もう秋ですが、サラゴサ手稿は
2008年 09月 23日
『サラゴサ手稿』という小説があります。18世紀後半から19世紀初頭にポーランドの貴族ヤン・ポトツキが書いたという寄書で、ポーランド版千夜一夜物語、とかデカメロンと評されている本です。
日本語版は、国書刊行会から出ていた『世界幻想文学大系19巻 サラゴサ手稿』(工藤幸雄訳/絶版)の抄訳版しかありません。

上の絵が作者のポトツキさん。本書のあらすじはこんな感じです。
1章が1日、全部で66日間の物語。話の中に話が挿入されて、語り手が次々に変わる入れ子構造になっており、どういうわけだかどいつもこいつも「目が覚めると必ずそこは絞首台の下」という状況に…。
ナゾがナゾを呼ぶ展開なんですが、「世界幻想文学大系」には66日のうち14日目までしか収録されていないため、続きが気になるところでブツリと終了。
この読者生殺し状態のまま、20年以上が経過してます。
昨年読んだ、翻訳家の工藤先生の『ぼくの翻訳人生』(中公新書)にて、工藤先生が『サラゴサ手稿』を全部訳し終わってることを知る。いつ、どこから出るのだろうかと思っていたところ、今年の春先、東京創元社のメルマガで、完訳版が6月に出るというアナウンスがあった。
キターーー!きた、きた、きた、きた、ついにきたー!
と小躍りした人は私以外にもたくさんいたはず。
しかし!
6月になっても、新刊リストに入ってない。創元に問い合わせてみたところ、秋に延期予定という返事をいただきましたが、7月5日に翻訳家の工藤先生が亡くなってしまった。ううむ。その後、どうなったのでしょうか。そろそろ秋ですが、いかがでございましょうか。

英語なら完訳版がペンギン・クラシックから出てるんだけど、656ページも英語で読むのはちょっとなあ。日本語で読みたい。工藤先生の訳で。がんばれ、創元!
本作はポーランドで映画化もされていて、リンチもブニュエルも大絶賛。ちょっと観たい。でもまずは日本語版の本を先に〜!
日本語版は、国書刊行会から出ていた『世界幻想文学大系19巻 サラゴサ手稿』(工藤幸雄訳/絶版)の抄訳版しかありません。

上の絵が作者のポトツキさん。本書のあらすじはこんな感じです。
ナポレオン戦争の際、あるフランス人将校がサラゴサにて奇妙な手稿を発見した。それはスペイン人の騎士アルフォンスが記したものだった。
マドリッドに向けてシエラ・モレナ山を越えようとしていたアルフォンス。しかし、そこは絞首刑になった山賊・ゾト兄弟の幽霊が出るという噂の土地だった。廃れた宿屋で夜を明かそうとしたアルフォンスは、美しく妖しいムスリムの姉妹に出会う。姉妹とめくるめく甘美な一夜を過ごしたアルフォンスだったが、目が覚めるとそこはなぜか絞首台の下であり、かたわらにはゾト兄弟の死体が横たわっていたのだった。
さらに道を進むアルフォンスはある隠者に出会う。そこで聞いた不思議な物語は、アルフォンスの体験と似ているのだった…。
はたして謎の姉妹の正体は?これは夢なのか、現実なのか?
1章が1日、全部で66日間の物語。話の中に話が挿入されて、語り手が次々に変わる入れ子構造になっており、どういうわけだかどいつもこいつも「目が覚めると必ずそこは絞首台の下」という状況に…。
ナゾがナゾを呼ぶ展開なんですが、「世界幻想文学大系」には66日のうち14日目までしか収録されていないため、続きが気になるところでブツリと終了。
この読者生殺し状態のまま、20年以上が経過してます。
昨年読んだ、翻訳家の工藤先生の『ぼくの翻訳人生』(中公新書)にて、工藤先生が『サラゴサ手稿』を全部訳し終わってることを知る。いつ、どこから出るのだろうかと思っていたところ、今年の春先、東京創元社のメルマガで、完訳版が6月に出るというアナウンスがあった。
キターーー!きた、きた、きた、きた、ついにきたー!
と小躍りした人は私以外にもたくさんいたはず。
しかし!
6月になっても、新刊リストに入ってない。創元に問い合わせてみたところ、秋に延期予定という返事をいただきましたが、7月5日に翻訳家の工藤先生が亡くなってしまった。ううむ。その後、どうなったのでしょうか。そろそろ秋ですが、いかがでございましょうか。

英語なら完訳版がペンギン・クラシックから出てるんだけど、656ページも英語で読むのはちょっとなあ。日本語で読みたい。工藤先生の訳で。がんばれ、創元!
本作はポーランドで映画化もされていて、リンチもブニュエルも大絶賛。ちょっと観たい。でもまずは日本語版の本を先に〜!
2022年2月9日追記:
なんかこの昔の記事にアクセスがあるみたいなので追記します。昨年末から年初にかけて、ついに出ましたねーー!まさかの岩波書店から、畑 浩一郎訳で上・中・下の3巻セット。みなさん、もう買いましたか? 私は買ったよ(感涙)ちびちびと大事に読んでる。感想はそのうち書きます。
待たされたよ、長かったよと思いつつ、わたしも小躍りしたひとりです。でも版元に問い合わせされた春巻さんの愛の深さには負けました(あ、勝負事じゃないですね。どうも『仁義なき戦い』を引きずってます……)。早く日本語訳が読みたいです~。
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6月の予定に「サラゴサ発売」とメモ書きまでしてたのに、なんでなのー?と動揺のあまり、版元にお伺いを立てました。
工藤先生がご存命のうちに完全版をドドーンと出して欲しかったなあというのが残念ではありますが、まさかお蔵入りってことはないですよねえ?フロストも時間はかかったけど出たしなあ。出ますよねえ、きっと。
も、もう1回聞いてみるべきでしょうか。
工藤先生がご存命のうちに完全版をドドーンと出して欲しかったなあというのが残念ではありますが、まさかお蔵入りってことはないですよねえ?フロストも時間はかかったけど出たしなあ。出ますよねえ、きっと。
も、もう1回聞いてみるべきでしょうか。
僕も心待ちにしてる一人なのですが、いつになったらでるんでしょうね……。
hengfuさん、こんにちは。
1年経っちゃいましたね!!(苦笑)
別の友人が問い合わせたところによると、出版の暁にはメルマガでお知らせします、というような返事だったようですが、ぜんぜんなんの気配もないですね...。
もういいかげん出してほしいよ...何か問題があるのなら教えてー
1年経っちゃいましたね!!(苦笑)
別の友人が問い合わせたところによると、出版の暁にはメルマガでお知らせします、というような返事だったようですが、ぜんぜんなんの気配もないですね...。
もういいかげん出してほしいよ...何か問題があるのなら教えてー
rivarisaiaさん、こんにちは。
冗談じゃないですよーホント(笑)どんだけ待たせるんだか…。
>出版の暁にはメルマガでお知らせします
来年の今頃まで出なかったらまたここに『もう翌々年の夏ですが、
サラゴサ手稿は(笑)』って書き込みますね(苦笑)
ところで、rivarisaiaさんが上でご紹介していた英訳版のサラゴサ手稿ですが、大部分(全文ではありません)がGoogleBOOKで読めるようですね。
出版社に恨まれると悪いので、URLは控えますが(笑)
冗談じゃないですよーホント(笑)どんだけ待たせるんだか…。
>出版の暁にはメルマガでお知らせします
来年の今頃まで出なかったらまたここに『もう翌々年の夏ですが、
サラゴサ手稿は(笑)』って書き込みますね(苦笑)
ところで、rivarisaiaさんが上でご紹介していた英訳版のサラゴサ手稿ですが、大部分(全文ではありません)がGoogleBOOKで読めるようですね。
出版社に恨まれると悪いので、URLは控えますが(笑)
hengfuさん、来年の夏までには出てほしいですね! 出なかったら腰が抜けますよ。もう何年(いや何十年)待たせるんだよ…と。秋になったら、また問い合わせてみようかしら...。
ほんとに何で出ないのか、それなりの事情があるなら教えてほしい。
英語版はGoogleBookで読めるのですねー。でも私はここまで待ったからには工藤先生の日本語で読みたい!(とか書きつつ、あとで検索してみるかも)
ほんとに何で出ないのか、それなりの事情があるなら教えてほしい。
英語版はGoogleBookで読めるのですねー。でも私はここまで待ったからには工藤先生の日本語で読みたい!(とか書きつつ、あとで検索してみるかも)
by rivarisaia
| 2008-09-23 21:40
| 書籍
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