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2007年 02月 06日 ( 1 )

墨攻

諸子百家が活躍した中国古代の春秋戦国時代。当時の思想集団に「墨家(ぼっか)」があった。歴史上から姿を消した「墨家」についてはまだ不明の点が多い。

...とまあ、さも知ったようなことを書いてますが、酒見賢一さんの小説を読むまで「墨子は兼愛」しか知らなかった私。酒見さんの小説を森秀樹さんがマンガにして、マンガをさらに映画化したのが『墨攻』です。監督はジェイコブ・チャン(張之亮)。

紀元前370年の中国。大国・趙の大軍の前に、落城の危機に直面する小国・梁。梁王は墨家に援軍を求めるが、やってきたのは革離(アンディ・ラウ/劉徳華)ただ1人であった。

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戦乱の世にあって、特筆すべき墨家の教えは「非攻」と「兼愛」。大国が小国を侵略する行為を認めない、他国を攻めてはならない、自分を愛するよに他人も愛せ、と書くと博愛主義的ですが、ここで興味深いのは、墨家は徹底的に守り抜くという「防御戦」に長けた集団だったのではないか、という視点です。

それにしても「非攻」の精神はどこぞの政治家に聞かせてやりたいですね。小説も映画もフィクションですが、墨家に興味をもつにはいい機会なので、ぜひ映画館で観ることをおススメしたい。

欲を言えば、だんだんストーリーが散漫になっていく気がしたのは残念。あと革離はなぜ1人で来たのか、という所をもう少し突っ込んでほしかった。小説では、時代とともに変化していく墨家に反発し、あくまでも尊ぶべきは「任」(任侠)であるとして梁にやってきたのだ、という背景がありましたが、映画はその辺がやや曖昧。

やはり初めのうちはガチンコ墨者っぷりをもっと発揮してもらって、人心を掌握していく過程を見せてほしかったと思う反面、人間的に弱い映画版・革離にも共感できる。兼愛を説く墨家も、結局は国家のために人命を犠牲にしているというジレンマ。そこから一歩進んだ方向性を革離に示したということでは、逸悦(ファン・ビンビン/范冰冰)の存在は必要でした。でも観ている最中「そこの女ひっこめ!」と思ってしまったのは私だけでしょうか。

ところで、時代物を観る時に、服装やら調度品などに目がいくのは毎度のこととしても、今回はさらに武器に目を奪われた。そんな私の脳内をいまだにぐるぐる回っているモノが最後に出たアレでございます。アレが頭から離れないのです。アレは一体...。ややネタバレになるので、その件についてはまた別途書こうと思います。

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マンガは未読ですが小説はおススメなので映画の後にぜひどうぞ。


余談ですが、「五馬分屍」*ってセリフが出た瞬間、過剰に反応した私。字幕では別の言い方だったけど、確かに中国語で言ってたよね「五馬分屍(ウーマーフェンシー)」って!

このエントリで騒いでたヤツですよ...。
by rivarisaia | 2007-02-06 21:25 | 映画/アジア | Trackback(6) | Comments(6)

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