カテゴリ:映画/アジア( 157 )

バーフバリ 王の凱旋

もうみんな、王を称えた!? 昨年末、王を称えて一年を締めくくり、新年は王を称えて迎えた人たちもたくさんいらしたと思いますが、私もようやく先週2回ほど王を称え、燃えたぎる神聖な炎で魂を浄化しました!! おかげで心身ともにエネルギーに満ちてきた。 バーフバリ! バーフバリ!


神話の映像化とはこういうものなのか……!と心がうち震えたよね。


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バーフバリ 王の凱旋(Baahubali 2: The Conclusion)』監督:S・S・ラージャマウリ


古代インドのマヒシュマティ王国で名を轟かせた伝説の王バーフバリの物語。


国民から愛され絶大なる支持を得ていたのにもかかわらず、暴君バラーラデーヴァにその地位を奪われたアマレンドラ・バーフバリ。彼の生い立ち前半と、その息子マヘンドラ・バーフバリの生い立ちを中心にした話が、日本で昨年公開された『バーフバリ 伝説誕生』でした。


続きものなので、前作を観てないと話がわからないと思うのは当然なのですが、今回、上映前に5分でわかる前作ダイジェストがあるので(流れない映画館もあると聞いたので、下にはっとく)、それさえ観ておけばまったく問題なく話についていけるから大丈夫。いずれにしても観終わってから『伝説誕生』も観よう!ってなるだろうし、そうすると『王の凱旋』もまた観たくなるというループになるとおもう。


私は前作を観て数時間後に『王の凱旋』を観たんですけど、前作はまさかの壮大な前フリだった……というか『王の凱旋』があまりにすごすぎて度肝を抜かれ続け、前作の記憶が消し飛んだ。だって、開始早々クライマックスで、そのあとも休みなくずーっとクライマックスに次ぐクライマックスで、映画が終わってハッと我に返ったら2時間半近く経ってた。びっくりするくらい時間の長さが気にならなかったんですけど、これが恐るべし偉大なる神話の力か……。


王者バーフバリ(父&息子)はもちろん、王家に仕える奴隷剣士カッタッパはじめキャラクター全員がすばらしく、中でも国母シヴァガミの眼力とバーフバリ父のお妃デーヴァセーナの最強の戦士っぷりがさいこう。


デーヴァセーナは相手が国母だろうが、王だろうが、権力に怖気づくことなく言いたいことはハッキリ言う。積年の屈辱にも耐えに耐え、生首を放り投げで不敵な笑みを浮かべ、炎を頭上に頂き満願成就する、デーヴァセーナ妃! 万歳!!!


ポスターにもなっている、バーフバリとデーヴァセーナが共に弓を射るシーン、大好き。思い出すだけで、幸せだ。


映画のこと何も書いてないに等しいけど、とりあえず今回はこの辺で。王を称えたという報告でした。


前作のあらすじダイジェストをはっておきますね。まだ称えてない人はさっそく王を称えに行ってー。





そして今回の予告はこちらです。映画を観たらわかるけど、本編すごすぎてこんなものではなかった……









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by rivarisaia | 2018-01-15 12:07 | 映画/アジア | Trackback | Comments(4)

カカバカバ・カ・バ?

東京国際映画祭で〆の1本だったのが、これ。マイク・デ・レオンの抱腹絶倒ミュージカル・コメディ、デジタル復元版。

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カカバカバ・カ・バ?(Kakabakaba Ka Ba?/Will Your Heart Beat Faster?)』監督:マイク・デ・レオン

タイトルは「ドキドキしちゃう?」というような、そんな意味。

フィリピンに麻薬を密輸しようと試みては、何度も失敗している日本人ヤクザの小野田(!)。失敗するたびに指を詰めていたのだが、ボスから次にメンツを潰したらどうなるかわかってるだろうな、と最終通告が出て、今度こそ!という覚悟でフィリピンへ飛ぶ。

そして小野田は、飛行機内で隣あわせた青年ジョニーのポケットに謎のカセットテープをしのばせ、あとで仲間とふたりで回収を試みるのだが、まったく計画通りにいかず……

小野田と日本人ボスはときどき聞き取れないけどカタコトの日本語で話す。けっこうベタなギャグも最初はおもしろいけど、途中からまったりしてきて、確かに歌う場面はあるけど(ジョニーがバンドをやっている)、どこがミュージカルなのかしら、と首かしげながら観てたんですが、青年ジョニーと友人ノノン、ヒロインのメラニーとナンシーの四人組が教会に潜入し、似非シスターたちが天使にラブソング状態になった終盤からの怒涛のミュージカル展開がやばかった。

なんだろう、ラスト直前の、ニッポンvsフィリピンそれからvs中国の畳み掛けるようなめくるめく歌と踊り。労働力の安いところに工場つくるのだ! エセ神父とシスターを使い、庶民をだまくらかしてヤク漬けにして国を支配するのだ!というヤクザ勢と戦うフィリピン勢。そこに乱入する中国マフィア。謎のマシンも登場するし、サムライ出演のロッキーホラーショーっぽくてカオス!

最後の歌い踊るシーン、もう1回みたい。〆の1本にふさわしい作品でした。


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by rivarisaia | 2017-11-09 11:01 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

大仏⁺

東京国際映画祭の3本目。本作は2014年の『偉大なる仏様(大佛)』という短編がもとになっていて、私はそちらは未見なので機会があったら短編も観てみたい。

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大仏⁺(大佛普拉斯/The Great Buddha+)』監督:ホアン・シンヤオ/黄信堯

仏像工房で夜間警備員をしている男は、夜間勤務の時間帯を廃品回収をしている友人とエロ本を見たり、まずい弁当を食べたりしつつ、まったりと過ごしていたのだが、ある日、友人の提案で社長の車のドライブレコーダーを覗き見することになる。

はじめは社長と愛人がいちゃつく姿をこっそり楽しんでいたふたりなのだが、ドライブレコーダーには衝撃の映像が録画されていて……

ほとんどがモノクロなんだけれども、ドライブレコーダーの映像だけカラーになる。白黒=底辺の人たちの生活、そしてカラーはきらきらとした金持ちの生活を表している。夜間警備員も、廃品回収者も、商店の兄ちゃんも、灯台にくらす謎のホームレス(余談ですが、めっちゃわたしの友人に似ていて親近感がMAX)も、甥っ子を騙してまでしたたかに金を取るメガネ屋のおっちゃんも、なんだかもうとにかく生きるのにせいいっぱいで、どこにも行き場のない人たちだらけで本当に切ない。

あまりに切なくて、私は廃品回収の彼が、少なくとも美味しい食事ができたことはよかった、心底よかったと思ってしまったのだが、しかしあまりにも人生はつらかった。

それにしても、仏像工房の社長演じるレオン・ダイ/戴立忍のアレには驚愕した(笑) ずいぶんとシリアスなことをコミカルに描いているんだけれども、実際に人生はそういうものかもしれないね。




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by rivarisaia | 2017-11-07 01:10 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

超級大国民

1995年の東京国際映画祭で上映された作品で、22年ぶりの上映。デジタル・リマスター版で、字幕も新しくなっています。

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超級大国民(超級大國民/Super Citizen Ko)』監督:ワン・レン/萬仁

90年代の台湾。老人ホームにいた許(コー)さんは、30年前に死んだ友人のお墓を探そうと決めて施設を出る。

戒厳令がしかれ、白色テロが横行していた50年代、許さんは政治的な読書会に参加したことで逮捕されていた。投獄され、拷問に耐えきれなかった許さんは、逃げた友人の陳(タン)さんの名前を洩らしてしまう。その結果、陳さんはつかまって処刑され、許さんは釈放されたのだった。

娘の家に居候しながら昔の友人を訪ね歩く現在の許さんと、彼の過去を交互に描きながら、許さんの人生がだんだんと明らかになっていくのですが、彼自身も、彼の妻子も、とてもとてもつらい目にあっている。投獄された人とその家族の、その後の人生には言い知れない苦難が待っていて、それでも人生は長く続いていくのだった。

ようやくようやく見つけたお墓の前で、許さんが手をついて絞り出すように発した言葉は「陳さん、すみません」という日本語で、それは彼が日本語世代であるからなんだけれども、とてもやりきれない思いで私は胸がいっぱいになってしまった。今この場面を思い返しただけで、泣いてしまう。

監督のインタビューとQ&Aをはっておくので、こちらもぜひ読んでください。




予告編



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by rivarisaia | 2017-11-05 01:49 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

ポップ・アイ

東京国際映画祭が始まっているどころか終わりかけてますが、今年は私が切羽詰まってるうえに日程があわず4本だけ。しかもそのうち3本は1日で観た。今月もバタバタしてるので、ざっくりとした感想だけ残しとく。どれも公開されますように!

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ポップ・アイ(Pop Aye)』監督:カーステン・タン

仕事も家庭もうまくいかなくなってしまった冴えない中年の建築家。ある日、バンコクの路上で、幼い頃に仲良しだった象のポパイを見つける。象を買い戻した建築家は、ポパイを生まれ故郷の村へ連れていく旅に出ることに……。

のんびりしたロードムービーのようでいながら、主役の建築家が不器用で、目的地まで無事にたどりつけるのか、かなりハラハラする。旅の途中で会う人たちも、社会からはみ出ていたり、どこか間が抜けてたり、ちゃっかりしてたり(特に坊さん)。

そして思いもかけない事実も明らかになる。いやはや「ええっ!?」って驚いたよね。

しかし心に沁みる映画でした。冴えない人たちと象のポパイに幸あれ。

上映後のQ&Aで得たプチ情報ですが、象が入るのは勘弁、ということで、ロケハンが難航したようで、最終的に建築家の自宅として撮影に使われた家は、殺人事件があって借り手がいなかったお屋敷だそうです。なんと……!

また、ポパイはカートゥーンのキャラクターからきているんだけど、タイトルが「ポップ・アイ」になっているのは、もともと著作権で何か言われないようにするための対策だそう。でも、ポップ・アイ、のほうが響きも可愛いし、目を引くかな?って監督は言っていた。

主演のタネート・ワラークンヌクロ氏は、タイでは知らない人はいないというくらいのロックスターだそうで、プログレをタイに紹介し、音楽レーベルを経営している有名人だというのに、大変気さくな方でした。上映後に友だちと六本木ヒルズの大屋根プラザでしゃべってたら、通りすがったタネさんが私たちの席にやってきて一緒に話し込んじゃった!

予告





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by rivarisaia | 2017-11-03 01:43 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝(危城)

田舎の町に流れ者がやってきて、正義と悪の戦いに加勢して、そしてまたどこぞへ去っていくという西部劇のような話で、アクション含め本当によかった。悪が超怖くて泣きそうだったし、まっすぐな正義の人たちの戦いっぷりも泣ける……!

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コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝(危城)』監督:ベニー・チャン/陳木勝

1914年、内戦下の中国。流れ者のマー(エディ・ポン/彭于晏)は、自警団が守りを固めている小さな村にたどり着く。平和なその村にも、各地で略奪と虐殺を繰り返す軍閥が迫りつつあった。

さて、その軍閥を率いる将軍にはドラ息子(ルイス・クー/古天樂)がおり、これがたいそう冷酷無比な男で、ある日ふらりと村にやってくると、女性と子どもを含む3人を戯れに射殺する。

正義感あふれる自警団のヨン団長(ラウ・チンワン/劉青雲)は、将軍の息子をとらえ、死刑にしようとするのだが、そこへ軍閥の将校らが現れる。その将校(ウー・ジン/呉京)はマーのかつての兄弟子であった……

という話です。

ラウ・チンワンとルイス・クーは、人の姿をしているけれども「純粋な正義/善」と「絶対的な悪」という "概念" なんじゃないかなあ。で、残りの登場人物がふつうの人々を象徴していて、その代表格がエディ・ポンとウー・ジンなんだと思うんですよね。

ふたりとも根っからの悪人ではないんだけど、過去の出来事から正義なんてないんじゃないかと諦めちゃってる若者と、いつの間にやら権力になびき、出世のために人の道を外れてしまった男。「正義」と「悪」が目の前に現れた時に、人はエディ・ポンのようにもなれるし、ウー・ジンのようにもなってしまう。

人生投げやりになっていた若者が、真の正義を目の当たりにして、失っていた大事なものを取り返すという王道ストーリー。真の正義ことラウ・チンワンの鞭さばきは鮮やかで、おまけにクライマックスで「それはアリなのかー!」という一撃が待ってたりするんですけど(大笑いした)、私が本作で悶絶したアクションは、ラウ・チンワンの妻のザルさばきです。めちゃくちゃしびれる。手にしてるのはザルだけど!

本作に登場する女性は、このラウ・チンワンの妻といい、子供を連れて逃げてくる女性教師といい、芯が強くて本当にかっこいいですね。まったく、なよなよしていない。すばらしい。私も見習いたい……。

ところで、『普通の人びと』という、普通のドイツ人がいかにして大量殺戮者となったかを明らかにしたノンフィクションがあるんですけど(これについては、ついでなので近々書きます→書きました)、エディ・ポンとウー・ジンを観ながら、この本を思い出したりしました。

人間は弱いので、うっかりしていると正義なんてどっかに忘れちゃいがちだけど、未来のためにも長いものに巻かれるなよ!って喝入れられたような映画でした。元気でるので何度でも観たい。



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by rivarisaia | 2017-06-27 19:38 | 映画/アジア | Trackback | Comments(2)

修羅の剣士(三少爺的劍)

ショウ・ブラザースの『三少爺的劍』(トンシン主演)のリメイク。オリジナルは未見…と思いきや、いややっぱり観たことあるよな……と記憶の細い細い糸をたぐりながら劇場に向かいました。が、オリジナルのことは鎖に繋がれている姜大衛しか思い出せない!

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修羅の剣士(三少爺的劍)』監督:イー・トンシン/爾冬陞 製作:ツイ・ハーク/徐克

原作は古龍です。飲み助でやさぐれた男ふたりがメインキャラなところがとても古龍っぽい。ちなみに金庸のイメージはメインのふたりがダメ男子とツンデレ女子です。久々の武侠映画だったんですけど、やっぱりいいね、武侠物! ああ、懐かしの江湖にただいま!

さて。

最強の剣士といわれた謝曉峰は、別名を三少爺(ケニー・リン/林更新)という。

彼は許嫁・慕容秋荻との結婚式をすっぽかし、その後、しばらくして行方をくらましていた。慕容秋荻は、三少爺との対決を悲願とする剣客の燕十三(ピーター・ホー/何潤東)をそそのかし、燕十三はライバル三少爺を倒すべくお山に向かう。

ところが、燕十三がお山に着くと、三少爺はすでに死んでいた。

ライバルがいなくなっていて、衝撃のあまり巨大な位牌を真っ二つに叩き割る燕殿。持病により自分の余命がもはやいくばくもないことを悟った燕殿は、気を取り直して、良いことをして余生を過ごそうと決意して田舎にこもる。

そのいっぽうで。

三少爺はじつは生きていた。

剣の世界の非情さにすっかり嫌気がさし、妓楼の下男として働く三少爺は、そこで出会った遊女の麗と親交を深めていく。

しかしやがて、三少爺が生きていることは慕容秋荻や燕十三の知るところとなりまして、さあ大変!

という話です。

主役はね、いちおう三少爺。でもね、私の記憶に深く深く刻まれたのは燕殿。

「ウワアアアアア!」と雄たけびをあげて位牌を叩き割ったのも衝撃だったけど、自分の墓を掘ったり、自分の墓石を背負って市場を歩いてたり、仲良くなった男に秘伝の技を伝授したら「まさかのお前が三少爺!? 技教えちゃったから、俺もう勝てないじゃんかよ?」ってなったり、燕殿さいこうすぎた。

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こんな刺青彫ったら、なんか性格も悪くなっちゃってさあ…みたいなことをボヤいていた燕殿。あなたの勇姿はしっかり心に焼き付けましたよ!

いずれオリジナルも見直してみます。


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by rivarisaia | 2017-06-15 18:23 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

イップ・マン 継承

ギリギリ駆け込みで観に行ったドニー・イェンの葉問シリーズ3作目。しみじみと家族愛の映画でござった。あとね、インテリアと小道具がとてもよい。

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イップ・マン 継承(葉問3)』監督:ウィルソン・イップ/葉偉信

1959年、香港。イップ・マンは妻や息子と穏やかな日々を過ごしていたが、悪徳不動産業者が息子の通う小学校の土地を強引に買収しようとしていることを知る。町のために立ち上がるイップ・マンだが、そんなある日、妻が病に倒れ……

小悪党や卑怯者は登場するけど、何がなんでも倒さなくてはならない巨悪は出てこなくて、無駄に殺される人もおらず、放たれた刺客はこてんぱんにやられて這々の体で逃げていくし、悪徳不動産王(マイク・タイソン)も、卑怯な面があったライバル(マックス・チャン/張晉)も正々堂々と戦って、結果を潔く受け入れるというところが清々しい。

約束をすっぽかしたり、さんざん妻に気苦労をかけたりもしたイップ・マン師匠ですけども、最終的には家族への愛があってこその武術、妻への愛が最優先なところが、さすがドニーさんのイップ・マンという「らしさ」がありました。個人的にはエレベーターの戦いシーンが一番の名シーンだったし、ダンスの場面もさいこう。

あと、本作のセットと小道具がいちいちすばらしくて、写真集ほしいくらい。屋内のタイルの色味だったり、さりげなく置いてある茶器やコップや紙袋がいい感じで、DVDが出たら背景をじっくり観察したい。

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by rivarisaia | 2017-06-06 18:22 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

タレンタイム〜優しい歌

多民族国家であるマレーシアの4人の高校生とその家族を中心に、民族や宗教の違いから生じる誤解や偏見を抱えつつ、異なる文化の人々が共生する多民族国家マレーシアの日常を細やかに描き出した作品。

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タレンタイム〜優しい歌(Talentime)』監督:ヤスミン・アフマド

音楽コンクール「タレンタイム」が開催されることになった、マレーシアのとある学校。成績優秀でギターの上手な転入生ハフィズ、二胡を演奏する優等生のカーホウ、ピアノと歌の得意なムルーが「タレンタイム」に出場することになり、耳の聴こえないマヘシュがムルーのリハーサルへの送迎を担当することになる。

マレー系のハフィズは母子家庭で、母親は末期の脳腫瘍で入院中。ハフィズに学校のトップの座を奪われた中華系のカーホウは、ハフィズは教師に優遇されているのではないかと疑う(これには理由があって、マレーシアではマレー人や先住民を優遇する政策があるため、華人やインド人は何かと苦労が多い)。

ムルーは英国系とマレー系の裕福なムスリムの家庭のお嬢さん。そのムルーに惹かれていくマヘシュはインド人でヒンドゥー教徒。父親はおらず、母と姉の三人暮らしで、母の弟である叔父さんに可愛がられている。マヘシュの母親はムスリムに対してよい感情を持っていない。

ムルーとマヘシュの家族を重点的に描きつつも、そのほかの登場人物についても、ちょっとした場面や台詞がじつに多くを物語っていて、しばしばハッとさせられる。

たとえば中華系のカーホウ。彼がどんな家庭で暮らしているのかは、詳しくは出てこない。ハフィズの成績の件で教師に文句を言う彼は性格の悪い少年にしか見えない。でもその直後の、カーホウが父親の車に乗るワンシーンで、彼が今まで背負ってきた苦労が朧げながら伝わってきて、胸が苦しくなるような思いだった。

『タレンタイム』では、さまざまな形の「誤解」が描かれている。誤解はときに悲劇を生むけれども、異なるバックグラウンドを持っていても、人は誤解を解いて心を通わせることができるし、言語や文化や宗教が違っていても、お互いを思いやって暮らしていくことができる。そういう映画だった。


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by rivarisaia | 2017-04-08 23:13 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

ワイルド・シティ


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ワイルド・シティ(迷城)』監督:リンゴ・ラム/林嶺東

かつて警官をしていたマン(ルイス・クー/古天樂)は、今はバーを経営しているんだけれども、ある晩、店で酔いつぶれてしまった女性(トン・リーヤー/佟麗婭)をほんの一晩泊めてあげるつもりで義母のマンションに連れていったことから事件に巻き込まれてしまう。

この女性は何かヤバいことに関わっている人物のようで、翌日になって何者かが女性を連れ去ろうとし、彼女の車からは大金の詰まったスーツケースが出てくる。この金と謎の女をめぐって、マンの異母弟チュン(ショーン・ユー/余文楽)は、香港のチンピラや台湾の殺し屋チームに狙われることになる。

弟チュンは大金を目にして「うっわー、これだけあったらお母ちゃんに楽させてあげられるわー、ノドから手が出るくらいほしい」と思うわけですが(わかる、わかる)、元警官の兄貴マンは「やばい金に手出したらダメ、絶対!」と言う。で、まあ兄貴が正しいんですけどね。金に目がくらむとロクでもないことになる、という話です。

ヤバいビジネスを手がけている黒幕は、台湾の殺し屋をチームで雇っているのですが、鑑賞後に劇場でバッタリ会った友だちと「コストパフォーマンスを考えるなら、大陸にはもっと安い人材がいたのでは?」という話になったんですけども、台湾から大陸に流れていった根無し草の彼らは、大陸の人材よりももっとやっすい命だったのでしょう……などと考えると泣ける。帰る故郷もないんだよ。そんな台湾の殺し屋のひとりを演じていたのは、ジョセフ・チャン/張孝全でした。

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by rivarisaia | 2017-03-15 20:44 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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