タグ:帳面派・箱派 ( 59 ) タグの人気記事

「グリーンランド」 中谷芙二子+宇吉郎展

銀座のエルメスの8階にあるギャラリーで行われている「グリーンランド」はとてもよかった。

b0087556_01174496.png
「グリーンランド」 中谷芙二子+宇吉郎展

2017年12月22日(金)~2018年3月4日(日)
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム(東京都中央区銀座5‐4‐1 8階)
開館時間:月~土 11:00~20:00(最終入場は19:30まで)/ 日 11:00~19:00(最終入場は18:30まで)
休館日: 不定休(年末年始はエルメス銀座店の営業時間に準ずる)
入場料: 無料

とにかく「わっ!」と驚いたのが、中谷芙二子さんの霧のインスタレーションで、ちょうど会場に着いたら五里霧中状態だった。屋内での霧は圧倒的かつ幻想的で、霧が満ち満ちた空間は、数歩先がまるで見えなくなって、すぐそこにいるはずの人たちもぼんやりとした黒い影と化し、ちょっと怖いくらい。

そして霧がすうっとひいてあっさり消えていくとき、夢から覚めるような心持ちがしました。。湿度が高いので、寒くないのに息が白くなるのも妙な感じ。

こればかりは体験しないとよくわからないと思うので、機会があればぜひ行って見てきてほしいのですが、会場写真で雰囲気を知るなら以下の公式サイトでもみられます。

霧は確か、毎時15分と45分の2回だったと思う。もし行って霧がなかったら、霧が出るまで絶対待ってね。洋服が濡れないようにポンチョを貸してくれますが、私は別に着なかった(けど大丈夫だった)。

芙二子さんのお父様が、人工的に雪の結晶を作り出した科学者の中谷宇吉郎氏だったというのは初めて知りましたが、雪と霧の親子ってなんだか面白いですね。宇吉郎氏のフィールドノートの展示もあって、帳面派の展覧会でもありました。

私が訪れたのは昼間だったのですが、夜の霧はまた全然違う表情を見せるそうなので、会期中にチャンスがあれば日が暮れてからまた観に行きたい。



[PR]
by rivarisaia | 2018-01-31 01:37 | 展覧会ほか | Trackback | Comments(0)

宇宙と芸術展

用事があって六本木に行ったついでにふらりと寄ってきました。終わる前に行こう!とあせっていたのだが、よくよく会期をみれば来年の1月までやっている(というわけで、冬休みに観に行くこともできますよ)。

b0087556_22372300.png
『宇宙と芸術展 かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ』
会場:森美術館
会期:2016年7月30日(土)ー2017年1月9日(月・祝)

「人は宇宙をどう見てきたか?」「宇宙という時空間」「新しい生命観―宇宙人はいるのか?」「宇宙旅行と人間の未来」という4つのセクションで構成されており、チベットの曼荼羅、隕石からつくられた日本刀、竹取物語絵巻やルネサンス期の書物から、現代美術のインスタレーション、50年代のSF雑誌コレクション、宇宙開発の最前線にいたるまで、「宇宙」をキーワードにした古今東西の芸術・科学などさまざまなジャンルの品々が展示され、人類が宇宙をどのようにとらえてきたのか、過去から現代、未来において宇宙の見え方はどのように変わってきたのか(または変わっていないのか)といったことを、考えさせられるような展覧会です。

ただ、私、この日、あまりにぼんやりしてまして、それぞれの展示物をリンクさせて全体像を俯瞰しながら宇宙について考えたりということはせず、バラバラと個々の作品に見入ってしまっていたりしました。

鉄の隕石からつくられた伝説の刀「流星刀」(刀の表面が宇宙の星のようにきらめいていて不思議)、昔の天体望遠鏡(に使われていた立派なマイナスねじ!)、ヴァンサン・フルニエのどこか寂しい気持ちになってしまう写真のシリーズ、ロシア人科学者コンスタンチン・ツィオルコフスキーによる一連のスケッチ(まさしく帳面派)、「うつろ舟」(数種類の絵を比較できる!)などが印象的だったのですが、なかでも一番気に入ったのが、

コンラッド・ショウクロスの『タイムピース』という巨大なインスタレーション。

これとてもよかった。いつまでもじーっと見ていられる。写真撮影も可能な作品だったのですが、私が撮った写真では全然良さが伝わらないので、今回は載せません。チャンスがあったらぜひ実物をごらんください。

あとですね、ジョセフ・コーネルの箱が1点展示されていたのも、私としては大変によかった! コーネルの箱の裏側や側面をじっくり鑑賞できるのですが、箱の裏もまったく気をぬいてないコーネル。さすがだ……。箱派の師匠、私も見習いたい。

最後のセクションでは、チームラボのインタラクティブなインスタレーションもありまして、軽く擬似宇宙遊泳の感覚を味わえます。部屋の真ん中あたりの床に座って鑑賞するのがおすすめですが、私、出だしでけっこう目がぐるぐる回って酔いました…。立ってたらひっくりかえったかもしれんね。こんなことでは宇宙になんて行けない。

そして展覧会見終わったあと、物販コーナーで思わず「ウチュウガチャ」をひいてしまった私である。ウチュウガチャは打ち上げられたロケットの部品「フェアリング」のかけらが入っているガチャで、フェアリングは要するに説明を読むとロケットの梱包材のような部品なのだった。写真にうつっている銀色の四角い物体がそれだ。JAXAの証明書付きで、500円です。


[PR]
by rivarisaia | 2016-09-04 23:22 | 展覧会ほか | Trackback | Comments(0)

「旅するルイ・ヴィトン」展

ゴールデンウィークは来週後半からスタートくらいの感覚でいたので、明後日から始まることを確認してひょええ!となった私です。こんにちは。

日曜の夜に行ってきたヴィトンの展覧会が大変すばらしかったので、おすすめ! 6月19日まで開催してます。機会があればぜひどうぞ!

b0087556_23313072.png
「Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton
(空へ、海へ、彼方へ──旅するルイ・ヴィトン)」展

2016年4月23日(土)~2016年6月19日(日)
特設会場:東京都千代田区麹町5丁目
入場無料。事前にオンラインで時間予約するとよいです。公式サイト

b0087556_23405657.png
ルイ・ヴィトンというブランドや商品にさほど魅力を感じない人でも、けっこう楽しいだろうなと思える展覧会です。ブランドのバッグ、興味ないし〜と言ってスルーしちゃうのはもったいない。

b0087556_23402110.png
20世紀初頭の船旅や列車の旅、昔の航空機や自動車、ラベルのデザイン、木工具、20世紀初頭の衣装や最近のファッション、文房具、香水瓶、そしてもちろん数々のトランクや鞄、革製品の制作工程などなど、いろんなモノがぎっちり詰まっていて、見どころだらけです。

ルイ・ヴィトンの孫で双子のジャンとピエールが作った飛行機のプロトタイプの模型なんかもあるよ。

b0087556_23395346.png
会場は仮設の建物なのですが、展示空間がとても面白くてわくわくする構成。什器のデザインも凝っていた。展示空間は写真撮影も可能です。

b0087556_23462625.png
最後の部屋では、職人さんの実演も行われておりました。そのほか、制作工程の映像が流れるテーブルがあって、そこに座るとまるで自分が作ってるみたいな気分になってちょっと楽しい。

ガストン・ルイ・ヴィトンのホテルラベル・コレクションもあって、じつは昔のホテルのラベルにはちょっとした秘密があるのだが、どんな秘密なのかは展示室にいるガイドのお姉さんに聞いてみてください!

そう、何か疑問に感じたことは展示室にいる係の人に尋ねると、丁寧にいろいろ教えてくれます。この辺もすごいな...と感心したところ。

気に入った展示品がいっぱいあったんだけれども、これから行く予定の人もいるだろうから、この辺でおしまい。

<おまけ>
b0087556_23485857.png
初代ヴィトンさんはもともと荷造り用木箱製造からスタートした人なので、当然箱派ですが、子孫もふくめ、帳面派でもあった! 紙モノの展示も充実してます。




[PR]
by rivarisaia | 2016-04-27 23:56 | 展覧会ほか | Trackback | Comments(4)

東京大学の学術遺産 君拾帖

本日は、世界に誇る偉大なる帳面派の日本代表に間違いなく選ばれるであろう人物の本です。

b0087556_22513251.png
東京大学の学術遺産 君拾帖』モリナガ・ヨウ著、メディアファクトリー
※クンは、本来は手へんに君

幕末から明治に活躍した偉人・田中芳男。1838年、信州飯田に生まれ、幕末には博物学者・伊藤圭介に師事してパリ万博に参加したり、日本で初めての博覧会を企画したり、上野に博物館や動物園を作ったり、雑誌や本を発行したり、学校作ったり、挙句男爵の称号ももらって、議員なども歴任したという、なんだかすごくえらい人。

そんな田中は100冊近いスクラップブックを遺しており、それが東京大学に保存されている史料「君拾帖(くんしゅうじょう)」です。

日本の博物学の父と呼ばれる田中芳男ですが、帳面に様々な紙モノを貼り付けるという素晴らしい、素晴らしい嗜好の持ち主でした。私は帳面派の師匠と呼びたい。

幕末から大正5年のじつにおよそ60年間にわたって作成された「貼り交ぜ帖」には、引札、領収書、チラシ、カード、名刺、お菓子や食品の包み紙、ラベル、絵葉書、献立表など、さまざまな紙をびっしり貼り付けられています。日本国内だけでなく、パリ万博に参加した時に蒐集した外国の紙モノもたくさん残されており、貴重な史料となっているわけです。

全ページみたいので、デジタル化されてたらいいのになーと思うのですが(その辺まだ調べてない。されているようなら教えてください)、一部をよりすぐってモリナガ・ヨウ氏が紹介しているのが本書です。

どれもこれも興味深いのですが、いくつか印象的だったものは、

  • 絵花火:火薬が紙に塗られた仕掛けつきの刷り物で、たとえば、大砲の絵の先に線香で火をつけると、砲弾が発射されたかのごとく火が動くというもの。
  • 幕末の領収書(印鑑が黒い):朱肉が一般的になるのは明治になってから。長谷川時雨も「印鑑が赤いのは今風で嫌だ」と嘆いているらしいよ!
  • 缶詰ラベル:エゾジカとかクジラはまだしも、亀肉や鶴肉もある。めでたい缶詰扱いだったのでしょうか。キノコの缶詰のラベルもいい感じです。
  • 日本初の液体目薬「精錡水(せいきすい)」:販売者の岸田吟香は、岸田劉生のお父さん。

それから、田中芳男は「モノに紙をあてて炭などでこすって形を写し取る」ということもたくさんやっていて、月餅や煎餅もこすって「拓」を取ってたらしいんですが、パリの石鹸の「拓」もありましたね……。スルメ拓を集めた『鯣(するめ)帖』も残ってるらしいよ……芳男……。

田中芳男の略歴についてはコチラをどうぞ。

東京大学の田中文庫博覧会関連資料目録のページでは、ページの下のほうに画像があります。

じつは今年伊勢に行った際、田中芳男コレクションがあるという神宮農業館に寄りたかったんですけど、改装中で閉まってたんですよね。残念! 今はもう開いてます。





[PR]
by rivarisaia | 2015-12-15 22:52 | | Trackback | Comments(0)

百日草

東京国際映画祭の3本目は心に沁みる映画でした。思い出すだけでしんみりする……。

b0087556_23245791.png
百日草(百日告別/Zinnia Flower)』監督:トム・リン

交通事故で、婚約者を失った女性と、妊娠中の妻を失った男性。ある日突然、大切な人を亡くしてしまった二人が、喪失感に苛まれながらも、なんとか現実を受け入れて生きていこうとする100日間の物語。

百日というのは、初七日、五七日、四十九日……という法要の日数で、百日目は泣くのをやめる日(卒哭忌)だそうです。仏教の習わしに疎い私は、なるほど台湾ではそういう習わしなのかと興味深く思ったけれども、日本にも百ヶ日法要があることを後で知る。

事故では軽傷ですんだミン(カリーナ・ラム)。婚約者の母親は、息子の死に対する怒りをミンにぶつけてくる。葬儀では遺族側で参列させてもらえず、出せなくなってしまった結婚式の招待状をぼんやり眺め、料理人だった婚約者が残したレシピカードを見ながら食事を作り、そして新婚旅行で行くはずだった沖縄へ、彼女はひとりで旅立つ。

この映画は帳面派でもあるのですが、ミンと婚約者は沖縄で美味しいものを食べ歩くつもりだったらしく、行きたいカフェやレストランをまとめた旅の帳面が登場するんですよ。それを手に、ミンはひとりで黙々とまわっていくのね。曇り空の沖縄を。切ない……。

いっぽうで、怪我を負ったもののやはり自分だけ助かってしまったユーウェイ(シー・チンハン)は、事故を起こした加害者の家に怒りの電話をかけ(でも加害者は死んでしまっているのだった)、クリスチャンだった妻の友人たちの、無神経な言葉に憤り、腫れ物に触るように接してくる同僚に苛立ちを覚える。

やがて彼は、自宅でピアノを教えていた妻が受け取っていた月謝を返すために、妻の教え子たちの家を一軒一軒訪ねてまわるようになる。

ミンとユーウェイは、山のお寺で行われる法要の場で顔を合わせ、少し言葉を交わすだけの間柄で終わります。

百日の間に、淡々と時は流れていくようでいて、じつはいろいろなことがあり、自暴自棄になったり、自殺を考えたり、なんとか踏みとどまったり、怒ったり、泣いたり、そうしていくうちに時間が少しずつ傷を治していくのでしょう。傷痕は決して消えることがないにしても。

ハンカチ忘れると劇場で大変なことになりますが、本当にしみじみとよい映画なので公開されるといいなあ。では、予告をどうぞ。




[PR]
by rivarisaia | 2015-11-12 23:28 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

若さは向こう見ず

日本でもさまざまなジャンルのインド映画が公開されるようになり、選択肢が増えてちょっとうれしい今日この頃。

今日から東京で上映中なのが、インド映画で全米オープニング9位に初ランクインしたという恋愛青春ドラマ。あの『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』でみんなのハートを虜にした、インドのべっぴんさんこと、ディーピカちゃんも出てますよ!!

b0087556_23222738.png
若さは向こう見ず(Yeh Jawaani Hai Deewani)』監督:アヤーン・ムケルジー
真面目で勉強一筋だった女学生ネイナー(ナイナ)は、たまたま再会した高校のクラスメイト、アディティからグループでトレッキングに出かけると聞き、親に反抗して急遽旅行に参加することに。
クラスの人気者だったバニーや、ギャンブル好きのアヴィ、そしてアディティとネイナーの男女4人は楽しい時を過ごし、やがてネイナーはバニーに心惹かれていくのだが……
というのが、前半のあらすじ。

人気者でお調子者で、結婚は人生の墓場だと考えていて、ひとつの場所にじっとしていられない性格のバニー(ランビール・カプール)。
真面目で地味で、ハメを外したことなど一切なく、ひたすら堅実な人生を歩んできたネイナー(ディーピカー・パードゥコーン)。

こんな正反対の二人の8年越しの恋の行方を描いたドラマで、後半は、くだんの旅行から8年後、世界を飛び回っていたバニーが友人の結婚式に出席するためにインドに戻ってくるという話になります。

しっかし、この映画はよくよく考えてみると、前半はほぼトレッキング旅行しか描いてなくて、後半のほとんどは旅行から8年後の「ある人の結婚式」しか描いてなかった! それなのに展開が気になっちゃって、まったく飽きなかったっていうのがすごい。

夢や希望でいっぱいの青春時代の前半と、いろいろと挫折や悲しい経験をして折り合いをつけながら大人になっていく後半がうまく対比されていまして、なかなか心に沁みる物語になってましたよ。欲張って生き急いでる人の心に突き刺さるような名言があったりして、人生つねに出遅れてる私ですらも「日々、今という瞬間を大切に味わってないかもしれんね……」と深く反省したよね……(遠い目)。

全体的に画面がとっても華やかで、行きたくなるような風光明媚な場所がたくさん出てくるし、ダンスシーンも心踊るし、ファッション(特に結婚式の伝統衣装)が色鮮やかで美しく、目に楽しい作品でもありましたね。

ついでに本作は「帳面派」映画でした。バニーくんは行きたい場所・行った場所を記した帳面を1冊持っている。あれは果たして1冊で済んだのか、それとも1冊でも空白のページがあるのか、帳面をちょっとみてみたい。

『若さは向こう見ず』は都内では渋谷(8/15〜9/4)と大森(9/12〜10/9)で上映予定です。詳しくはコチラのサイトをどうぞ。

予告編も貼っておきますね。



[PR]
by rivarisaia | 2015-08-15 23:22 | 映画/アジア | Trackback | Comments(0)

スー・ブラックウェル 「Dwelling -すみか- 」

古本を使ったアートの一種に、ブックスカルプチャーというのがあって、有名な作家が何人かおりますが、その中でも私の大好きな作家の展覧会が、日本の東京は銀座で開催中です。やったー! なかなか行けなかったのだが、ようやく観に行った。

b0087556_21463455.png

スー・ブラックウェル 「Dwelling -すみか- 」

2015年4月29日(水・祝)-6月14日(日)
11:00-20:00(入場は閉館の30分前まで)
入場無料/会期中無休

ポーラ ミュージアム アネックス
東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 3階


詳細や作品解説については公式サイトをどうぞ。

スー・ブラックウェルの作品は実物を観たのが初めてだったので、間近でじっくり眺めることができてとても嬉しい。開かれた本のページから、ポワン!と独特の世界が飛び出したかのような作品は、どれも幻想的ですばらしい。

会場構成がユニークで、ひとつひとつの作品が家の形のブースの中に配置されています(作家のブログ記事に写真があるよ)。ブースがやや小さいため、腰をかがめてそこにある秘密の世界をこっそりと覗き込んでるような気持ちになります。不思議。

創作過程の映像も面白かったなー。ボンドは何を使ってるんだろう。会期中にどこかでまた観に行くつもり。

作家のサイト:http://www.sublackwell.co.uk
[PR]
by rivarisaia | 2015-05-14 22:01 | 展覧会ほか | Trackback | Comments(0)

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

コンピュータの父、アラン・チューリングをテーマにした映画。脚色がたぶんに入っているので伝記映画というよりは、サスペンス映画とおもいました。だってケンブリッジ・ファイブを盛り込んだりしつつ、ハラハラドキドキさせるんだもん。ちなみに、ネジ映画で、帳面派です。

b0087556_19412706.jpeg
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(The Imitation Game)
監督:モルテン・ティルドゥム

副題の秘密が何を指しているのか、私には今ひとつわからなくて、映画観たあともよくわからないんですけども、もしチューリングが同性愛者だったことを意味するのであれば、いまだにそのことを「秘密」なんて言い続ける必要ないじゃない、とやや納得いかない。

それはさておきまして。

映画はとてもよくできていて、果たして英国のチューリングたちは、エニグマの暗号をどうやって解読するのか。現在と過去をいったりきたりすることで、緊張感を保ちながらみせてくれるわけですよ。私、ちょっと泣いたよ、あのマシンが動いた瞬間。

しかし、暗号を解読した後には、さらなる苦渋の選択が待ちうけていたのであった……。

アカデミー賞の授賞式にて脚本のグレアム・ムーアは「Stay Weird, Stay Different」というスピーチを行ったのですが、「あなたが普通じゃないから、世界はこんなに素晴らしい」というのが本作のテーマであり、したがって本作は、普通じゃない人たちへのちょっとした応援歌でもあるのでした。

ところで、学生時代のチューリングくんは、ランチタイムにお皿の上でニンジンとグリーンピースをよりわけていましたけども、うちの祖父は、ミックスベジタブルってあるじゃないですか、あれをお皿の上でニンジングループ、コーングループ、グリーンピースグループに分けてから食べていました(母が見て「びっくりしたわ…」と言ってた)。

私はミックスベジタブルを分類することはないですけど、その気持ちはとてもわかる……ので(したがってミックスベジタブルは苦手な食材である)、チューリングくんがニンジンとグリーンピースをよりわけるのも、「ああ、わかる!わかるよ、その気持ち!」と思った次第です。ただ残念なことに、チューリングくんと違って、私は天才ではないのでした。


[PR]
by rivarisaia | 2015-04-14 19:46 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(0)

ショート・ターム

複雑な問題を抱え、親と暮らすことができない十代の子どもたちを一時的に保護する施設(グループホーム)ショート・タームを舞台にした物語。

b0087556_23435413.png

ショート・ターム(Short Term 12)』監督:デスティン・ダニエル・クレットン

この施設でくらす子どもたちは、それぞれ親からの虐待やネグレクトといった問題を抱えていて、硬い殻で心を覆ってしまっているけれど、ふとした瞬間に本当の気持ちを打ちあけたりします。ある子どもはラップにのせて。また別の子どもは、自分で創作した物語を通じて。

本作は帳面派でもあって、少女のノートに描かれた「タコのニーナとサメ」が切ない。どこかレオポルド・ショヴォーの『年をとったワニの話』を思わせる語なんだけど、虐待する親の気持ちと子どもの気持ちが伝わってきてやるせない。

問題を抱えているのは、子どもだけではなく、大人も同じ。新しく入所した少女ジェイデンの担当になったケアマネージャーのグレイスは、なかなか心を開かないジェイデンと交流していくうちに、自分自身の辛い過去とも向き合っていくことになります。彼女には、同僚で恋人のメイソンにも言えない悩みがあったのでした。

施設を出た後、前途多難な人生が待ち受けてるかもしれないけれど、すばらしいフォスターペアレントと巡り会えるかもしれないし、自分を理解して見守ってくれる人と出会えるかもしれない。

はじまりとエンディングがちょっと似ているんだけれども、与える印象が全然違うものになっている。駆けていくサミーは、大変に月並みな言い方だけれども、希望に向かっているようにも思えました。主人公の名前がグレイスなのは、慈しみをもたらす人だからだね、きっと。
[PR]
by rivarisaia | 2015-01-15 23:44 | 映画/洋画 | Trackback | Comments(2)

The Griffin & Sabine Trilogy(不思議な文通シリーズ)

前回予告したので、今日は造本が凝ってる本シリーズ。三部作です。だいぶ前の本ですが、「不思議な文通シリーズ」として河出書房新社から邦訳も出てました。

b0087556_2236095.png

The Griffin & Sabine Trilogy」Nick Bantock著、Chronicle Books

1冊目『Griffin & Sabine』
(不思議な文通 グリフィンとサビーヌ)

ロンドンに住む孤独な画家のグリフィンのもとに、南太平洋の島に住むサビーヌという見知らぬ女性から手紙が来る。サビーヌにはグリフィンの絵が見えるらしい。ふたりは文通を始めるのだが……

2冊目『Sabine's Notebook』(サビーヌの日記)
ロンドンに来ることになったサビーヌを避けるようにグリフィンは旅に出る。いっぽうサビーヌはロンドンにあるグリフィンの家で、彼の帰りを待つのだが……

3冊目『The Golden Mean』(黄金のとびら)
どうしても会えないふたり。ふたりの世界には超えられない壁があるらしい。そしてそこに謎の人物が現れ……


3冊とも、基本的にグリフィンとサビーヌがやりとりした手紙だけで構成されてます。
b0087556_22454644.png

こんなふうに絵はがきのページもあれば、
b0087556_22462919.png

封筒の中に手紙が入っているページもあります。

読者は彼らの手紙を読んで、何が起きているのかを知るのですが、会えないふたりがかわすロマンチックな手紙のやりとり……と見せかけて、けっこう怖い話だと思うんですけど、今、読み返してみてもかなりホラー。1冊目も2冊目も、そしてもちろん最終巻もオチにぞっとするんだけど!!

怖いよ!!

SFのようでもあるし、サイコホラーのようでもあるし、怪談のようでもある。おまけにイラストもちょっとおどろおどろしい(正直、この絵はあんまり好きではない)。封筒から手紙を出して読む、というわくわく感が楽しい本ではあります。さくっと読めるので機会があったらどうぞ。ホラーだけど!
[PR]
by rivarisaia | 2014-11-25 22:59 | | Trackback | Comments(7)

見たもの読んだものについての電子雑記帳


by 春巻まやや
プロフィールを見る