死都ゴモラ:予想以上に強敵だった....

映画でも本でも、そのうち感想書こう〜といってすぐほったらかす私。今度とお化けは出た試しがない、そのうちとお化けは出たことない、とはよく言ったものです。あんまり気がすすまないんですけど、今回は書くよ!

何かというと、このエントリで書いた本のことですよ、皆さん。

b0087556_1915189.jpg死都ゴモラ―世界の裏側を支配する暗黒帝国
ロベルト・サヴィアーノ著、大久保昭男訳 河出書房新社

大絶賛でおすすめするわけではないのが正直なところです。というのも、全体的にちょっと読みにくいのと、読後に暗い気分になるからです。でも、イタリアに興味のある人、カモッラって結局何なの?と思う人、中国とナポリの関わりについて興味のある人などは、読んでみるべき。

私は常々、イタリアと中国はいいところも悪いところも似ている、と言っていますが、そんな2つの国のある部分がタッグを組むとすごいね。たとえばアパレルの流通なんてとんでもないことになっています。よく言えば「やり手」なんですが。うむー。

偽物の製造で悪者扱いされがちな中国ですが、発注側がナポリの組織だったりして、しかも世界的な一大流通ビジネスが築き上がっていたりすると、悪いのは中国だけなのか? イタリアはもちろん、世界的な消費社会にも責任があるのではないか?と深く考えさせられますね。

そして、まだまだ続いているナポリのゴミ問題に関しても本書では1章割いており、複雑な実情を知ると「あーもうこれは当分解決しないな」という、まさに「No Way Out」という気分になることうけあい。

重い内容ですが、やや息抜きのエピソードとして、イタリア黒社会がハリウッド映画から「イメージ」の逆輸入をしているという話がありました。たとえばあるボスが『スカーフェイス』とまったく同じ家を建てさせたとか、殺し屋が映画の人物をまねて銃を射つようになったとか。息抜きというより、脱力あるいは苦笑でしょうか。

それにしてもですね、カモッラがここまで強大だとは想像以上でした。シチリアのマフィアが一瞬霞む。企業や政治、経済にガッチリ食い込んでいて、しかもイタリア国内にとどまらず国際的なことに関わっているので、カモッラだけを何とかすれば解決という単純な問題でもないのだった。

そんな強大な相手にペン1本で立ち向かってる著者のサヴィアーノ。家が借りられないならナポリから引っ越したらいいのに、と弱腰な私などは思ってしまうのですが、同じくペン1本でシチリアのマフィアに立ち向かい、暗殺指令が出されているジャーナリストでリリオ・アッバーテさんという方がいらっしゃいます。

リリオさんは自分の車に爆弾を仕掛けられたとき(警察が発見して事なきを得た)、「もし自分がシチリアを去ってしまったら、シチリアの人たちのためにならない。ここに残って、自分は怖れてはいないということを示すのだ」と語っておりました。サヴィアーノさんも同じ心意気なのでしょう。

侠だね....あんたたち(泣)がんばれとしか言えないけど、心から応援するよ。


●追記:映画も観ました。感想はコチラ

あと、シチリアのマフィアをテーマにした小説ですが、イタリアが誇る作家レオナルド・シャーシャの『ちいさなマフィアの話』もあわせて読むといいかも。
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Tracked from イタリア人の失望 at 2010-04-21 23:00
タイトル : マフィアに関して黙れ!
イタリアの首相が自分の場違いな軽口で悪名が高い。 知ってたでしょう? 例えば、オバマ大統領が良い日焼けしてるということを言い出した時、覚えてる? ほぼ毎週、ベルルスコーニが何かの変なコメントぎ..... more
Commented by 日本も同じ危険 at 2014-06-08 07:21 x
昔マフィア裁判というドキュメント番組がTVででて、裁判官を被告が露骨に脅迫していた。そのファルコーネ判事は結局暗殺された。アンドレッティ首相が一味と言われ、この事件で政界大変動でベルルスコーニがでてきたが、これまた一味と言われた。本書に一味が、この政党に投票することもでてる。キリスト教民主党総裁の暗殺の詳細もでている。コカイン戦略もでていて、逗子海岸で120キロもの大量押収もあり日本も裏では、何かが動いていそう。日本の暴力団もカモッラ戦略を真似ているようで、隠密化・企業化が進行していそう。暴力団対策法ができた時、Y組関係者が都銀各行の筆頭株主に登場し、住銀が食い物にされ数千億円もとられた程深刻であった。日本の暴力団情報と対比して本書を読む時、本書は貴重であろう。
by rivarisaia | 2008-05-31 20:29 | | Trackback(1) | Comments(1)

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