2017年 03月 21日 ( 1 )

All Things Cease to Appear

単純なミステリーかと思いきや、予想とはだいぶ違った趣の小説でした。表紙は2種類あります。

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All Things Cease to Appear』Elizabeth Brundage著、Knopf

ニューヨーク州の田舎の、元農場の一軒家に越してきた家族。ある冬の日の午後、夫のジョージが帰宅すると、妻のキャサリンが斧で惨殺されていた。幸いなことに3歳になる娘は別の部屋にいて無事だった。犯人はいったい誰なのか。

農場にかつて住んでいた家族の話から始まって、序盤はかなりスローだし、会話文にクオテーションマークがないタイプの文章なので慣れるまで読みにくいかもしれないけど、やがて中盤あたりからじわじわと不気味さが増していき、背筋がうっすらと寒くなる。

この一軒家では以前にも事件があり、そのせいかどうやら幽霊が出るようなのだ。でも幽霊の存在を感じているのは、抑圧されて過ごしている妻だけで、夫はまったく気づかない。妻の不安は増していく。このあたりでゴシックホラー的な展開になるのかなと匂わせておいて、途中で犯人が判明してから物語は一気にサイコ・サスペンスな方向に。

事件が一応の解決をみるのに20年以上の月日が流れるのだけれど、果たして犯人は逃げおおせてしまうのか、いったいどうやって作者はこの事件に落とし前をつけるのか、途中から気になってしかたなかった。

読み終わってみると、ミステリーというよりは、サイコホラーの色合いが強く、また、壊れてしまったふたつの家族や何組かの夫婦のあり方の話でもあり、抑圧されて居場所を奪われた女性たちの悲劇でもあったのだなあと思う。

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by rivarisaia | 2017-03-21 22:24 | | Trackback | Comments(0)

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