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Far from the Tree

感想書いたつもりになって、すっかり忘れてた! 養子や里子として違う家庭で育てられた3人の子どもが再会する話。とてもよい本です。おすすめのYA。

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Far from the Tree』Robin Benway著、HarperTeen

2017年全米図書賞児童文学部門の受賞作です。

16歳で彼氏の子どもを妊娠・出産し、やむをえず子どもを養子に出すことになったグレイス。じつはグレイス自身も養子で、養父母から愛されてはいるけれど、赤ちゃんの父親である彼氏からは捨てられ、産んだ赤ちゃんもすぐに手放すことになってしまったことで、心に大きな穴があいてしまっている。

自分を産んだ母親もつらい思いで子供を手放したのではないか、と考えるようになり、産みの親に会いたいと思うグレイスだったが、養父母も本人に会ったことはなく、写真もなく、わかるのは名前と、そして他にも養子に出された子どもがいたということ。そこでグレイスは、実の妹のマヤ、兄のホアキンに連絡を取ることに……

というのが、はじまり。

グレイスの妹のマヤは裕福な家庭に引き取られていたけれど、養父母に実の子どもが生まれたことで疎外感を感じている上に、育ての両親が離婚することになってしまった。

ホアキンはヒスパニックの血が入っていることもあって、養子として家庭に引き取られることはなく、里子としていろいろな場所を転々としてきた。過去につらい経験があり、自分を養子にしたいと言ってくれる新しい里親をあと一歩のところで信頼することができない。

初めてコンタクトを取ったとき、いきなり実の兄妹っていわれても……と戸惑いを隠せなかった3人の子供たちが、だんだん打ち解けて、最後には本当の母親を探して会いに行こうとします。

実際会えるのか、はたしてお母さんはどんな人だったのか、どんな事情があって子供を養子に?というところもかなりハラハラするので、そのあたりは読んでのお楽しみなのですが、それ以上に、3人がそれぞれ心に抱えている深い悩みや傷がダイレクトに伝わってくるし、またそれらを乗り越えていく過程がとてもうまく描かれていて、最初から最後までページターナーな1冊でした。

十代の妊娠・出産、アルコール中毒、いじめや偏見、人種差別などの問題も扱いつつ、問題をなんとか乗り越えてちょっとずつ前に進みながら、”ほんとう”の家族とは何か、ということを考えつつ、希望も感じられる話です。

アメリカの養子や里子制度について知っておくとよいかもしれないので、以下も参照にどうぞ。


余談ですが、この本をタイトルでググると、同じ題でまったく別の本がヒットします。アンドリュー・ソロモンの『Far from the Tree: Parents, Children and the Search for Identity』は、社会からは"特殊"とされる子供を育てている親たちに焦点をあてたノンフィクションです(ドキュメンタリー映画も制作されてます)。こちらの本も内容はよさそう。

by rivarisaia | 2018-10-16 18:27 | | Trackback | Comments(0)

Children of Blood and Bone

アフリカの神話や文化からインスピレーションを得たというYAファンタジー。三部作の予定の第1作目で、物語の中に広がる世界が想像力を掻き立てられる雰囲気だし、スピード感のある展開も面白く、続きが気になる1冊! 著者はナイジェリア系アメリカ人です。

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Children of Blood and Bone』Tomi Adeyemi著、Henry Holt Books for Young Readers

著者いわく、ヨルバ人文化、ハリー・ポッター、西アフリカの神話などを参照にしているそうで、「ブラックパンサー meets ハリー・ポッター」と書いている人も見かけますが、「魔法と冒険」はあるけど学園モノではないです。

Orïshaという西アフリカ風の架空の国が舞台。かつてこの国は、魔法を使える「maji」と、魔法は使えないが高貴な「K’osidán」という二つの文化が共存していた。しかし11年前、魔術を憎む王Saranによって maji の大虐殺が行われ、王国からは魔法が一掃されてしまった。

主人公の少女Zélieは、大虐殺の際に目の前で Maji だった母親を殺され、いまは K’osidánである父親と、兄のTzainと暮らしている(ちなみにTzainは Majiの血を引いていない)。

ある日、聖なる巻物を手に王宮から逃げ出してきた王女Amariを助けたことによって、Zélieは兄や王女とともに王国に魔法を取り戻すための旅に出ることになる。聖なる巻物の他に、骨の短剣とサンストーンを探し出し、遠く離れた島に運んで至点の日に儀式を執り行わなくてはならない。もし失敗すれば、魔法は永遠に失われてしまうのだ。

しかしZélieたち三人には、王命を受けた王子Inanが率いる追手が迫っていた……


というのが大筋。物語は、Zélie、王女Amari、王子Inanの三人の視点で語られるという構成で、アクションとバイオレンスの要素も強くて、過酷な展開が待ち受けていたりもします。

魔法を使える能力はあるけど、その力が開花していない人たちを「divîners」と呼びます。13歳にならないと魔力を使うことができないので、大量虐殺のときに幼かった主人公Zélieは殺されずにすんだのでした。

実際に魔法を使えるようになった人々が「Maji」なのですが、使える魔術の種類ごとにさまざまな部族が存在しています。白い髪に銀色の目をしているのが魔法を使える部族のしるし。

主人公のZélieも魅力的だし、まっすぐな心を持っているのに肝心な時に勇気が出ない王女Amariが強く成長していく様も読みどころ。そして敵である王子Inanの葛藤っぷりもけっこう辛い。彼がどうなっていくのか読めなくてやきもきしました。

けっこう厚くて、おまけにフォントも小さい本なのに、章が毎回すごくいいところで終わるので、続きが気になってさくさく読んでしまったけど、2冊目はいつ出るのー? (最後、どうなったのか語られてない人物がいますよね!?)

by rivarisaia | 2018-10-11 22:47 | | Trackback | Comments(0)

クレイジー・リッチ!

久々にパアァァ☆.:*゚と華やかな気分になれるロマンチック・コメディを観た! なかなか楽しく、よい映画なので、脳を空っぽにしてリフレッシュさせたいならば、ロマコメか……と敬遠せずにぜひ観るといいと思う!

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クレイジー・リッチ!(Crazy Rich Asians)』監督:ジョン・M・チュウ

ニューヨーク生まれで経済学科の教授レイチェルは、親友の結婚式に出席するという恋人のニックとともに、彼の生まれ故郷シンガポールに向かう。そこでニックの家族に会うことになるのだが、なんとニックはとんでもない大金持ちの御曹司であることが発覚し……

ニックの実家の金持ちっぷりは、ふつうの金持ちの範疇を超えていて、例えて言うなら一条ゆかりの「有閑倶楽部」みたいなので、ハタから見ているぶんにはとにかく派手で楽しい。

見た目はアジア人だけど中身は完璧アメリカ人のレイチェルは、はたしてアジア的な価値観をもつ(旧態依然としたところがある)ニックの実家の人々とうまくやっていけるのか。めっちゃ障害多そうだけど大丈夫?という話である。

貫禄たっぷりで威厳オーラをまとっているニックのお母さんはミシェル・ヨーが演じており、ミシェル・ヨーが単なる意地悪な女性じゃなかったという点も、とてもよかった。

そして、もうひとりすばらしかったのは、レイチェルの大学時代の親友ペク・リン。オークワフィナが演じてるんだけど、もう大好き。オークワフィナ最高!!!

ペク・リンの家もお金持ちで、ナンチャッテロココな成金あるあるキラキラインテリアのセンスはどうかと思いますけど、家族のみなさんは富豪一家のみなさんよりも人柄がよい。わたしはこの中の登場人物になれるとしたら、オークワフィナになりたい。

原作は3部作なのですが、残りも映画化されそうなので楽しみです。レイチェルとニックはいたって普通なのに、まわりがヘンテコだから面白いよね。

ハリウッド映画でオールアジアンキャストでふつうにコメディ映画ができてヒットする世の中になって本当に感慨深い。

これまではアジア系のようなマイノリティがメインにくるのは、重いテーマに偏りがちだったわけで。しかし『ハロルド&クマー』や『Fresh Off the Boat(フアン家のアメリカ開拓記)』とコメディでも十分いけるようになり、着々とアジア系の活躍の場が広がっていて嬉しい限りです。


by rivarisaia | 2018-10-04 23:35 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)