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2019年 08月 01日 ( 1 )

なかなかおもしろい本を読みました。

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Gods of Jade and Shadow』Silvia Moreno-Garcia著、Del Rey

1920年代のメキシコを舞台にしたロードトリップ小説なんだけども、異色なのはマヤの神話を取り入れたファンタジーで、主人公であるヒロインのカシオペアが、冥界の王であるフン・カメーと旅に出る、という設定であるところ。

なにゆえに冥界の王と旅するはめになってしまったのか。

18歳になるカシオペアはメキシコの小さな町で生まれ育ったのだけれども、父親が死んでしまってからは母親とともに母方の実家に身を寄せている。金持ちである祖父の屋敷では、カシオペアはインディオの血が入っていると蔑まれて家政婦のようにこき使われ、いとこのマルティンからも毎日のように嫌がらせを受けていた。
そんなある日、カシオペアは祖父がいつも首から下げていた鍵をたまたま手に入れる。それは部屋のすみにある箱の鍵で、もしも中に詰まっているのが金貨なら、2、3枚くすねちゃってもわからないよね?という気持ちで、彼女は箱を開ける。
しかし中に入っていたのは、金貨ではなく骨だった。そして開けた際に骨のかけらが彼女の手を傷つけ、その傷から流れた血で、冥界シバルバーの王フン・カメーが蘇ってしまう。

素っ裸で蘇ったフン・カメーがカシオペアに着る物を持ってこさせる際、キリスト教徒であるところのカシオペアは「結婚もしてないのに男性の裸を見ちゃった。わたし地獄に落ちるかも……」と動揺する。この思考パターン、その後もたびたび登場して「結婚もしてないのに男性と一緒のホテルの部屋に! 地獄に落ちるかも……あ、でもフン・カメーは男性じゃなくて神だからいいの?」と悩ましいカシオペアなのだった。

フン・カメーは、弟ヴクブ・カメーの策略にはまって王位を追われ、体のパーツをいくつか盗られて隠されているので、まずそれらを取り返して王位も奪還せねばならない。しかし骨のかけらがカシオペアの手に入ってしまっているために、ぐずぐずしているとパワーが薄れて人間になってしまうし、カシオペアの命も失われてしまう。

というわけで、冥界の(元)王フン・カメーとカシオペアは旅に出ることに。しかし当然ながらそれを知ったヴクブ・カメーの魔の手がふたりに迫るのであった……。

全体に手に汗握るようなハラハラドキドキ感はそれほどでもなく、どちらかというとほのぼの旅してる印象もあるんだけど、いかんせんマヤなので、首を切り落としたり、血を流したりする場面もけっこうある。マヤ神話のモチーフがあれこれ登場するのが楽しいし(巻末に用語集もついてて、もっと知りたくなっちゃうね)、最後の終わり方もとてもよかった。話としては一応は完結するとはいえ、続編が出たら読みたい。

最初にふたりが助けを求めに行ったのが、地獄の弓矢の大公爵こと悪魔のロレイで「悪魔だから立場的には中立」「彼に魂を売らない限り、安全」ってことらしいんですけど(本当に?)、このロレイがなんとも言えずすごくいいキャラで、個人的にはかなりポイント高かったです(別名レラジェ、でWikipediaにも項目があるよ。この小説では緑色の目をしてます)。もしも映画化するなら誰がいいかな〜。



by rivarisaia | 2019-08-01 19:11 | | Trackback | Comments(2)

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