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マイ・ブックショップ

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マイ・ブックショップ(The Bookshop)』監督:イサベル・コイシェ
1959年のイギリスの海辺の小さな町。未亡人のフローレンスが長年の夢だった書店をオープンする。
町の有力者夫人からは妨害されつつも、読書が好きじゃないという少女に店を手伝ってもらい、長年邸宅に引きこもって暮らしている老紳士が得意客となり、なんとか経営がうまくいっていたかにみえた書店だが……

小さな田舎町の人々と、町に一軒しかないオープンしたての本屋さんの話として想像していたものとはちょっと違った。引きこもりの老紳士であるビル・ナイが、ブラッドベリにハマるあたりは面白かったけど、それ以外の町の人たちはこの本屋をどのくらい利用していたのか、どんな本が好まれていたのか、さっぱりわからないので、『ロリータ』を大量に仕入れるくだりも、いまひとつ現実味がない。そんなに入れても売れないんじゃない?とこっちが心配になるし、結局そこそこ話題になって売れたのか、大失敗だったのかもわからないままなのだった。

有力者夫人は、本屋がオープンすることが気に入らないというよりは、本屋の入っている古い建物を手に入れたいがために邪魔立てするんだけれども、その妨害作戦のひとつとして、町に「別の書店をオープンさせる」というものがあり、しかし、これまたそのライバル書店についてはセリフでしか出てこないので謎が多いまま終わる。

そんなわけで、あまり入り込めない話でしたが、ちらちら映る本の装丁や登場人物たちのファッションが気になる映画ではありました。柄もののブラウスいいな!と思う、そんな映画。


by rivarisaia | 2019-03-30 23:53 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

アリータ: バトル・エンジェル

観てから1ヶ月以上も経っていて、月日の流れる速さにびっくりですよ。

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アリータ: バトル・エンジェル(Alita: Battle Angel)
監督:ロバート・ロドリゲス

空中に浮かぶユートピアと、そこから廃棄されたゴミが積もる地上のクズ鉄の街。
クズ鉄の街に住む医師イド(クリストフ・ヴァルツ)は、ある日ゴミの山で少女のサイボーグの頭部を見つけ、家に持ち帰って修復する。アリータと名付けられたサイボーグは、イドとともに暮らし始め、やがて失われていた記憶を取り戻していく……

原作の『銃夢』は未読。そもそも最初はあんまり観るつもりがなくて、大きな理由としてはアリータの顔があまり好きではなかったからなんだけど、観る気になったのは、監督がロドリゲスだから。劇場で流れていた予告では、ジェームズ・キャメロンのことはアピールしてたけど、ロドリゲスの名前を出してなかったよね。個人的には、そこがいちばん重要な情報であった。

キャメロンっぽいところと、ロドリゲスっぽいところがうまくミックスされていて、なかなか面白かったし(正直、アクアマンより断然よかった)アリータの顔にも慣れてきて、むしろ最初は気になっていた目の大きさもちょうどいい感じがしてくるのが不思議。人間とああいうアニメーションを組み合わせた際に、アニメーションの造形は人間に寄せるのではなく、デフォルメしたほうが逆にいいのかも。

以下、箇条書きで。

・ああー犬ーー!という場面があるので、犬が好きな人は要注意
・マハーシャラ・アリがものすごい悪役かと思いきや、なんとも言えない中間管理職的な悲哀が……めちゃつらい……
・アリータのボーイフレンドにさほどの魅力がなく、私のハートをあげる♡の場面でも、アリータ、やめときなよ、もっといい人いると思うよ、と思ってしまった
・次号に続く!という感じで終わるので2作目も楽しみです。ぜひロドリゲスでお願いしたいところ

by rivarisaia | 2019-03-25 17:48 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

ちいさな独裁者

驚くことに実話がもとになっている映画。保身に走るものが権力を手にして、物事のありかたをまるで考えずに好き放題にふるまうとどうなるか、というのをまざまざと見せつけられるのですが、あれ?これっていまの政治も似たようなものでは……?という気分になることうけあい。

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ちいさな独裁者(Der Hauptmann)』監督:ロベルト・シュヴェンケ

第二次世界大戦も末期になった1945年4月、敗戦の色が濃くなったドイツでは兵士の逃亡が相次いでいた。軍を脱走した一兵卒のヴィリー・ヘロルトは、道端に乗り捨てられた軍用車の中で将校の軍服を発見する。

それを着用してヘロルトは大尉になりすまし、ヒトラーからの直接の命令とする任務をでっちあげ、敗残兵を次々と指揮下に置き、ついには脱走兵の収容所を掌握する……

追われる身としておどおどしていたヘロルトですが、借り物の制服を身につけてから調子に乗ってどんどん常軌を逸していく。ただ、豪胆なことをやっているようでいて、実際のところは絵に描いたような「ケツの穴の小さいやつ」なのだった。最初から最後まで本当にびっくりするくらい小心者で、それを覆い隠すように言動だけがどんどん激しくなっていくのね。

どこかで彼の暴走を止められたはずなのだが、何かおかしいと思った人たちも何も言わないし、何もできない。戦争末期のゴタゴタした状況で、見逃されてしまう。いったん一線を超えてやってはいけないことをしてしまうと、あっという間に秩序は崩壊する。そして秩序が崩壊すると、どうしようもないカオスな状況になってしまうのだった。

本来はモノクロでの上映のところ、私はカラー(といっても抑え気味の色)で観ましたが、これからモノクロ上映をする映画館もあるみたい。白黒のほうがドキュメンタリーっぽさが出るのかも。あとエンドロールはカラーになるんじゃないかなあ? どうだろう。




by rivarisaia | 2019-03-14 11:01 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

バーニング TV版&劇場版

佳境に入った作業と確定申告にかまけていたらもう3月。映画や本のメモ書きも溜まってきたのでさっさか更新します。

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バーニング TV版&劇場版(Burning)』監督:イ・チャンドン

ある日、街で幼なじみのヘミとばったり出会った作家志望の青年ジョンスは、彼女がアフリカ旅行をしている間、猫の世話を引き受ける。ヘミに恋心を抱いていたジョンスだったが、ヘミは旅行中に知り合ったという金持ちの男性ベンと一緒にアフリカから戻ってきて……

原作は村上春樹の短編「納屋を焼く」。読後になんとも薄気味悪い嫌な後味の残る話で、わたしはわりと好きでした。この映画は昨年末にNHKで放映されたTV版と劇場版の2種類があって、全然印象が違うものになっています。

原作に近い形なのはTV版。果たしていったいどうなんだろう?という曖昧なまま終わる。劇場版ははっきりと回答を出して、さらに原作のその後を描いています。そしてどちらも原作にはなかった「持てる者」と「持たざる者」の対比が色濃く出ていて、そこも興味深い。

若いのに何をしてお金を稼いでいるのかよくわからないギャツビーのようなベン。ジョンスは、韓国にはギャツビーみたいな人間がたくさんいる、と言う。いっぽうで、ときどき古いビニールハウスを燃やすのが趣味だと話すベンは、誰からも顧みられない不要なビニールハウスが韓国にはたくさんある、と言う。そんなハウスを燃やしてしまっても、誰も気にも留めないと言うのだった。

あったはずの井戸がなかったり、いるはずの猫の姿が見えなかったり、どこまでが現実でどこからが幻想なのかよくわからないまま話はすすむんだけれども、劇場版はある時点でくっきりと現実が姿を現わす。ただそれも、もしかすると本当に起こったことではなくて、劇場版の後半はヘミの部屋でジョンスが書いていた小説の中の出来事、もしかしたらあり得たかもしれないもう一つの現実というジョンスの願望かもしれない。

おまけ:「納屋を焼く」は広島大学大学院の山根(田野) 由美恵さんの論文の考察がとても面白いです。よかったらどうぞ>コチラで読めます。



by rivarisaia | 2019-03-12 21:53 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)