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見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
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カテゴリ:映画/洋画( 493 )

鑑賞したのは昨年だし、言いたいことはすでにあちこちでいろんな人に書かれているのですが、いちおう記録。公開してからしばし時間が経っているのでネタバレします。そして私のテンションも低めです。

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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(Star Wars: The Rise Of Skywalker)』監督:J・J・エイブラムス

スター・ウォーズの映画は好きだろうが嫌いだろうが、ファンにとっては史実も同然なので、展開がどんなに嫌だろうがそれはもう受け入れるしかないんです。ということで続3部作の最終作。終わった……とりあえず、おつかれさまでした!あとはスピンオフで好き好きに集いましょうね!という感慨はある。

続3部作の1作目は、ファンに目配せするような、まるで旧作をなぞったような内容でさほど新鮮味はなくても、掴みとしてそれは全然OKでした。しかし3作目の監督も1作目と同じJ・J・エイブラムスなので、なんか微妙な予感はあったんですよね。

せっかく2作目で新しい風を感じさせる雰囲気があったというのに、結局最終話は後ろ向きな感じで無難に終わってしまった。

というかですね、言わせてほしい。なんなのですか、パルパティーンって。なんでお前がまた出てくんの。

私は、二作目のカジノの星のくだりに関しては、長いなと思ったものの、ラストの少年がフォースを使っているような演出に「おお!」とわくわくしたんですよ。もともとアナキンだってそうだったけど、名もなき子どもがフォースを持っているところに夢があって、だからレイも「何者でもない」という設定がすばらしいと感じていたのに、結局血筋かよ!!というガッカリ感ときたら半端ない。

今後、”パルパティーンの子孫だったと思ってたけど、勘違いでした!”という映画を作ってほしいくらいガッカリしている。

そして、もうひとつガッカリした点として、多くの人が映画の最中に「NOOOOOOOOOOOOO!」と悲鳴をあげたはずだと確信してるんですけど、なんです、あの唐突なキスシーン。もう、本当にJ・J・エイブラムスを小1時間説教したくらいでは全然足りないほどに不要でしたよね。2000年代になって20年も経つのにあんな安い展開をみせられるとは思っていませんでした。残念だ。

全体に話がうまくつながってない印象で、うちの夫は「年末にやる大河ドラマの総集編みたいな感じ」と言っていましたが、ほんとそんな感じでスイスイと話が進む。たとえば「C-3POが全記憶を消去される」なんて、本当ならそれはもう一大事なことですよ。でもあっさり消去して、あっさり復旧した。なんの感情も揺さぶられない。意外な人がスパイだったことが「自分がスパイです!」という告白によりあっさり判明し、その後「お前が裏切り者だな!ズギュン!」とあっさり殺される。

すべてがトントン進み、フォースがついに万能極まりないことになって、話は終了した。

そんなわけなので、画面のはしにGONKがのそのそ動いているのを確認し、ウェッジ・アンティリーズがパイロットで登場して「生きてた!ウェッジ!」ってなったことが本作でよかったところです。


by rivarisaia | 2020-01-20 16:29 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

ドクター・スリープ

さっさと感想書いておく映画は『シャイニング』の40年後であるこちら。

さくっと書くつもりのわりには、映画のみならず小説のネタバレがあります。ついでに『シャイニング』についても映画&原作ともにネタバレしていますので、未見・未読の方はご注意ください。

ドクター・スリープ_b0087556_01344017.jpg

ドクター・スリープ(Doctor Sleep)』監督: マイク・フラナガン

「かがやき」の能力を持つ子供のエネルギーを吸い取って生きている、ある種の吸血鬼のような謎の集団が存在した。それがローズ・ザ・ハット率いる「トゥルー・ノット」である。

いっぽうホテルの事件で生き残ったダニーは大人になり、かつての父親のようにアルコールに溺れた時期もあったけれど、今は小さな町のホスピスで働きながら立ち直ろうとしている。

そんなダニーにテレバシーで接触してくるのが、とても強力な「かがやき」の能力を持つ少女アブラ。やがてアブラはダニーとともに子供を殺害する「トゥルー・ノット」を阻止しようとする。ふたりはあの邪悪なホテルにローズ・ザ・ハットを誘い出し、そこで彼女と対決するのだった……

という話。

小説の『シャイニング』はキューブリックの映画『シャイニング』とかなり異なる箇所があって(キングは映画版を気に入っていないようだという逸話もあるくらい)、大きく違うのはラストの解決の仕方とハロランさんの扱いです。私は先に映画を観ているのでさほどのショックはなかったけど、原作を読んでいた人は「ナンダッテー!」と椅子からずり落ちたのではなかろうか。

まるで除雪車を持ってくるためだけに登場した感じで映画ではあっさり殺されるハロランさんなのですが、原作では死にません。それどころか続編『ドクター・スリープ』にも重要な役割で登場する。どう整合性を図るのかな?と思ってたら、霊体となって登場していました。なるほど。

そしてあのホテルが廃墟とはいえ存在するという設定なので、映画の『ドクター・スリープ』は小説ではなく映画の『シャイニング』の続編であり、小説版とは後半が全然違う展開です。そして死なない人がけっこう死ぬ……(ので、そこはツライ。霊体で登場すればいいというものでもない)。ただし小説『シャイニング』のエンディングをうまく持ってきて話を閉じるというところはよかったです。

もうひとつよかったのが、若かりし日のダニーの両親をCG使って表現せずに、ちゃんと俳優に演じさせてたところ。『ローグ・ワン』のグランド・モフ・ターキンのCGで、こういうのやめてほしいって心底思ったので、ここは大きく評価したい。


by rivarisaia | 2019-12-28 01:37 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

ラ・ヨローナ伝説:東京国際映画祭2019_b0087556_22275528.jpg

ラ・ヨローナ伝説(La Llorona)』監督:ハイロ・ブスタマンテ

グアテマラの映画。かつてグアテマラでは内戦があり(終結は1996年)、多くのマヤ人が殺戮されたという史実が映画の背景となっています。

ジェノサイドを指示した罪で告発されている将軍の家では、夜な夜な女性の泣き声がすると将軍が訴え、家族はアルツハイマーの進行を疑うが、使用人は恐れをなしてひとりを除き全員辞めてしまう。そこに新たに若い女性が雇われることになるのだが……

将軍の家では、ボディガードの男性はいるものの、家族は女性ばかり。老婦人である将軍の妻、医師をしている長女とその娘、そして古株のマヤ人のメイドがいる。他の使用人たちが怖気づいて逃げ出す中、ひとり残るこのメイドは将軍家に非常に忠実なのだが、その理由はのちのち判明する。

将軍の長女の夫はどうやら行方不明であるらしく、直接的には言及されないけれど、母親やボディガードとの会話から察するに失踪には将軍が関与しているのではないかという気がした。おそらく人権を尊重する人物だったのではないか。

監督いわく、これは3部作の3つ目の作品で、3部作全体のテーマは「侮辱」だとのこと。侮辱され差別されている代表的な対象が3つあり、まず、グアテマラではマジョリティのはずなのに差別的な扱いを受けている「マヤの人たち」。それからマチズモの社会で女性的だとされて蔑まれている「ゲイの人たち」。ゲイの人たちへの差別は、女性を下に見ているという思想とつながっている。そして最後は「共産主義」で、これは政治的な意味ではなく「人権=共産主義的発想」だととらえられているから(これは日本でもそうじゃないですか? 人権が、という話をするとすぐにサヨク呼ばわりするよね)。

大量虐殺を指揮し、マヤの女性たちを虐げてきたのにまるで反省の色のない将軍に対する、ラ・ヨローナの復讐の物語。

ラ・ヨローナの伝説にも女性蔑視的なところがあり、女性だから気がふれて我が子を殺して呪われた、というオリジナルの話を、そうではなかったという形で語り直したと監督は話していました。


メモ:劇中ではスペイン語のほかに、カクチケル・マヤ語、イシル・マヤ語も話されています。


by rivarisaia | 2019-11-05 22:28 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)
今年の私のTIFF動物枠*。すごく面白かった! 強いて言うなら内田けんじの映画のようにひとつの出来事を複数の視点で見せていって、最後に驚きの事実が明らかになるという構成です。起きたことはかなりひどいんだけど、笑っちゃった(場内もかなりウケていた)

*動物枠とは、印象的な形で動物が登場する映画で、TIFFは昔から動物枠映画がある。今年も何本も動物枠あった中でこれを観ました。

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動物だけが知っている(Only the Animals/Seules Les Bêtes)』監督:ドミニク・モル

冒頭、いきなりヤギを背負って呪術師の元に赴く少年から話がはじまる。あれ、アフリカの話?と思っていると一転して舞台はフランスの雪深い農村へ。

農村では都会からやってきた女性の失踪事件が起きていた。人付き合いの悪いひとり暮らしの農夫が怪しまれるが、やがてその農夫と不倫していた女性の夫も失踪してしまい……

謎が謎を呼んで、いったいどんなふうに話が転ぶのか予想もつかない。

メインとなる視点人物は、

  • 怪しい農夫と不倫をしてた農家の女性
  • 怪しい農夫
  • 行方不明となる女性と恋愛をしていた若い女性
  • コートジボワールの若者
  • 怪しい農夫と不倫してた女性の夫

え、なんでいきなりコートジボワール!?と思うでしょう? 私も思いました。雪山の田舎といったいどんな関係が? それがまさかそうつながるとは……という感じで、いやはや人間とはなんとマヌケで悲しい生き物であることよ。ラストのオチもここまでくるとけっこう怖い。世の中に偶然などない、というようなことを言っていたコートジボワールの呪術師、じつはものすごい力の持ち主なのでは?


by rivarisaia | 2019-11-03 21:42 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

ボーダー 二つの世界

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ボーダー 二つの世界(Gräns)』監督:アリ・アッバシ

原作・脚本は『ぼくのエリ』の原作者ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト。『ぼくのエリ』がそうだったように、北欧の透明でしんとした空気の中で、しずかにしずかに息をひそめるようにしてくらしている者たちの話。

スウェーデンの税関で働いているティーナには人の心を嗅ぎ分けることができるという特殊な能力があって、違法な物を持ち込もうとする人を見分けることができ、それゆえに同僚や上司からの信頼も厚い。賢くてやさしい性格なのだけれど、他人とは違う容姿であるため孤独な生活を送っていた。寂しさからヒモのような同居人とくらしているものの、彼女が本当にのびのびと自分らしくいられるのは自然の中にいるときのだった。

そんなある日、ティーナは税関で怪しげな旅行者ヴォーレと出会う。本能的にヴォーレに何かを感じ取るティーナだったが……。

これ以上の内容は何も知らないまま観たほうがいいと思います。わたしは予告以外の情報は何も持たずに鑑賞して、話がどう展開するのか皆目見当つかず、途中何度も「えっ!」と驚き、とても強い衝撃を受けました。したがって、ここではあいまいな感想しか書かないでおきます。

美と醜、善と悪、普通と普通じゃないもの、我々の常識と非常識、こちらの世界とあちらの世界を隔てる境界線っていったいなんでしょうか。何度も感情がゆさぶられて、しばらくいろいろなことを反芻しながら考えることになりそうです。観た人の想像に任されているオープンな終わり方だったようにも感じたのですが、新たなはじまりという予感もしました。

ぜひ観て。


by rivarisaia | 2019-10-28 23:58 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(4)
最近はどうもだらだらと日々を過ごしてしまっていて、仕事でもなんでもずるずるやっている悪いパターンにはまっているために、積んでる映画や本は山となり、感想を書いておこう!という映画も本もドラマも溜まりに溜まっている中、東京国際映画祭が始まっちゃった。どうしよう。

そこで今日はさくっとキアヌの映画です。

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ジョン・ウィック:パラベラム(John Wick: Chapter 3 – Parabellum)』監督:チャド・スタエルスキ

ジョン・ウィック、1は納得できない点があり、2では「あーはい、もう好きにやってください」という気持ちになっていた上でのこのチャプター3。

話は2からの続きで、殺し屋たちの憩いの場「コンチネンタル・ホテル」で規則を破ったために、多額の懸賞金をかけられて全殺し屋から命を狙われることになったジョン・ウィック、さあどうする!?という話です。

どうする?って言われても、反撃しながら逃げるしかないんだけど、ジョン・ウィックには隠し持っていた使えるカードがあったのだ。

パーっとしたい時に急遽観たので、ナイフを投げ、馬で蹴り上げ、銃を撃ち、サクサクと敵を倒していく様子に大変スッキリしました!という感想しか、いまとなっては残っておらず、そこでバラバラと断片的に思い出すことを箇条書きで記しておきます。

・バレエ学校という新たな謎組織が登場した(のちに暗殺集団らしきことを知る)
・犬は絶対に撃ったらダメ! 防弾チョッキ着ててもダメです!
・主席連合、どうやって組織を管理してるのかサッパリわかんない
・血も涙もなさそうな裁定人のやり口にギギギギ……となる
・どうせ働くなら、手書きのボードやアナログ機器満載の管理部がいい
・凄腕の殺し屋の寿司屋「平家」に「いか」のお品書きが二つあったのはなぜ
・寿司屋が飼っていた猫は、ちゃんと世話をしてくれる人がいるのでしょうか
・ゲーム・オブ・スローンズのブロンが登場して、ダメな感じが最高。次も出てほしい
・キアヌさんは動きが少々ドン臭いところがあり(そこが持ち味でいいところなのですが!)、今回は殺し屋らに「すごいって聞いてたけど、こいつ動きが遅くね?」「しばらく引退してたからじゃん?」って言わせていてナイスフォロー。笑った

こんなところでしょうか。あ、最後にひとつ忘れてた。

・えええ? まだ続くの!?!?


by rivarisaia | 2019-10-27 15:09 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(2)
やや居心地の悪さも感じつつも、とても面白かった。居心地の悪かった点も下の方で説明するので、この感想の途中からネタバレして内容に触れます。

それにしてもタランティーノの映画のディカプリオとブラッド・ピットはとてもとてもよい。今回の作品でも二人のよさが存分に引き出されていた。

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(Once Upon a Time in Hollywood)』監督: クエンティン・タランティーノ

かつてのスター俳優リック・ダルトン(ディカプリオ)とリックの専属スタントマンのクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は固い絆で結ばれていた。最近、人気に陰りが出てきたリックは、将来について悩んでいて気弱になっているのだが、そんな彼の精神的な支えとなっているのがスタントマンのクリフである。

そんな人生黄昏タイムであるリックの家の隣に、まさに今キラキラと輝く人生を謳歌している真っ最中の映画監督ポランスキーと女優シャロン・テートの夫妻が引っ越してくる。

ご近所として仲良くなっていずれは自分もポランスキーの映画に……な〜んて夢見るリックだったけど、そんな機会はなくて、結局リックは最初渋っていたマカロニ・ウエスタンの映画への出演を決意。クリフとともにイタリアに行くのだった。

そして1969年8月、二人は再びハリウッドに戻ってくる……

俳優とスタントマンの深い深い友情の話が中心で、その背景にあるのがチャールズ・マンソン・ファミリーやシャロン・テート事件です。一連の事件については誰もが知ってると思っていたので、意外と知らない人がいて(例:うちの夫)驚いた。アメリカだと知る人ぞ知る事件という感じではなく、テレビや小説でもちょくちょく取り上げられる。たとえば最近では、事件をモデルにした小説にエマ・クラインの『The Girls(邦訳:ザ・ガールズ)』があります(メンバーの少女の視点で語られる話で、おすすめです。邦訳は早川から)。

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リックのことを献身的に支える、まるでリック自身の影のようなスタントのクリフですが(実際リックとクリフのエピソードがなんとなく表と裏のような構造になってて面白い)、一見爽やかな笑顔の下に得体のしれない恐ろしさがあり、それがときどきチラっと見えたときに、ああこの人は本当にやばい人なんだなーと感じる。それにしてもブラッド・ピットはロバート・レッドフォードにますます激似。しかし若い頃のロバート・レッドフォードの写真を検索して比較してみると別にそこまで似てない。なのに似てる。なんだろう。

ちなみに、劇中に登場するスティーブ・マックイーンも演じているダミアン・ルイスは別にマックイーンには似てない。なのに、ものすごく似ていた。また、一部で批判が出ていたブルース・リーの描かれ方も私は全然気になりませんでした。おそらくクリフとの場面が批判されたんだろうけど、後半ではしみじみいい場面だってあったのに。

しみじみ、といえば、何よりも切ない気分にさせられたのが、シャロン・テート(マーゴット・ロビー)で、文字通り「キュート」で誰にでも親切で毎日を楽しんでいて、スクリーン全体から「生きている!」という感じがあふれ出ていた。実際の彼女もこんな風にキラキラしていたのかなあと想像するととても悲しい。


では、写真の下から結末までネタバレします。
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ブルース・リーとのいきさつや、マンソンファミリーの「牧場」での緊迫した場面などで、スタントのクリフのやばさは十分にわかるんですけど、最高潮にやばさが発揮されるのがラストの展開です。

私は、公開前の誰かのほんの何気ない一言で結末の展開を察してしまっていたので、まったく驚きはなかったんですけども、あったかもしれないもう一つの現実において、クリフが全員をボッコボコにする場面ではちょっと引いたというか、まあこの人たちは実行犯だし当然の報いっちゃ報いなんですけど、肝心のマンソンは何もなくのうのうと生きてるわけだし、スッキリした気持ちにはならなかった。ただ、こうやって何も知らないまま危険を回避できていたらよかったのにね……と余計にむなしさが増して終わりました。なんでだろうな。やっぱりそれだけ現実が悲惨すぎたということなのか。そこのあたりが、まだうまく自分の中で消化できていません。そういうわけで、最後はあまり好きじゃないんだけど、もう1回観たいな。



by rivarisaia | 2019-09-20 14:16 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

ゴールデン・リバー

1か月近くずーーーっと曇りや雨の、沼の底にいるような東京でしたけど、やっと晴れたよ!

ちょっと前にこの映画を観たのだった。グッバイ、父権制!

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ゴールデン・リバー(The Sisters Brothers)』監督:ジャック・オーディアール


パトリック・デウィットによる、何もかもが裏目に出ちゃう兄弟が活躍(?)する、すっとこ西部劇『シスターズ・ブラザーズ』の映画化。監督が『預言者』のジャック・オーディアールです。

1851年、ゴールドラッシュのアメリカ。凄腕の殺し屋“シスターズ兄弟”は、雇い主の"提督"から山師のウォームという男を始末するよう依頼される。ウォームを追ってオレゴンからカリフォルニアに向かうシスターズ兄弟。いっぽうウォーム、提督の連絡係であるモリスに近づき……

原作とは細かいところがいろいろ違うのはいいとして、雰囲気もまるで違うからちょっとびっくりした。原作はどちらかというと、やることなすこと裏目に出っぱなしの殺し屋兄弟のトホホな珍道中で、コーエン兄弟とウェス・アンダーソンをぐるぐる混ぜて割ったみたいな感じだったから。映画は映画でよいと思うし、どこで撮影したんだろ?と気になってしまうような雄大な景色や、ジョン・C・ライリーとホアキン・フェニックスのシスターズ兄弟に、ジェイク・ギレンホールにリズ・アーメッドという連絡係と山師という配役もよかったです。

ただ鑑賞中に、わたしが原作に引っ張られてしまうところがあって素直に楽しめなかったのがちょっと残念。その主な理由はふたつあってひとつは「馬」です。

原作の感想にほぼ馬のことしか書いてないことからわかるように、わたしは馬とイーライの関係がすごく好きだったので、オーディアール監督、ダメ馬タブにさほど思い入れないなら、無理にクマを出さなくてもよかったんやで……。

もうひとつは、連絡係と山師コンビにもフォーカスしてるために4人の物語のようになっていたので、シスターズ兄弟の踏んだり蹴ったりなエピソードが薄まったような気がすることですが、これは構成上しょうがないかなーという気もする。

黄金を手に入れようとしてがんばったけど、失ったものは大きすぎて、けっきょく最後にたどり着いたところは? というお話。

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このポスターもすごくいいね。


by rivarisaia | 2019-07-24 19:25 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

魂のゆくえ

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魂のゆくえ(First Reformed)』監督:ポール・シュレイダー

トラー牧師(イーサン・ホーク)はニューヨーク州の歴史ある小さな教会で奉仕している。

ある日、メアリーという若い女性が夫マイケルと話をしてほしいとトラー牧師に頼む。マイケルは極端な環境保護論者で、こんな過酷な世界に子供を産む落とすということを悲観しており、メアリーに中絶を勧めているのだという……

キリスト教会と環境問題という、議論を呼ぶというか、ある意味デリケートな問題を扱ってるのが、大変興味深かったです。いずれにしても答えは出ない問題なので、なるべく考えないようにしている、といったほうがよいのか。

息子の死に対する自責の念があり、持病も抱えているトラー牧師。ある信者の相談にのったことがさらなる苦悩の種となってしまい、教会が所属するメガチャーチのもとで盛大な記念式典が行われるという大事な時期に、ミイラ取りがミイラになるような状態に陥ってしまいます。

人間が環境を汚染することに憤るトラー牧師なのだが、自分の肉体を(酒で)みずから汚染しているのであった。ウイスキーにピンク色のペプトビスモルを入れる毒々しさよ。ペプトビスモルとはどろっとした胃腸薬のシロップで、アメリカにいた頃の私も愛用してました。余談ですが、生ぬるく溶けた歯磨き粉の味がしておえっとなります。

荊の冠を身につけて血を流す人は、救い主を宿したマリアに救われる。死ぬ間際の幻想なのか、鍵のかかった扉が開いて本当に奇跡が起きたのか、あえてどちらにも受け取れるようにしてあるけど、途中の浮遊するシークエンスから考えて、奇跡、起きたんじゃないかな、と思う。

キリスト教は一神教のせいか、ものすごく白黒はっきりとした宗教のように思うかもしれないけど、相反するようなことが曖昧に両立してどちらも真なり、という面もあるので、この映画のラストの、事実のような幻想のようなどちらもありえるという終わり方はとても腑に落ちた。

『タクシー・ドライバー』を思わせるところもあるけど、イングマール・ベルイマンの『冬の光』やロベール・ブレッソンの『田舎司祭の日記』への監督の目配せも感じました。ベルイマンとブレッソンも観たくなっちゃった。

by rivarisaia | 2019-05-24 23:10 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

たちあがる女

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たちあがる女(Woman at War)』監督:ベネディクト・エルリングソン

予告を観たときには、なんだろうこの映画、ほのぼのした北欧ものかな?と思ってたんですけど、『馬々と人間たち』の監督だということに気づいて、

絶対、いっぷう変わった映画でしょ!!

と確信したので、公開を楽しみにしていました。そしてやはり変わった映画で、どのように解釈していいのかいまだ考え中のところもあるんだけど、ユーモラスで不思議と元気が出たし、わたしはとても好き。なにせ音楽の使い方がすばらしく、何が面白いって、劇伴の演奏家や歌い手が常に画面にいる(笑)

まずは、あらすじ。

アイスランドの田舎に住むハットラ。コーラスグループの指導をしている彼女には、自然を守るために地元のアルミニウム工場にたった一人で闘いを挑む環境活動家という裏の顔があった。
ある日、ハットラのもとに、ウクライナからの養子縁組の知らせが届く。母親になるという長年の夢を叶える前に、ハットラは最後の闘いに挑むことに……

ハットラは「山女」と呼ばれる「環境テロリスト」という扱いをされているんだけれども、それは権力側が貼ったレッテルなのだった。そしてこの映画は、ハットラの行為は誰も死なないけど迷惑じゃん?という話ではなく、一人で巨大な力に立ち向かい、転んでも、転んでも、時折まわりの人たちに助けられながら何度でも立ちあがって走り続ける女性を描いたひとつの寓話なんだと思う。

動的で外に向って行動するハットラとは対照的に、静的で内省的なハットラの双子の姉が登場する。この双子はふたりでひとりなのかもしれないな。

そしてやはりアイスランドの雄大な自然の美しさが今回も圧巻でした。一度行ってみたいな〜。そして前作では人が馬に入りましたが、今回は羊をかぶります。



by rivarisaia | 2019-04-01 23:51 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(2)