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Verity

ちょっと前にさくっと読んだ本、感想を書いとこう。もともとロマンス小説の作家が、個人出版のかたちで出したサスペンスです。

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Verity』Colleen Hoover著

お金に困ってる小説家ローウェンは、出版社からの依頼を受け、事故によって執筆できなくなったベストセラー作家ヴェリティの夫ジェレミーに雇われて、ヴェリティが手がけていたシリーズの続きの代筆をすることになる。

執筆のために夫妻の屋敷に滞在してヴェリティの書斎で資料整理をしていたローウェンは、ヴェリティが密かに書いていた自伝を発見、そこには恐るべき内容が書かれていた……

著者は最初に述べたようにロマンス小説の作家で、これもジャンルとしてはロマンスミステリーなのでサクッと軽い感じの内容かと思いきや、広大な屋敷に寝たきりの女性、過去に事故死した双子の姉妹……というゴシック風味の設定の薄気味悪さ漂う作品で、かつメタフィクション。

ヴェリティが密かに書いていた自伝を、後ろめたさを感じながらも、ついつい読んでしまう主人公。だんだん自伝にのめりこんでいくにつれ、ヴェリティに対する疑惑がどんどん深まっていきます。主人公が語り手の章と、ヴェリティの自伝の章で構成されているんですが、ヴェリティの自伝は濃厚ベッドシーンの連続である。

さすがに、またですか……と読者の私がお腹いっぱいな気分になっていたら、作中で自伝を読んでいる主人公も「同じことの繰り返し。もうセックスの章は飛ばして読むことにする!」とうんざりしていて、ちょっと面白い(しかしそんなふうにベッドシーンもりだくさんにもじつはさりげなく意味があって、それが皮肉めいたセリフでバッサリ切られる)。あと、ヴェリティの自伝のベッドシーンが飛ばされたかと思いきや、主人公のベッドシーンが入ってくるという構成にも笑いました。

最後の展開には、うわあってなった。なるほど納得。後味はあまりよくないけど、なかなか面白かったです。

# by rivarisaia | 2019-04-23 23:57 | | Trackback | Comments(0)

Happy Easter!

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復活祭おめでとうございます!

今日から一年、ゆっくりいろいろなことをやろうっと。


# by rivarisaia | 2019-04-21 23:57 | 日々のよもやま | Trackback | Comments(0)

Devil’s Day

『Loney』が話題になったAndrew Michael Hurlyの2作目。前作は読もうと思っている間に月日が流れて、こちらを先に読みました。表紙は3種類。

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Devil’s Day』Andrew Michael Hurly著、John Murray刊

暗い。そしてテンポがとてもゆったり。桜が咲いて明るい春に読むのには向いてなかったかもしれない。ランカシャーの荒涼とした独特の世界に入り込むのに少々時間がかかってしまった。灰色にどんよりとした寒くて寂しい冬の日に読んで、背筋がうすら寒くなるのを味わうのがよさげ。

毎年秋になると、故郷のランカシャーを訪れるジョン。彼の実家は羊を飼ってくらす農家で、村では毎年秋になると悪魔から羊を守る伝統儀式が行われる。

今年の秋は祖父が亡くなって葬式が行なわれることになり、ジョンは初めて身重の妻キャサリンを連れて故郷に戻ってくるのだが、そこで思いもよらない出来事が……

荒野をさまよう悪魔が羊や人間に乗り移って悪さをするので(過去に人や羊が死んだという歴史がある)、それを防ぐための儀式を行う日がタイトルのDevil’s Dayです。

キャサリンとともに初めて故郷に戻ってきたジョンのパートを中心に、ジョンと息子アダムを描いた現在と、ジョンの子供時代の回想が挿入されるという構成です。

描写は丁寧なのだがペースがあまりにもスローなので序盤はやや退屈したのですが、半分以上きたあたりから不気味さが見え隠れしながらじわじわと加速。田舎にいまひとつ溶け込めない妊婦のキャサリンが唯一打ち解けている少女グレースの謎の言動と霊感。キャサリンしか感じない臭い。明かされる衝撃の事実。野犬に引き裂かれた羊の死体。いくつもの死、死、死。

やだもう、ランカシャーの田舎の村こわい!!

くだんのDevil’s Dayには目隠ししてくるくる踊るという他愛もないゲームをやるんですけど、目隠しを外して開口一番に「彼女、頭に何をかぶっているの?」「何もかぶってないよ」っていうくだりが、もうね、ものすごく嫌でした。やめてほしい。

そしてその後も、ジョンが永遠に心にしまい込んで生きていくのであろうという秘密がいくつか明かされることに。悪魔はいつまでも荒野をさまよい、ときおり人々の中に入り込む。でも恐怖を乗り越えて人は生きていくし、長い冬のあとには春が来る。そんな希望を感じさせる終わり方ではあるのですが、ランカシャーの田舎の村こわいという印象をぬぐいされない……。

# by rivarisaia | 2019-04-11 23:57 | | Trackback | Comments(6)

Friday Black: Nana Kwame Adjei-Brenyah

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Friday Black』Nana Kwame Adjei-Brenyah

シュールな話からSFっぽい話まで、ダークでパワフルな12編の話を収録。人種問題や消費社会に対する風刺の効いた……というとありがちに聞こえるけど、風刺の効きっぷりがすごくて、強烈なパンチをくらったような読後感。好みは分かれるだろうし、私もまだうまく消化できてないけど、読むなら今、という1冊。

冒頭の一篇が衝撃だった。「The Finkelstein 5」は、チェーンソーで5人の黒人の子供の首を切り落とした中年白人男性が、正当防衛を主張して無罪になるという事件が背景にある。そのことを深く嘆き、憤り、世の中に幻滅しているエマニュエルが主人公。

日常生活でエマニュエルは自分の”黒人度(blackness)”を10段階で切り替える。おだやかな口調で電話で話すと10段階の1.5、公共の場では肌の色が目に入らざるをえないので、ネクタイをしめて、つねに笑顔で小さな声で話したとしても4.0を下回ることはできない。仮にバスの中で黒人度を8.0近くに上げると、周囲に緊張がはしる。

ある日、エマニュエルが仕事の面接に行くことから、話がはじまる。

これと似たテーマを別の切り口で描いているのが「Zimmer Land」

テーマパークのジマーランドでは客が「正義を遂行するシミュレーション」ができる。ジマーランドに勤務する黒人の主人公は「住宅街で自警団に殺される役」をやっている。こう書くとわかるように、ジマーランドのジマーは、トレイヴォン・マーティン射殺事件の犯人ジョージ・ジマーマンからとっている。

テーマパークの人種差別的なあり方を変えたいと主人公はCEOに訴えるのだが……という話。

その他には、ディストピアな近未来SF(「The Era」「Through the Flash」)や、中絶した双子の胎児が父親の元に出現する話(これ気持ち悪かった)、12枚の舌を持つ神と契約した男が父親を連れていった病院でたらい回しにあう話(カフカ+ブッツァーティみたいなシュールさ)、同級生を射殺して自殺したいじめられっこの霊と彼に殺された学生の霊が協力しあってスクールシューティングの計画を阻止しようとする話などがある。

表題作「Friday Black」は、ショッピングモールで働くベテラン店員が主人公。毎年ブラックフライデーにはゾンビのようになった顧客の大群が押し寄せ、モール内は死屍累々、血で血を洗う過酷なセールが行われていた、という設定。同じョッピングモールと登場人物が登場する話がほかに2つある(「How to Sell a Jacket as Told by IceKing」「Retail」)。この3作シリーズもけっこうよかったな。

「ブラック・ミラー meets ブラック・ライヴズ・マター」という評をよく見かけるのも、なんとなくわかる。確かに「ブラック・ミラー」が好きな人は楽しめるはず。これがデビュー作で、今後も期待したい作家ですが、名前の読みはインタビュー映像で確認したところ、ナナ・クワメ・アジェ=ブレンニャです。覚えておこう。


収録作品
The Finkelstein 5
Things My Mother Said
The Era
Lark Street
The Hospital Where
Zimmer Land
Friday Black
The Lion & the Spider
Light Spitter
How to Sell a Jacket as Told by IceKing
In Retail
Through the Flash

# by rivarisaia | 2019-04-06 21:18 | | Trackback | Comments(0)

The Silent Patient

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The Silent Patient』Alex Michaelides著、Celadon Books

有名な画家アリシアはファッションフォトグラファーの夫ガブリエルと幸せな結婚をしているかに見えた。
ところがある夜、アリシアは夫の顔を5回も銃で撃ちぬき殺害する。
事件から一言も口をきかなくなったアリシアは精神科施設に収容されていた。アリシアの担当となったサイコセラピストのテオは、事件の日にいったい何が起きたのかを探ろうとするのだが……

なかなか面白かったミステリー。表紙は2種類あります。

語り手のテオ自身も個人的な問題を抱えていて、そのせいなのかアリシアを救いたいという思いが強く、事件の背景を探ろうとして、どんどん深みにはまっていきます。なぜアリシアは夫を殺したのか。そもそも本当にアリシアが犯人なのか。アリシアは一体どんな人物なのか。どうしたら口を開いてくれるのか。

これ以上は詳しく知らないほうが楽しめるので、説明はここで終わり。何も考えずに読んでたら、途中でえっ!てなりました。また、1章がとても短いので、あともう1章だけ読んで続きは明日にしようなどと思っているうちに、読み終わってた。そのテンポのよさもしてやられた感じ。


# by rivarisaia | 2019-04-05 23:22 | | Trackback | Comments(0)

『Florida』Lauren Groff

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Florida』Lauren Groff著、Riverhead

『Fates and Furies(邦訳:運命と復讐)』のローレン・グロフの短編集。単に好みの問題として、好きかと言われると個人的にはものすごく好き!というわけでもなかったんだけども、全体的にうまいなーとは思う。寓話のような話、シュールな話、壮大な話、幻想的な話から日常の光景を切り取った話まで、主にフロリダを舞台とした11の短編が収録されている。

そのなかで一番好きなのは、最初の「Ghosts and Empties」。育児に疲れて怒りっぽくなっている女性が、頭を冷やすための日課として夜の街を散歩する。灯りのついた窓の中のだれかの暮らし。暗闇ですれちがう人々。季節の移り変わりと光や音や匂い。町を歩いているだけの短い話なのに、長い長い時間の流れも感じさせながら鮮やかな印象を残すところが気に入っています。

収録作品リスト
Ghosts and Empties
At the Round Earth’s Imagined Corners
Dogs Go Wolf
The Midnight Zone
Eyewall
For the God of Love, for the Love of God
Salvador
Flower Hunters
Above and Below
Snake Stories
Yport


# by rivarisaia | 2019-04-04 21:40 | | Trackback | Comments(0)

たちあがる女

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たちあがる女(Woman at War)』監督:ベネディクト・エルリングソン

予告を観たときには、なんだろうこの映画、ほのぼのした北欧ものかな?と思ってたんですけど、『馬々と人間たち』の監督だということに気づいて、

絶対、いっぷう変わった映画でしょ!!

と確信したので、公開を楽しみにしていました。そしてやはり変わった映画で、どのように解釈していいのかいまだ考え中のところもあるんだけど、ユーモラスで不思議と元気が出たし、わたしはとても好き。なにせ音楽の使い方がすばらしく、何が面白いって、劇伴の演奏家や歌い手が常に画面にいる(笑)

まずは、あらすじ。

アイスランドの田舎に住むハットラ。コーラスグループの指導をしている彼女には、自然を守るために地元のアルミニウム工場にたった一人で闘いを挑む環境活動家という裏の顔があった。
ある日、ハットラのもとに、ウクライナからの養子縁組の知らせが届く。母親になるという長年の夢を叶える前に、ハットラは最後の闘いに挑むことに……

ハットラは「山女」と呼ばれる「環境テロリスト」という扱いをされているんだけれども、それは権力側が貼ったレッテルなのだった。そしてこの映画は、ハットラの行為は誰も死なないけど迷惑じゃん?という話ではなく、一人で巨大な力に立ち向かい、転んでも、転んでも、時折まわりの人たちに助けられながら何度でも立ちあがって走り続ける女性を描いたひとつの寓話なんだと思う。

動的で外に向って行動するハットラとは対照的に、静的で内省的なハットラの双子の姉が登場する。この双子はふたりでひとりなのかもしれないな。

そしてやはりアイスランドの雄大な自然の美しさが今回も圧巻でした。一度行ってみたいな〜。そして前作では人が馬に入りましたが、今回は羊をかぶります。



# by rivarisaia | 2019-04-01 23:51 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(2)