが、背負われているときの足の硬直具合が立派に死体でした。

今回上映されたのはヨーロッパ版で、一部のエピソードがカットされています。カットされた話も観てみたい。中国版も検閲で若干の修正を余儀なくされたそうですが、監督は「10年前なら、検閲は通らなかっただろうと思う映画なので、若干修正して公開できるのであれば、それはそれで喜ばしいことだと思っている」と答えていました。
Commented by きたきつね at 2007-10-22 22:47 x
うわー、見たいです、これ!
しかし、北海道には来ないか…。
TIFF、とても行きたいのですが、この時期は、時間的にも難しいのです。
というわけで、レポートを楽しみにしています♪
Commented by rivarisaia at 2007-10-24 01:12
全然違うけど、何となく寅さん的なベタな話なんですけどねー。
泣き笑いといっても気楽な感じでした。
私も本当はTIFFにどっぷり入り浸るわけにはいかない状況なのに、
無理矢理予定を入れています(苦笑)。
by rivarisaia | 2007-10-22 21:30 | 映画/香港・アジア | Trackback | Comments(2)