2012年 01月 30日 ( 1 )

11/22/63

日常がぐちゃぐちゃしてきたので、ここはひとつ整理をしよう、という状態にある私。そういえば、昨年の「これよま」も、気が向いたら別途感想書くと言ってたけど追いつかなそうなので、1冊だけ受賞作以外からピックアップしてみます。

どれにするか悩んだけど、ここは849ページを私に一気読みさせたこちらの作品で。

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11/22/63』Stephen King著、Scribner

じつは本書を読む前にウォールストリートジャーナルで目にした紹介記事がおもしろかったんですよね。

記事中にあるエピソード。ある日キングがフロリダのスーパーで、ひとりの女性に「あなたホラー作家でしょ、あなたのこと知ってるわ」と話しかけられるわけですよ。彼女はつづけて「私はね、そういう小説は読まないの。私が好きなのは『ショーシャンク』みたいな話」と言うので、「それも私が書きました」とキングが答えたところ、書いたのはあなたじゃないでしょ、と否定され女性は去っていったという……(ひどい)

本書は、そんな『ショーシャンク』みたいな話が好きな女性にも自信をもっておすすめできますよね、スティーヴン!

ということで、前にも書いた通り、本書はホラーではありません。そのうち邦訳が出ると思うので詳しい内容は割愛しますが、ざっくりした本筋は「主人公の教師がふとしたことからタイムトラベルをしてケネディ暗殺を阻止することになる」というものですが、ケネディ暗殺はメインであってメインではない(なにその矛盾)。

正直読む前は、「アメリカ人はほんっとにケネディ暗殺の話が好きだよな。いくつもの陰謀論が出てきたらどうしよう」という気分でいた私ですが、いざ読みはじめたら、想像していた話とはちょっと違っていて、逆に物語にどっぷりひたりました。ちなみに陰謀論は出てこないので、それ系の話を期待しているとあてが外れます。

既存のキング読者へのサービスもあって、なつかしい人たちが登場したりもしますよ!(もちろん、ここで過去の本を読んでなくても楽しめます。印象に残る、いい場面があってだな…)

50年代後半〜60年代前半のアメリカの描写が秀逸で、本当にその時代にいるような気持ちになってくるのもさすが。ケネディ暗殺現場である、ダラスの教科書倉庫には私も行ったことがあるんですけど、薄れていた記憶がくっきり蘇りました。

あの時代は、古き良き時代と懐かしまれる時代だったと同時に、現代とくらべると非常に息苦しい空気が充満していた時代。その息苦しさが伝わってきて、現代から過去に戻るのって厳しいよな…とつくづく感じた私です。そしてたまらないのがルートビアの登場場面。私は、こんなにうまそうにルートビアを表現してる文章を読んだことないよ!

過去に起きた不幸な出来事を変えられるとしたら、あなたは変えますか。でも過去の不幸を取り除けば、めでたしめでたしでその後バラ色の未来になるとは限らないよ。出来事というのは「点」だけど、人生は流れていく音楽のような「ライン」だから。その音楽にあわせて人々は踊り続けるわけですよ。

読んでる途中で何カ所かボロ泣きしましたが、読了後には「In the Mood」を聞いただけで条件反射で涙が出てくるという状態に陥りましたよ、どうしてくれるの、キングめ…。
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by rivarisaia | 2012-01-30 18:38 | | Trackback | Comments(0)

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