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Ohio

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Ohio』Stephen Markley著、Simon & Schuster Paperbacks

オハイオ州北東にある小さな町New Canaanでかつて同じ高校に通っていた若者たちの人生がある夜に交差して、それぞれが抱えていた思いや後悔、過去の秘密が明らかになるという趣の話。

舞台がラストベルトということもあり、閉塞感があってとにかく暗いし、前半は展開があまりにスローなので、途中で読むのやめようかな?とも思ったけど、惰性で読んでいたら最後のほう急展開でいろいろなことが起きた。読者に対しては衝撃的な事実も判明し、苦いエンディングを迎える。

フットボールの花形選手だったけどイラクで戦死してしまったリックの葬儀パレードの話がプロローグ。それから6年が経ち、それぞれの理由で葬儀には参加しなかった4人が、ある日New Canaanに帰ってくる。

活動家のビルは、ニューオリンズから謎のパッケージを運ぶために。大学院生のステイシーは、行方不明になった高校時代の親友の母親と対峙するために。軍を退役したダンは、昔の恋人と恩師に会うために。そして、美人で有名だったティナは、かつての彼氏に復讐するために。

主にこの4人の章で構成されていて、ステイシーの章が心がヒリヒリとするけれども、とてもよかった。レズビアンであるために、保守的なクリスチャンの家族との間に軋轢があるステイシー。彼女はとてもまっすぐな人物で、この小説の中の良心でもある。そして、ティナの章は非常にツラくて悲しい。

エピローグは、ニューオリンズからの謎のパッケージがもたらした結末と、ステイシーの親友で初恋の人でもあったリサがどこに行ってしまったのかが語られる章。何もかもがすっきりすればいいんだけど、なかなかそうはいかないね。

by rivarisaia | 2019-06-13 21:49 | | Trackback | Comments(0)

壁の向こうの住人たち―アメリカの右派を覆う怒りと嘆き


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壁の向こうの住人たち―アメリカの右派を覆う怒りと嘆き
A・R・ホックシールド著、布施由紀子訳、岩波書店

2016年の全米図書賞ノンフィクション部門にノミネートされていた『Strangers in Their Own Land』の邦訳。著者はカリフォルニア大学バークレー校の名誉教授である社会学者。

米国の最貧州の一つであり、環境汚染や公害に悩まされているルイジアナの右派の人々が、環境規制を強化しようともせず、むしろ企業を優遇しようとしている共和党を支持するのはなぜなのか。

リベラル派である著者が、南部でティーパーティー運動を支える白人中間層の人々の話に耳を傾け、丹念にインタビュー調査を行い、彼らの「ディープストーリー」を理解しようという試みです。

ディープストーリーとは、良識や事実ではなく、個人の感情に基づく物語のこと。リベラル、保守を問わず、みなそれぞれのディープストーリーを持っている。では、ルイジアナのティーパーティーの人たちのそれはどういう物語なのでしょう。

著者の出会った人々はみな親切で忍耐強く、家族を大切にして勤勉に働き、地元にも貢献してきた。同情心を買おうともせず、不平も言わず、遅々として進まない列に並んできた。ああ、それなのに。自分たちの前に、黒人や女性、移民、難民、ペリカンまでものが割り込んでくるではないか。

端的に言えば、そうした彼らの行き場のない気持ちを代弁してくれるのがティーパーティーなのだった。

トランプ大統領が当選した際に話題になった『ヒルビリー・エレジー』はアパラチアの白人貧困層の話でしたが、ルイジアナは共通点もあるけど、またちょっと事情が違う(日本もそうだと思うけど、アメリカは広い国なので、地域によって歴史も文化もだいぶ異なる)。

いっぽうで、現代の日本社会のマイノリティや弱者を叩く風潮にも通じる箇所があるようにも感じる。分断を乗り越えて両者が歩み寄るためにも、賛同せずとも意見の異なる相手を理解するときの参考になる本だと思う。

あと『魂のゆくえ』でも描かれていたメガチャーチの環境問題に対するスタンスも伺い知ることができるし、最近話題になっている中絶禁止問題に対しても、南部の右派の人たちの考えがなんとなく見えるんじゃないかと思う。

アラバマ州での中絶禁止法の成立に関して、男性議員が多いからではないかという主張があり、もちろんそれもそうだし、また南部では中絶禁止を支持する女性がけっこう多いということもある。アラバマ州知事は女性なんだけども、法案成立後の知事のコメントと同様の意見の女性も少なくないのではないか。

本書でも、本当は中絶手術を受けられたほうが楽だったと思いつつも「ただしい行いをしたこと」を誇りに思い「その気持ちはリベラル派にはわかるまい」という話す女性が出てくる。いや、そういう気持ちになること自体は理解できるんだけども、最終的には自分の体のことは本人が決めるべきだと私は思うんだけどねえ。中絶の規制に関してはロー対ウェイド事件の判決以降、ずーっと議論が続いていて、まったく決着をみないですね。

by rivarisaia | 2019-05-30 23:34 | | Trackback | Comments(0)

Verity

ちょっと前にさくっと読んだ本、感想を書いとこう。もともとロマンス小説の作家が、個人出版のかたちで出したサスペンスです。

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Verity』Colleen Hoover著

お金に困ってる小説家ローウェンは、出版社からの依頼を受け、事故によって執筆できなくなったベストセラー作家ヴェリティの夫ジェレミーに雇われて、ヴェリティが手がけていたシリーズの続きの代筆をすることになる。

執筆のために夫妻の屋敷に滞在してヴェリティの書斎で資料整理をしていたローウェンは、ヴェリティが密かに書いていた自伝を発見、そこには恐るべき内容が書かれていた……

著者は最初に述べたようにロマンス小説の作家で、これもジャンルとしてはロマンスミステリーなのでサクッと軽い感じの内容かと思いきや、広大な屋敷に寝たきりの女性、過去に事故死した双子の姉妹……というゴシック風味の設定の薄気味悪さ漂う作品で、かつメタフィクション。

ヴェリティが密かに書いていた自伝を、後ろめたさを感じながらも、ついつい読んでしまう主人公。だんだん自伝にのめりこんでいくにつれ、ヴェリティに対する疑惑がどんどん深まっていきます。主人公が語り手の章と、ヴェリティの自伝の章で構成されているんですが、ヴェリティの自伝は濃厚ベッドシーンの連続である。

さすがに、またですか……と読者の私がお腹いっぱいな気分になっていたら、作中で自伝を読んでいる主人公も「同じことの繰り返し。もうセックスの章は飛ばして読むことにする!」とうんざりしていて、ちょっと面白い(しかしそんなふうにベッドシーンもりだくさんにもじつはさりげなく意味があって、それが皮肉めいたセリフでバッサリ切られる)。あと、ヴェリティの自伝のベッドシーンが飛ばされたかと思いきや、主人公のベッドシーンが入ってくるという構成にも笑いました。

最後の展開には、うわあってなった。なるほど納得。後味はあまりよくないけど、なかなか面白かったです。

by rivarisaia | 2019-04-23 23:57 | | Trackback | Comments(0)

Devil’s Day

『Loney』が話題になったAndrew Michael Hurlyの2作目。前作は読もうと思っている間に月日が流れて、こちらを先に読みました。表紙は3種類。

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Devil’s Day』Andrew Michael Hurly著、John Murray刊

暗い。そしてテンポがとてもゆったり。桜が咲いて明るい春に読むのには向いてなかったかもしれない。ランカシャーの荒涼とした独特の世界に入り込むのに少々時間がかかってしまった。灰色にどんよりとした寒くて寂しい冬の日に読んで、背筋がうすら寒くなるのを味わうのがよさげ。

毎年秋になると、故郷のランカシャーを訪れるジョン。彼の実家は羊を飼ってくらす農家で、村では毎年秋になると悪魔から羊を守る伝統儀式が行われる。

今年の秋は祖父が亡くなって葬式が行なわれることになり、ジョンは初めて身重の妻キャサリンを連れて故郷に戻ってくるのだが、そこで思いもよらない出来事が……

荒野をさまよう悪魔が羊や人間に乗り移って悪さをするので(過去に人や羊が死んだという歴史がある)、それを防ぐための儀式を行う日がタイトルのDevil’s Dayです。

キャサリンとともに初めて故郷に戻ってきたジョンのパートを中心に、ジョンと息子アダムを描いた現在と、ジョンの子供時代の回想が挿入されるという構成です。

描写は丁寧なのだがペースがあまりにもスローなので序盤はやや退屈したのですが、半分以上きたあたりから不気味さが見え隠れしながらじわじわと加速。田舎にいまひとつ溶け込めない妊婦のキャサリンが唯一打ち解けている少女グレースの謎の言動と霊感。キャサリンしか感じない臭い。明かされる衝撃の事実。野犬に引き裂かれた羊の死体。いくつもの死、死、死。

やだもう、ランカシャーの田舎の村こわい!!

くだんのDevil’s Dayには目隠ししてくるくる踊るという他愛もないゲームをやるんですけど、目隠しを外して開口一番に「彼女、頭に何をかぶっているの?」「何もかぶってないよ」っていうくだりが、もうね、ものすごく嫌でした。やめてほしい。

そしてその後も、ジョンが永遠に心にしまい込んで生きていくのであろうという秘密がいくつか明かされることに。悪魔はいつまでも荒野をさまよい、ときおり人々の中に入り込む。でも恐怖を乗り越えて人は生きていくし、長い冬のあとには春が来る。そんな希望を感じさせる終わり方ではあるのですが、ランカシャーの田舎の村こわいという印象をぬぐいされない……。

by rivarisaia | 2019-04-11 23:57 | | Trackback | Comments(6)

Friday Black: Nana Kwame Adjei-Brenyah

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Friday Black』Nana Kwame Adjei-Brenyah

シュールな話からSFっぽい話まで、ダークでパワフルな12編の話を収録。人種問題や消費社会に対する風刺の効いた……というとありがちに聞こえるけど、風刺の効きっぷりがすごくて、強烈なパンチをくらったような読後感。好みは分かれるだろうし、私もまだうまく消化できてないけど、読むなら今、という1冊。

冒頭の一篇が衝撃だった。「The Finkelstein 5」は、チェーンソーで5人の黒人の子供の首を切り落とした中年白人男性が、正当防衛を主張して無罪になるという事件が背景にある。そのことを深く嘆き、憤り、世の中に幻滅しているエマニュエルが主人公。

日常生活でエマニュエルは自分の”黒人度(blackness)”を10段階で切り替える。おだやかな口調で電話で話すと10段階の1.5、公共の場では肌の色が目に入らざるをえないので、ネクタイをしめて、つねに笑顔で小さな声で話したとしても4.0を下回ることはできない。仮にバスの中で黒人度を8.0近くに上げると、周囲に緊張がはしる。

ある日、エマニュエルが仕事の面接に行くことから、話がはじまる。

これと似たテーマを別の切り口で描いているのが「Zimmer Land」

テーマパークのジマーランドでは客が「正義を遂行するシミュレーション」ができる。ジマーランドに勤務する黒人の主人公は「住宅街で自警団に殺される役」をやっている。こう書くとわかるように、ジマーランドのジマーは、トレイヴォン・マーティン射殺事件の犯人ジョージ・ジマーマンからとっている。

テーマパークの人種差別的なあり方を変えたいと主人公はCEOに訴えるのだが……という話。

その他には、ディストピアな近未来SF(「The Era」「Through the Flash」)や、中絶した双子の胎児が父親の元に出現する話(これ気持ち悪かった)、12枚の舌を持つ神と契約した男が父親を連れていった病院でたらい回しにあう話(カフカ+ブッツァーティみたいなシュールさ)、同級生を射殺して自殺したいじめられっこの霊と彼に殺された学生の霊が協力しあってスクールシューティングの計画を阻止しようとする話などがある。

表題作「Friday Black」は、ショッピングモールで働くベテラン店員が主人公。毎年ブラックフライデーにはゾンビのようになった顧客の大群が押し寄せ、モール内は死屍累々、血で血を洗う過酷なセールが行われていた、という設定。同じョッピングモールと登場人物が登場する話がほかに2つある(「How to Sell a Jacket as Told by IceKing」「Retail」)。この3作シリーズもけっこうよかったな。

「ブラック・ミラー meets ブラック・ライヴズ・マター」という評をよく見かけるのも、なんとなくわかる。確かに「ブラック・ミラー」が好きな人は楽しめるはず。これがデビュー作で、今後も期待したい作家ですが、名前の読みはインタビュー映像で確認したところ、ナナ・クワメ・アジェ=ブレンニャです。覚えておこう。


収録作品
The Finkelstein 5
Things My Mother Said
The Era
Lark Street
The Hospital Where
Zimmer Land
Friday Black
The Lion & the Spider
Light Spitter
How to Sell a Jacket as Told by IceKing
In Retail
Through the Flash

by rivarisaia | 2019-04-06 21:18 | | Trackback | Comments(0)

The Silent Patient

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The Silent Patient』Alex Michaelides著、Celadon Books

有名な画家アリシアはファッションフォトグラファーの夫ガブリエルと幸せな結婚をしているかに見えた。
ところがある夜、アリシアは夫の顔を5回も銃で撃ちぬき殺害する。
事件から一言も口をきかなくなったアリシアは精神科施設に収容されていた。アリシアの担当となったサイコセラピストのテオは、事件の日にいったい何が起きたのかを探ろうとするのだが……

なかなか面白かったミステリー。表紙は2種類あります。

語り手のテオ自身も個人的な問題を抱えていて、そのせいなのかアリシアを救いたいという思いが強く、事件の背景を探ろうとして、どんどん深みにはまっていきます。なぜアリシアは夫を殺したのか。そもそも本当にアリシアが犯人なのか。アリシアは一体どんな人物なのか。どうしたら口を開いてくれるのか。

これ以上は詳しく知らないほうが楽しめるので、説明はここで終わり。何も考えずに読んでたら、途中でえっ!てなりました。また、1章がとても短いので、あともう1章だけ読んで続きは明日にしようなどと思っているうちに、読み終わってた。そのテンポのよさもしてやられた感じ。


by rivarisaia | 2019-04-05 23:22 | | Trackback | Comments(0)

『Florida』Lauren Groff

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Florida』Lauren Groff著、Riverhead

『Fates and Furies(邦訳:運命と復讐)』のローレン・グロフの短編集。単に好みの問題として、好きかと言われると個人的にはものすごく好き!というわけでもなかったんだけども、全体的にうまいなーとは思う。寓話のような話、シュールな話、壮大な話、幻想的な話から日常の光景を切り取った話まで、主にフロリダを舞台とした11の短編が収録されている。

そのなかで一番好きなのは、最初の「Ghosts and Empties」。育児に疲れて怒りっぽくなっている女性が、頭を冷やすための日課として夜の街を散歩する。灯りのついた窓の中のだれかの暮らし。暗闇ですれちがう人々。季節の移り変わりと光や音や匂い。町を歩いているだけの短い話なのに、長い長い時間の流れも感じさせながら鮮やかな印象を残すところが気に入っています。

収録作品リスト
Ghosts and Empties
At the Round Earth’s Imagined Corners
Dogs Go Wolf
The Midnight Zone
Eyewall
For the God of Love, for the Love of God
Salvador
Flower Hunters
Above and Below
Snake Stories
Yport


by rivarisaia | 2019-04-04 21:40 | | Trackback | Comments(0)

Where'd You Go, Bernadette

2012年に出た本で、ベストセラーになったコメディ小説。ちょうど『ゴーン・ガール』が出たのと同じ年。とても面白く読んで、そういえば感想書いてなかったので、映画化を機にちょこっとだけ書いておく。映画はリンクレイター監督で主演がケイト・ブランシェット、と期待できそうで、予告編も貼っておきます。

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Where'd You Go, Bernadette』Maria Semple著、

バーナデットは昔は才能のある建築家だったけど今は専業主婦として、成績優秀な娘のビー、マイクロソフトでバリバリ働くITエンジニアの夫エルギーとともにシアトルで暮らしている。

人づきあいがうまくいかないバーナデットは友人もいないし、近所からの評判も悪く、特に隣人オードリーとは犬猿の仲。とにかく人と関わりたくない性格で、身の回りのこともインドの秘書サービスを利用して行ったりする。

娘のビーが優秀な成績をとったご褒美に家族で南極旅行に行こうという計画が立ち上がってから、バーナデットの奇行がエスカレート、夫が対策を講じようとした矢先、彼女は忽然と姿を消す。

いったいどこ行っちゃったの、バーナデット?という話です。

学校の手紙や関係者のEメール、FAX、記事、医師のレポートなどさまざまな文書の合間にビーのナレーションが入る、というちょっと変わった構成。いろんな文書を読んでいくうちに、バーナデットとはどんな女性なのか、ということがだんだん明らかになってきて、最初と最後では彼女のイメージはガラッと変わっているはず。身近にいる夫がなんもわかっちゃないことも露呈するけど、娘のビーのほうがよくわかっていて、その上タフで頼りになるのが救い(子供だからかわいそうなんだけどね)。

日本でも映画が公開されるだろうと期待して、これ以上はあまり詳しくは書かないけど、バーナデットの気持ちはとてもよくわかる。特に能力のある女性がうまく活躍できない日本社会ではありがちな状況で、バーナデットに共感する人も多いんじゃないかなあ。

切ないけど、ユーモアもたっぷりのコメディ小説で(笑っちゃいけないけど、とても可笑しい場面もある)、読みやすいので映画の前か後にぜひどうぞー。



by rivarisaia | 2019-01-13 23:33 | | Trackback | Comments(0)

2018年これを読まずして年は越せないで賞が決定しました!

今年もまた年末恒例、渡辺由佳里さん主催の「これを読まずして年は越せないで賞」に審査員で参加しました!
そして昨日、各部門の優秀賞と大賞が決定したのでお知らせします!

まずは各部門の優秀賞
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児童書部門
The Miscalculations of Lightning Girl by Stacy McAnulty

YA(ヤングアダルト)部門
Far from the Tree by Robin Benway

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ノンフィクション部門
Educated by Tara Westover


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フィクション(ジャンル小説・大衆小説)部門
Seven Husbands of Evelyn Hugo by Taylor Jenkins Reid

フィクション(文芸小説)部門
Circe by Madeline Miller


そして、2018年これ読ま大賞作品は

Circe by Madeline Miller

次点
The Miscalculations of Lightning Girl by Stacy McAnulty



わたしは今年は本当にブログが更新できなくて、本の感想もぜんぜん書いていないのですが、候補作に選ばれたのはどれもおすすめ。ほかにどんな候補があるのかについては、洋書ファンクラブの由佳里さんのレビューをごらんください(タイトルをクリックすると由佳里さんのレビューに飛びます)。

由佳里さんのレビューへのリンクがない本で、わたしが感想書いたのは以下。


毎年書いてる気がしますが、来年はもう少しまめに更新するよう努力しますね。優秀賞の感想もアップするようにがんばるー。
では、冬休みに楽しい読書を!




by rivarisaia | 2018-12-28 18:23 | | Trackback | Comments(4)

The Truth as Told by Mason Buttle

全米図書賞ファイナリストに残っていて、評判いいので読んでみたら、なかなかよい本だった。話の展開はおおかた予想つくような内容かもしれないけど、主人とその家族、友人といった登場人物がよい。というか、読み終わってみると、みんな自分の知り合いみたいな感じになっちゃう。

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The Truth as Told by Mason Buttle』Leslie Connor著、HarperCollins

主人公のメイソン・バトルは大柄で汗っかきな少年。読み書きがほとんどできない。

15ヶ月前、メイソンの親友だったベニーが、メイソンの家の果樹園で亡くなっているのが発見され、そのことがメイソンの心に大きな影を落としている。メイソンの元へはしょっちゅう警部補がやってきて、ベニーが亡くなった日のことを何度も聞こうとする。メイソンは本当のことを話しているのに、警部補にはぜんぜん信じてもらえないのだ。

そんな彼にカルヴィンという名前の新しい親友ができる。ところがある日、カルヴィンまでもが姿を消してしまい……


という話。ベニーの死の謎やカルヴィンの行方など、ミステリー要素もあるものの、そこは奇をてらうような狙いはさほどなくて、おまけに中盤で少しのんびりした展開になるにもかかわらず、それでもメイソンとカルヴィンの姿があまりに生き生きと丁寧に描かれているので、ふたりがどうなるのか気になって一気に読んじゃった。

メイソンのおじさんにおばあちゃん、いじめっ子のお母さん、と出てくる大人に魅力がある(いやな警部補ですら、最後にはいい人な気がしちゃう)。その中でも特に学習障害があるメイソンを支える学校の先生が、脇役ながらもすばらしいキャラクターで、すべての学校に彼女のような先生がいたらいいのにと思っちゃう。余談としては、メイソンに共感覚があるのも面白い設定でした。


by rivarisaia | 2018-11-14 10:57 | | Trackback | Comments(0)