人気ブログランキング |

2007年 02月 24日 ( 1 )

山椒大夫

私には映画・ドラマ・マンガすべてに共通する苦手なジャンルがあります。
それは...「生き別れ」モノ。

とにかく性に合わないので、子どもの頃からできる限り避けてきましたが、溝口健二の映画はやはり劇場で観なくては意味がない。となると必然的にコレも劇場で、ということに。

山椒大夫』(1954年)
出演:田中絹代、花柳喜章、香川京子、進藤英太郎 ほか  
撮影:宮川一夫
1954年ヴェネチア映画祭で銀獅子賞を受賞

b0087556_23284733.jpg


意地でも泣くものか、と思ってましたが、田中絹代と香川京子を前にそんな決意はもろくも崩れ去った。50年を経てもなお、現代社会に通用するテーマ。それだけ世の中変わってないということか...。そんなことも含め、あらゆる点で衝撃的な映画でございました。

もっとも衝撃的なのが映像の美しさであるのは言うまでもありませんが、改めて「もうこういう映画は出てこないだろうなあ」という気がする。

溝口健二に限らないのですが、どうしてこうリアルなのか。最近の時代物はどれも「現代人がいかにも昔っぽくやってます」としか見えない。それに対し、「その時代に行って撮影してきました!」と言わんばかりの雰囲気。

白黒だから余計にそう感じるのかもしれませんが、美術や風景、台詞、カメラワークに加えて、役者の顔つきや体型がどれも今とは違うんですよね。そうしたリアリティに加えて、余計なモノが削ぎ落とされた画面から生まれる余韻の迫力は一体...。

b0087556_23244443.jpg

たとえば『山椒大夫』で安寿が入水する場面。ここで泣かせる台詞のひとつでも言われたなら、出る涙も速攻で乾くと思うが、木々の間をゆっくり進む安寿、静かに広がる波紋、これだけで訴えてくるものがあります。やっぱり溝口健二、恐るべし。

ところで、少年時代の厨子王は津川雅彦だったんですね。ハツラツとしてた少年は、あんな青年になっちゃったのね...と変なところで別の衝撃も受けました。鴎外の原作通り、姉と弟という設定のほうがしっくりきたかもしれません。でも、香川京子の妹が健気なのと、最後の田中絹代の姿に圧倒されて、もう兄でも弟でもどうでもよくなりました。
by rivarisaia | 2007-02-24 23:36 | 映画/日本 | Trackback | Comments(4)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや