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The Silent Companions

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The Silent Companions: A ghost story』Laura Purcell著、Raven Books

ゴシックホラーっぽいサスペンスか心理スリラーかなと思いきや、スーパーナチュラル要素がかなり強めのステュアート朝&ヴィクトリア朝ホラー。

なんだかんだ言って人間の仕業でしょ?と思っていたら、本当に超常現象だったの?!という出来事がやたら起きるし、しかもけっこう血まみれだし、evil で大変救いがないんですけど、この話、嫌いじゃないです。

よくみたら、タイトルにも「ゴーストストーリー」と書いてあるじゃないかー。サスペンスじゃなかった。

では、あらすじ。

St. Joseph’s Hospital。火事で記憶と声を失ったひとりの女性が入院している。焼けおちた屋敷からは、不審な死体も発見されており、入院中の女性には、放火と殺人の疑いがかかっていた。彼女の記憶を探ろうと試みるシェパート医師は、紙とペンを渡し、思い出したことを書き留めるようすすめるのだった。

1865年。結婚したばかりで夫に先立たれたエルシーは、身重の体を抱えて、実弟のジョリオンと夫の従姉妹サラとともに亡き夫が遺した田舎の屋敷 the Bridges へと向かう。

かつて魔女が住んでいたと村人から恐れられ、忌まわしい出来事があったとされる屋敷には鍵のかかった部屋があり、エルシーとサラは二百年前の当主の奥方が記した日記と「Silent Companion」と呼ばれる、オランダ製の古い人型の板絵を何枚か発見する。

1635年、屋敷には当主ジョサイアと妻のアン、息子たち、そして口のきけない末娘のヘッタがくらしていた。エルシーらが見つけた日記は、アンが記したものだった。

先祖の日記に夢中になっていくサラ。やがて次々と不気味なことが屋敷で起こるようになり……

精神病院(1866年現在)、1865-66年(ヴィクトリア朝)、1635年(ステュアート朝)の3つの時間軸が交互に語られる構成です。

“silent companion” という等身大の人型の板絵については、本書で初めて存在を知りました。こちらに実物の写真がいくつかありますが、"dummy board"とも言われていて、オランダでこうした等身大の人物の板絵が流行したらしい。暗い屋敷で、誰もいないはずの部屋にこういうものが置いてあると、本物の人かと思ってぎょっとすると思うんですけど。

本書では、片付けても燃やしても、いたるところに出現する上に、増えてるし!みたいな調子で板絵が霊的に大活躍。そもそも屋敷にやってきた経緯も不可思議だし、謎だらけの板絵は、結局いったい何だったのかよくわからない。邪悪の元凶も板絵だったのか、それとも魔術によって作り出されてしまった「あの存在」が板絵に乗り移ったのかも、よくよく考えると辻褄があっていないようで、なお不気味。

エルシーの生い立ちについても、ほのめかすように書いてあって気になる部分があってですね、Goodreadsの読者Q&Aを読んでいたら、同じことが気になっていた人がいて、しかも著者が「編集者の意向ではっきり書いてないんですけど、お察しの通りです」と返答していて、「やっぱり!!」となりました。話には大きく関係しないかもしれないけど、設定上のネタバレになるので、詳細は書きませんが、ペーパーバックの259ページや312ページあたりのことです。

1635年の日記があんまり1635年に書かれた感じしない、ヴィクトリア朝だけど現代的な感じ、何よりも超常現象を盛りすぎでは?おまけに人を殺しすぎでは?などと、気になるところもたくさんあるんですけど、そのあたりもひっくるめて楽しく読みました。



by rivarisaia | 2018-05-31 22:28 | | Trackback | Comments(0)
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Lullaby』Leïla Slimani著、Sam Taylor訳、Faber & Faber

“The baby is dead.” という文章で物語は始まる。

パリのアパルトマンでふたりの幼い子どもが殺される。発見したのは母親。犯人はナニーのルイーズだった。いったいなぜ彼女は犯行におよんだのか。

ルイーズ自身も自殺を図っていて、命は助かるものの意識不明の重体で、動機は謎に包まれたまま。そして、そこから話はぐんと過去にさかのぼり、ミリアムとポールという若い夫婦がナニーを探そうとするところから、ルイーズが雇われることになり、やがて惨劇にいたるまでの日々が描かれていく。

子どもを産んだあと専業主婦だったけれど、社会から取り残されたような焦燥感があり、仕事に戻ることを決めたミリアム。そんな彼女にとって、そして夫のポールにとっても、文句も言わずに子供の世話や家事をしてくれるルイーズは完璧な存在で、次第にルイーズなしでは生活が立ち行かなくなっていく。

しかしルイーズは家族の一員のようでいて、やっぱり家族ではないのだった。夫婦にとってルイーズは便利な存在で、でもときどき鬱陶しい存在でもある。それが態度に表れる。

いっぽうのルイーズも、他人の世話はできても、肝心の自分の人生を送れていない。徐々に明かされていく彼女の過去を見ると、ナニーとしての人生と、私生活のギャップがあまりに大きくて、このズレが彼女の精神を引き裂いていったのではないかという気もする。金銭面での問題も発生し、居場所のない彼女はどんどん追い詰められていく。

殺害の動機は最後まではっきりしない。ただ、いくつもの要因が積み重なった結果として起きてしまったことで、どこでどうすれば防げたのか、と考え込んでしまった。

何年か前にアメリカで起きた事件を思い出してしまったんだけど、著者はその事件にインスパイアされてこの小説を書いたとインタビューで語っていました。


by rivarisaia | 2018-05-30 01:10 | | Trackback | Comments(0)

29歳問題

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29歳問題29+1』監督:キーレン・パン/彭秀慧

30歳を目前に控えたヨックワン(クリッシー・チャウ/周秀娜)は、化粧品会社のマーケティング部門でバリバリ働き、昇進もして、出張が多いけど長年つきあっている彼氏もいて、忙しいながらに充実した日々を過ごしていたんだけれども、仕事のプレッシャーや彼氏とのすれちがい、親の認知症、住んでいた部屋からの急な退去……と、急にいろいろな問題が降りかかる。

とりあえず大家さんからの紹介で、パリに旅行中のティンロ(ジョイス・チェン/鄭欣宜)の部屋に仮住まいすることになったヨックワン。偶然同じ年齢で誕生日だったティンロの日記を見つけて読んでみると、自分とは違ってなんだかとても楽しそうな毎日を過ごしているように思えるんだけど……

程度の差こそあれ、年齢や性別関係なく誰もがヨックワンやティンロと似たような経験をしたことがあるんじゃないかなあと思うし、できる時にやりたいことはやったほうがいいし、毎日できるだけ楽しく過ごしたほうがいいな、ってなりました。

私は人生に起こる出来事は基本は神様の思し召しと思っていて、歴史に if はない派でもあるため、人生の選択が間違っていたかどうかとかあまり考えたことないんですけど(稀に考えてみたりしても、いやーやっぱり別の選択肢はなかったなー仕方ないねーという結論に落ち着く)、ヨックワンの会社の女社長が言っていた「選んだことは全力でやったほうがいい」というのはそうかもしれないなと思うことはしばしばあって、もっと真面目にやっときゃよかったよ!と反省することは多い。

全力でやればよかった案件は数え切れないほどあるんだけど、そのうちのひとつが、学生時代、第2外国語でドイツ語を選択して、けっこう成績もよかったので日本に戻ってきても続けようと思ってたのに面倒くさくなって止めちゃった。そしたらそれから十年くらい経ってすっかりドイツ語を忘れた頃になって、仕事でドイツ語がからんできたり、ドイツに出張になったりということが起き、ああ、自分では青池保子の『エロイカより愛をこめて』が好きだったからドイツ語勉強したつもりでいたけど、神はもっと先を見据えていたね! ちゃんと続けておけばよかったね!!と後悔したけどあとのまつり。

くだらないけど、私の人生はこうしたくだらないことのかたまりでできている。そこに足りないのはベイビージョン・チョイくらい。本作、ティンロの幼馴染役で登場するベイビージョン・チョイ/蔡瀚億がすごくよいです。


by rivarisaia | 2018-05-28 21:01 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)
今月末で終了する展覧会をまとめて更新。バタバタと先週駆け足で観に行きました。今週末まで。

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銀座(京橋)LIXILギャラリー東京
「ニッポン貝人列伝 -時代をつくった貝コレクション-」
2018年5月26日(土)まで(公式サイト

「日本近代貝類学の黎明期を築いた貝人10人の列伝と厳選された彼らの貝コレクション」の展示。伝説の貝人10名のプロフィールを熟読すると、貝類世界に対する熱い想いがじんじんとこちらにも伝わってきて、最初は「貝人」って何だろうなと思ってたけど、まさに「貝人の皆様」としかいいようがない。

私が特に気になる人は、ガリ版刷りの冊子をひとりで編集・発行しつづけた吉良哲明氏と、南洋の鳥や虫、そして稀少貝を採集した山村八重子氏。裕福な家庭に生まれた山村氏は、1925年と36年に父親の仕事でフィリピンのバシラン島に行き、ライフル持って馬に乗り、ワニを生け捕りにしたりもしたらしく、興味深いエピソードに満ちた人生を送っていそうでもある。

収集箱や帳面も何点か展示されています。

LIXILギャラリーは次回東京に巡回予定の駄菓子も面白そう。これは必ず行く(先走ってカタログを購入しちゃった)。

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表参道 スパイラルガーデン
ヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』
2018年5月27日(日)まで(公式サイト

ついこの間まで教文館でやっていた展覧会に行きそびれてがっくししていたら、銀座の ggg にこの展示のハガキが置いてあり、大慌てで観に行ったんですけど、「ちいさいおうち」だけなのかなと思いきや、フォリーコーブ・デザイナーズをはじめ、バートンの創作全体をざっくり俯瞰した形になっていてとてもよかった。

スケッチブックなどの帳面も展示されています。

それからおまけ。
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銀座はポーラ ミュージアム アネックスで『田中智 ミニチュアワールド』が5月27日まで。平日の日中でもけっこう混んでいて、先週末は入場制限もしていたようなので最後の週末は厳しいかも。「nunu's house」(田中智さんのブランド)の作品はすごいなーと思ってたけど、実物が頭で考えるよりも小さくてクラッとしました。なんていうの、肉眼では受け止められない小ささで、ちょっと怖い。拡大鏡で見てようやく安心できる、そんな感覚。



by rivarisaia | 2018-05-21 11:41 | 展覧会ほか | Trackback | Comments(2)
すっかりブログに書くのを忘れていましたが、2018年5月27日までです。場所は渋谷の松濤。

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チャペック兄弟と子どもの世界
~20世紀はじめ、チェコのマルチアーティスト
2018年4月7日(土)〜2018年5月27日(日)
渋谷区立松濤美術館

個人的には油彩やパステルの絵はあんまり好きではなかったんだけど、なつかしの『長い長いお医者さんの話』の挿画や、こいぬとこねこのイラストなど、インクや鉛筆のドローイングはとてもよい。よくよく見ると線の省略の仕方がしみじみと上手いんですよねー。真似したい。

残念ながら実現しなかったという切手のデザイン画というのも初めて見ました。

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『こいぬとこねこは愉快な仲間』のイタリア語版もほしくなっちゃって、家に帰ってすぐさまイタリアの本屋をチェックしたんですが、送料が高くつくので現在保留ちゅう。しばらくはクリアフォルダーをながめてすごす。

by rivarisaia | 2018-05-16 13:38 | 展覧会ほか | Trackback | Comments(2)
1920年代に起きた、オーセージ族の連続殺人事件を扱ったノンフィクション。本として良いかどうかという以前に、事件を全然知らなかったこともあって、あまりにも衝撃的な事実に呆然とした。

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Killers of the Flower Moon: The Osage Murders and the Birth of the FBI』David Grann著、Doubleday

先祖代々住んでいた土地を白人に奪われ、居留地に押し込められたというのが、ネイティブアメリカンの歴史なのだけれど、オーセージ族もオクラホマにある居留地に強制的に移住させられていた。不毛と思われたその土地には豊富な石油資源があることが判明する。その資源の所有権はオーセージ族にあり、それゆえに1920年には、オーセージ族はかなり裕福な部族となっていた。

そしてその頃、オーセージ族の人たちが次々と不審な死を遂げるようになる。

ある者は射殺され、またある者はナイフで刺され、それから毒を盛られたり、家ごと爆薬で吹き飛ばされたりと、オーセージの人たちがどんどん殺されていく。オーセージ族は私立探偵を雇い、真相を究明しようとするもうまくいかない。オーセージに手を貸そうとした白人男性も、あるとき忽然と姿を消して死体で発見されるという有様だった。

恐すぎるんですけど。一体どういうことなの。

何人もの謎の死。誰も信用できず、途方にくれたところで頼みの綱となるのはFBIの前身である捜査局。若き日のJ・エドガー・フーヴァーは元テキサスレンジャーのトム・ホワイトをはじめとする潜入捜査官を現地に送り込む。

知名度をあげて組織を拡大するためにも、とにかく手柄がほしかった捜査局にしてみれば、全米でも注目されていたこの一連の謎の殺人事件はうってつけだった。

潜入捜査の甲斐があって、捜査局は24人の連続殺人事件として犯人逮捕に成功する。最初から怪しまれていた人物なので書いてしまうけど、オーセージ族の女性と結婚した白人男性とその親戚、オーセージ族の後見人として財産を管理していた者が、財産を手に入れるために殺害に手を染めていた。では、彼らはどうしてそれまで捕まらなかったのか。簡単にいうと町の有力者だったから。

これで一見、事件は解決したようにみえるんだけど、実は24人以外にも、殺された人たちはまだまだたくさんいて、それらは未解決のまま放置された。とりあえず大きな事件を解決できた捜査局には、それ以上の捜査を続ける気はなかった。それがなんともやりきれない。

著者は残された資料にあたって未解決になっている殺人事件の犯人にあたりをつけたりもするんだけど、それも氷山の一角だし、今となっては全貌を解決するのはもう難しい。残りの真相は永遠に闇の中だ。

このノンフィクションは、マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオで映画化の予定があるそうだけど、どの視点からどんな風に映画化するんだろう。この本は、『花殺し月の殺人――インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』というタイトルで早川書房から今月には邦訳が出るそうなので、興味のある人はどうぞ。

by rivarisaia | 2018-05-09 23:23 | | Trackback | Comments(0)

レディ・プレイヤー1

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レディ・プレイヤー1(Ready Player One)』監督: スティーヴン・スピルバーグ

なんでしょう、この80年代をもりもりに盛り込んだ映画。いろいろと懐かしいものがバンバン出てくるので、ヒィィ!となりましたけども、冷静になってみると、著作権交渉ものすごく大変で面倒だっただろうな……(白目)

舞台は、2045年の荒廃した世界。人々はつらい現実から逃れて「オアシス」というバーチャル空間に入り浸っていた。

そのオアシスでは、ちょっと前に亡くなった創設者のハリデー氏が隠したというイースターエッグ探しが日々行われていた。隠された3つの謎を解いた者は、オアシスの所有権と5000億ドルの財産を手にできる。

オハイオのスラムにくらすウェイドもイースターエッグハントに挑んでいたのだが、彼の前にオアシスの権利を得ようとする巨大企業IOIが立ちはだかり……

という話。

現実世界ではパッとしないウェイド君だけど、オアシスでは仲の良い友だちが何人かいて、さらにはちょっと気になる存在アルテミスも出現する。ウェイド君もその友だちも、基本的にはみんな一匹狼なので、当初はチームを組んだりはしていなかったものの、オアシス内での戦いが現実世界にも及んできてしまい、ついにはみんなで力をあわせてバーチャルとリアルと両方の世界で敵と戦うことに!

最初のイースターエッグハントのレースシーン(予告で金田のバイクが登場するやつ)が、映像的にはかなりすごくて興奮したんですが、個人的にめっちゃツボにはまったのは、最後のほうで登場するロボットよりも、2つめのイースターエッグハントでした。

全然前情報入れてなかったので、あれにはぶったまげました。家に帰ってすぐに元ネタであるところのDVDを観かえしちゃったよ。


by rivarisaia | 2018-05-07 21:33 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)
気がつけば5月。のんびりしようと思ってたゴールデンウィークも終わりかけていて、ぜんぜんのんびり時間が足りてないんですけど、来週からは心機一転して日々チャキチャキ過ごしたいものです(あくまで希望)。

今日は、4月に書くつもりですっかり忘れていたアゲハの記録を残しておきます。

毎年の観察によれば、復活祭の前後に羽化するアゲハですが、今年は

復活祭:4月1日
羽化1号:4月5日

でした。越冬蛹は3匹いて、羽化が一番遅かったのは4月13日。

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狭いところに張り付いて羽を乾かしている羽化後のアゲハさん。

そして、昨年は寄生蜂か寄生蝿の越冬蛹もいたことを覚えているでしょうか。私はすっかり忘れていました!



くだんの寄生なんたらの越冬蛹はビニール袋に入れて植木鉢の影に放置していて、アゲハらが羽化した際にハッと思い出して見てみたところ、何の変化もない。

そのまま1ヶ月弱経っても相変わらず出てくる気配もないので、思い切って割ってみたところ、カラッカラに乾いた感じで中で死んでたね……。たぶん見た感じではハエ。体は粉々になっちゃったけど、頭がハエっぽかった。しかしなにゆえにあんなに干からびていたのだろうか。ビニール袋に入れたのがまずかったのか。いやまあ、積極的に羽化させたいわけではなかったので、別に構わないんですけども。

今年もそろそろアゲハが卵を産みにくる季節。何匹か育てるつもりではいるんだけど、庭のナツミカンがあまり元気ないのでエサの確保ができるかどうか悩ましいところ。幼虫の食欲を考えると植木鉢のナツミカンだけでは足りない気がするんですよね。足りなければサンショウを食べさせるという手もあるので、ちょっと考えてみよう。




by rivarisaia | 2018-05-05 22:07 | 生きもの | Trackback | Comments(2)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや