カイト・ランナー

音楽の秋は読書の秋でもありますね。

数年前、やたらとアメリカのサイトで評判がよく、多くの人々が「泣けた」と言っていて、そのときは「へ〜」と思ってました。映画化が決定しても(2007年12月全米公開)、「へ〜」とスルーしてました。そして今さら、何となく読んでみることに。

..........すみません、私も泣きました。もっと早く読めばよかった。

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カイト・ランナー(The Kite Runner)』カーレド・ホッセイニ(Khaled Hosseini)著 佐藤耕士訳 アーティストハウス刊

平和だったころのアフガニスタンで、あることが起きる。少年だったわたしが決して忘れられないこと。やがて、ソ連のアフガニスタン侵攻により、わたしは父親とともにアメリカに移住することになった。過去を振り返らず、未来に向かって流れる川のはずだったアメリカ。しかし、わたしはあのことを忘れることはできない。そんなある日、パキスタンにいる友人から一本の電話がかかってきた。電話を切る直前、彼はふと思いついたようにいった。「もう一度やり直す道がある」........。


いやはや後半、泣いたとかいうレベルじゃなくて、久々に涙腺が決壊しました。とはいえ、単なるお涙頂戴の話ではなく、激動のアフガニスタン、移民の国アメリカ、父と息子の葛藤、幼い頃の友情、身分の差、やり直すことのできない過去、秘密、贖罪......とさまざまな事柄が、訳者あとがきの言葉を借りるなら「精緻な機織り機によって織りこまれたかのように美しく描かれて」います。

タイトルの「カイト・ランナー」とは「凧を追う人」のこと。アフガニスタンに昔から伝わる冬の伝統行事である凧合戦では、敵の糸を切るだけでなく、糸が切れて落下する凧を凧追い(カイト・ランナー)たちがいっせいに追いかける。「凧合戦」はこの物語のなかで非常に象徴的で、読了後に「タイトルは、カイト・ランナー以外にありえないね」と実感。

凧はそのまま、人生に置き換えられるかもしれません。糸が切れてしまっても、一生懸命に走って追いかければ、今からでも取り戻せるものがある。手放しでハッピーエンドではないかもしれないけど、確かに小さな希望が灯っていました。未読の方はぜひどうぞ。
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Commented by fanfun at 2008-02-21 21:32 x
【遅ればせながら】
11月に春巻さんの感想を読み&映画化決定で読みたいと熱望してた「カイト・ランナー」読了しました。
完全に物語に引き込まれ文庫下巻は一気読み!
半日で読み切りました!
切なくそして切ない…ホントにいい作品でした。
今月末からの映画公開も楽しみです。
「春巻さんの雑記帳」いつも参考にしております。
(o^-^o)ThankYou
Commented by rivarisaia at 2008-02-21 22:50
fanfunさん、こんにちは!
「カイト・ランナー」をお読みになりましたか!後半は怒濤の展開で途中で止められなくなりますよねえ。いつか少しずつでも幸せになるといいなあ、あの子。映画はどんなふうになっているんでしょう。ちょっと楽しみです。

タイトルは、カイト・ランナー以外にありえないと書きましたが、思いっきり「キメ台詞」にタイトルが変更されて、あれれ....という感じです(笑)

また何か参考になるような感想が書けるといいのですけどー。
遠慮なくお立寄りください。
by rivarisaia | 2007-11-06 23:54 | | Trackback | Comments(2)

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