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2019年 03月 12日 ( 1 )

佳境に入った作業と確定申告にかまけていたらもう3月。映画や本のメモ書きも溜まってきたのでさっさか更新します。

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バーニング TV版&劇場版(Burning)』監督:イ・チャンドン

ある日、街で幼なじみのヘミとばったり出会った作家志望の青年ジョンスは、彼女がアフリカ旅行をしている間、猫の世話を引き受ける。ヘミに恋心を抱いていたジョンスだったが、ヘミは旅行中に知り合ったという金持ちの男性ベンと一緒にアフリカから戻ってきて……

原作は村上春樹の短編「納屋を焼く」。読後になんとも薄気味悪い嫌な後味の残る話で、わたしはわりと好きでした。この映画は昨年末にNHKで放映されたTV版と劇場版の2種類があって、全然印象が違うものになっています。

原作に近い形なのはTV版。果たしていったいどうなんだろう?という曖昧なまま終わる。劇場版ははっきりと回答を出して、さらに原作のその後を描いています。そしてどちらも原作にはなかった「持てる者」と「持たざる者」の対比が色濃く出ていて、そこも興味深い。

若いのに何をしてお金を稼いでいるのかよくわからないギャツビーのようなベン。ジョンスは、韓国にはギャツビーみたいな人間がたくさんいる、と言う。いっぽうで、ときどき古いビニールハウスを燃やすのが趣味だと話すベンは、誰からも顧みられない不要なビニールハウスが韓国にはたくさんある、と言う。そんなハウスを燃やしてしまっても、誰も気にも留めないと言うのだった。

あったはずの井戸がなかったり、いるはずの猫の姿が見えなかったり、どこまでが現実でどこからが幻想なのかよくわからないまま話はすすむんだけれども、劇場版はある時点でくっきりと現実が姿を現わす。ただそれも、もしかすると本当に起こったことではなくて、劇場版の後半はヘミの部屋でジョンスが書いていた小説の中の出来事、もしかしたらあり得たかもしれないもう一つの現実というジョンスの願望かもしれない。

おまけ:「納屋を焼く」は広島大学大学院の山根(田野) 由美恵さんの論文の考察がとても面白いです。よかったらどうぞ>コチラで読めます。



by rivarisaia | 2019-03-12 21:53 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

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